ジョコビッチのフォアハンド

今回はジョコビッチ選手のフォアハンドを解説してみたいと思います。
昨年から怪我などで調子を落とし、今年は全大会をスキップしていますが、2015年~2016年前半(全仏オープン優勝まで)の強さは驚異的でした。
鉄壁と言えるほどのディフェンス力を見ていると「ジョコビッチに勝てる選手は当分出てこないのでは??」と思わせる程でした。

ですが、2016年、悲願の全仏オープンを優勝してから急速に失速してしまいました。
今は怪我による休養をしていますが、早く良くなって、また、あの驚異的な粘りを見てみたい物です。

さて、そのジョコビッチ選手のフォアハンドですが、錦織選手と同じ、いわゆるダブルベントを呼ばれる打ち方です。

では、まず、動画で観察してみましょう。


出典:Novak Djokovic in Super Slow Motion | Forehand #1 | Western & Southern Open 2014

ジョコビッチ選手のフォアハンドの特徴は大きく4つあります。
まずはこちら。

これはレディポジションからテークバックに入る初期動作です。
まず、右手拳の位置、左手の位置をご覧ください。
身体の正中線からほとんど、ずれないで身体が横を向いているのが分かると思います。
これは腕やラケットを引かないで、腕やラケットはレディポジションのまま、身体だけをターンした結果です。
この動きはトップ選手に共通の動きで、トップ選手たちは腕でテークバックしていないと言うわけです。
では、次に右足のつま先を見てください。
ここで外に外旋されているのがわかると思います。
それに伴い、右の骨盤も外に向きます。
その結果、身体は横にターンされているわけです。
つまり、右足つま先を外旋させる動作によって、テークバックはほぼ完了していると言えます。
それぐらい、シンプルに腕やラケットを移動させていないと言う事です。

次はこちらをご覧ください。

こちらはテークバック完了時の画像です。
右足の外旋から始まったテークバックは左足を前に踏み込み、下半身の動きが完了します。
それに伴って、上半身がターンした反動で右腕は後ろに移動します。
この時、左の拳の位置は背中側には移動せず、肩のラインの延長よりも少し胸側に位置します。
これもトップ選手たちの特徴です。
これは遠心力によって、エネルギーをロスせず、前方へより大きなエネルギーを加える為に必要な位置です。

ラケットヘッドは下がらず、ラケット面がネットとは反対方向に綺麗に向いているのもジョコビッチ選手の特徴です。
ちなみにこのラケットの状態と下記の画像の状態を見比べてみてください。

これはインパクト後、フォロースイングしている最中の画像です。
身体がターンし、腕の位置も当然、前に行っていますが、ラケットの状態は左右対称に非常に近くなっているのがわかると思います。
つまり、この間(テークバック~インパクト~フォロー)ラケットはほとんど動いていないという事です。
正確に言うと体幹が回転する事によって右腕は回外、また、ラケットが体幹を追い越してからは回内する運動をしているだけという事です。
その結果、ラケットはこのようにほぼ左右対称の状態になるわけです。

また、テークバック時の左手は初期動作の時とほとんど変わらず、正中線からずれていません。
これも、腕をほとんど使っていない表れと言えます。
ちなみにこちらはテークバック完了時点を後ろから見た画像です。


出典: Novak Djokovic ground stroke practice AO 2016

拳の位置がよくわかると思います。

では、次にこちらの画像をご覧ください。

これはインパクトの時の画像ですが、肘が曲がったダブルベントの特徴が良く表れています。
胸はしっかりと前を向き、その伴って、両腕が前に移動する、その途中に右腕のラケットがボールを捕らえる感じです。
さて、ここで観察して欲しいのは右足の外旋です。

テークバックの初期動作は右足の外旋であると紹介しましたが、インパクト時ではどうなっているか?
やはり、外旋の状態は残ったままなのです。
体重は左のほうへ移動していますが、外旋が残っているので右足首のくるぶしが少し地面に抑えられているような動きをしています。
実は効率よくラケットを振りぬくにはこの外旋が残っている事がとても重要になります。
この外旋がほどかれてしまうとラケットが体幹を追い抜く事ができず、結果的に切れのあるスイングにならないのです。
この右足の使い方はゴルフ、野球のトップ選手に共通の動きです。

また、右足の外旋が残っている事で右骨盤も完全に前を向いていないのがわかると思います。
それに対し、肩のラインはほぼベースラインと平行になるぐらい前を向いています。
この捻転差が効率よくスピードを生み出してくれるのです。

こうしてみるとジョコビッチ選手のフォアハンドが非常に安定しているのがよくわかります。
無駄な動きが極力省かれ、必要な動きだけを実行しているようなスイングです。
よく言えば、非常に合理的、悪く言えば、個性が無いスイングとも言えるかもしれません。
いずれにしても、ダブルベントのスイングの一つの完成されたモデルと言えると思います。

本日は以上です。
いつも長文お読みいただいてありがとうございます。

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