デルポトロのフォアハンド

テクニック解説
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今回はデルポトロ選手のフォアハンドを観察してみたいと思います。
デルポトロ選手のフォアハンドと言えばストレートアームで強烈なフラットボールを打ち込むのが特徴です。
ツアー選手の中でも屈指の速さと威力を誇ります。

さて、それでは、早速観察していきたいと思います。


出典:Juan Martin del Potro Forehand in Slow Motion HD

まず、スイングを通して感じる事は動きがとてもスムーズで力に頼っているところがありません。
彼の身長が198㎝、ほぼ、2ⅿ。
これだけ身長が高いとどうしても力に頼って、高い技術レベルを習得するのはけっこう難しいのが現実です。
ツアー選手に中には2ⅿを超すような選手が何人かいますが、中には体力に物を言わせてボールを打っている選手が少なくありません。
ですが、残念ながらそのような選手はどうしても精度や威力で大きなロスをしています。
また、実際に試合になるとその部分が弱点になっていたりする事が多いです。

ところが、デルポトロ選手のフォアハンドにはそのような力に頼ったところがありません。
身長が2ⅿ近くもありながら、レベルの高い技術を身につけています。
その為に飛びぬけた威力を備えているのです。

さて、それでは、具体的に彼のフォアハンドを見て行きましょう。
まずはテークバックの初期動作です。

ここで特にご覧いただきたいのは3つ。
「拳の位置」「ラケットヘッドの向き」「右足のつま先の向き」です。

この3つは安定して強力なフォアハンドを打つトップ選手には共通の動きです。
まず、右足つま先が横を向いて、体幹を横に向ける準備に入ります。
それに伴って、上半身が横を向いていきます。
この時、ラケットや腕はレディポジションのまま移動していきます。
その為に、ラケットヘッドは空を向き、拳の位置は正中線から外れずに移動していきます。
テークバックで腕やラケットを先に準備してしまうプレーヤーはこのような動きにはなりません。

これはテークバックが完了し、インパクトへ向かい始めた瞬間です。
ここでご覧いただきたいのは「しっかりと伸びた腕」「右足つま先の向き」の二つです。
デルポトロ選手はストレートアームでヒットする為に、この時に脇を締めるような腕の使い方をしません。
腕はそのままで体幹が先に前に向かって動き始めます。

また、右足つま先とくるぶしを見てください。
体重は前に移動していますが、テークバックの初期動作を行った外旋の状態が残ったままでスイングに入ろうとしています。
その為にくるぶしが地面に若干押し付けられる感じでスイングに入ります。
これもラケットの振りぬきを良くするにはとても大切な事です。

これはインパクトに向かっている最中です。
やはり、同じように腕は伸びきり、右足の外旋は残った状態のままです。
つまり、余計な動きが一切省かれ、準備された体幹が回転を始め、腕はそれに従って、ボールに向かって行きます。

そして、インパクトを迎えます。
腕が綺麗に伸びたストレートアームの状態なので、打点が非常に前になってボールを捕らえています。
ここでもまだ、右足の外旋は残ったままです。
膝を使って、腰を回すようにスイングするプレーヤーはこの状態にはなりません。

これはインパクト直後の動きですが、ラケット面と腕の動きをご覧ください。
ラケットは特別な操作をは何もせず、ただ、体幹の動きに従って、前に伸びているのがわかると思います。
また、ラケット面はインパクトの状態を維持されたまま、前に移動しています。
つまり、ほとんどスピンをかけておらずフラットの状態で打ち抜かれた事が分かります。
スピンをかける為にはこの状態ではラケット面はもっと地面に向いて、左のほうに抜けて行くことが必要だからです。
もちろん、彼もスピンをかける時にはそのような面使いをしますが、打点が高い場面では最小限のスピンに抑えて、打つのが彼の特徴です。

そして、フォロースルーに向かって行きます。
最初にお話ししたように全体を通じて本当にリラックスしてて、スムーズです。
2ⅿの身長を自然に使った非常にレベルの高いスイングです。
体重のバランスも申し分ないですね。

こうして、細かく見ていくと、あれだけ破壊力のあるボールを打ちながら、安定しているのも頷けますね。
しばらくの間、怪我による休息を取っていましたが、怪我さえなければ、ビッグ4を撃破する破壊力を持っているプレーヤーの一人である事は間違いがありません。
あの強烈なフォアハンドでエースを取るのは圧巻の一言です。
今後の活躍に期待したいです。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいてありがとうございます。

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