杉田祐一選手の可能性と素晴らしさ

トッププロ解説
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先日行われたアンタルヤオープンで見事ツアー初優勝を果たした杉田選手。
これは松岡修造氏、錦織選手に次ぐ、日本男子では3人目のワールドツアーの優勝です。

錦織選手が活躍する中、彼に続く選手を心待ちしていましたが、まずは杉田選手がやってくれましたね。
これから益々日本人選手の活躍が期待できます。

私は杉田選手の活躍はある意味、錦織選手の活躍以上に非常に価値のある事だと思っています。
それは杉田選手は18歳でプロとして活動を始めましたが、良い意味でも悪い意味でも日本で育った選手だからです。

錦織選手は正直なところ、日本で育ったわけではありません。
もちろん、日本人ではありますが、彼の能力を育て、磨いたのはアメリカです。
それに対し、杉田選手は18歳まで基本的に日本でのみ練習していたのです。

この差は非常に大きいと思います。
そういう意味で彼のこれからの活躍はこれからの日本のテニス界にとって非常に大きな意味を持つ物です。

杉田選手現在、松岡氏のランキングを抜いて44位まで上がってきました。
ですが、私はまだまだ、ランキングを上げる事が出来ると思っています。

その理由は大きく3つあります。

1.身体能力が高い
まず、彼の一番の魅力は身体能力が非常に高い事です。
残念ながら、身長は173㎝と今のテニス界においては非常に小柄です。
これは当然、有利な事とは言えません。
ですが、彼はそれを補う事が出来る程、身体能力が高いんですね。
特に瞬発系の能力は非常に優れています。
その為に、コートの中をバランスよく素早く動く事ができます。
また、先日、優勝したアンタルヤの大会は何と気温が44℃にもなる状態で連日試合が続きました。
中には暑さで全く動けなくなった選手もいるほどです。
そんな中、杉田選手は最後まで素早い動きを続けることができていました。
この事からも持久力についても非常に高い物を持っている事は間違いがありません。
つまり、杉田選手はいわゆる「体力がある」選手なのです。

2.レベルの高い基本テクニックを身に着けている
現在、日本人トップの錦織選手は非常にレベルの高い基本テクニックを身に着けています。
(サーブには若干の問題がありますが)
それゆえに攻撃的なテニスを展開する事ができます。
近代テニスは一昔前とは比べ物にならないぐらい、技術が進化し、プレーがスピードアップしています。
その為に、パワー、スピードを備えたテクニックを身に着けていないと勝ち上がる事は非常に難しくなっています。
残念ながら、日本人選手はそのレベルに達していない事が非常に多かったのです。
その為に外人選手のパワー、スピードに押され、どうしても主導権を握る事が出来ない事が多いのです。

ところが、杉田選手は全てのショットでレベルの高い基本テクニックを身に着けています。
その為に、外人選手との試合を繰り返す事で、そのレベルがどんどん進化しているのです。
今では、トップ選手とも互角以上に打ち合える場面がしばしば見られます。
これは彼が身に着けていた基本テクニックのレベルが高かったゆえに起こった進化です。
基本テクニックのレベルが低ければ、レベルの高い相手と打ち合っても、なかなかそのレベルに進化する事が出来ないのです。

杉田選手はこれから益々、トップ選手と打ち合う機会が増えて来るでしょう。
ですが、彼が身に着けている、基本テクニックは、その経験を活かし、今以上に進化する可能性を秘めています。

3.メンタルが安定している
3つ目の魅力は彼のメンタルが非常に安定している事です。
錦織選手は杉田選手の事を「彼(杉田)は独特の世界がある。本当にストイックで、時には仙人みたいな、修行に出るみたいな発言だったり行動がある。学ぶところは沢山あります」と言っています。
確かに彼は非常に淡々と試合を進めていきます。
ところが淡々と冷めているわけではなく、非常に情熱的にプレーします。
ですが、それでいて、熱くなりすぎる事がありません。
「心は熱く、頭はクールに」そんな状態でプレーができるのです。
これは非常に集中力が高くメンタルが安定していないとできない状態です。

また、このような状態でプレーする選手は観客を味方にする事もできます。
実際に、最近の彼の活躍を見ている観客たちは「気が付けば杉田選手を応援している」そんな状態になっている事が少なくないのです。
これは試合においては非常に大切な事なのです。
観客を味方に付けることができれば、それはホームで試合をしている事と同じになるわけですから、だけでメンタル的には非常に有利になる可能性があるのです。

以上が私が考える杉田選手の素晴らしさと可能性です。
錦織選手は杉田選手は「30位、20位に来ると思う」と言っていますが、私も30位以内には入れると思っています。

トップ10となると非常に疑問ですが、30位以内なら十分に可能性があります。
グランドスラムでシードをもらえる事も出来ると思います。

そういう意味でも今のこの成長期に行けるところまで行ってほしいですね。
今回のウインブルドンでは次の2回戦でアンタルヤオープンと同じマナリノと対戦します。

十分に勝てる相手なので、取りこぼす事なく、勝ち進み、次のモンフィスと対戦してほしいですね。
今の彼なら、たとえ、勝てなくても、必ず、次のレベルに進むためのヒントを数多く掴むでしょうから。

いずれにしても、まずは今夜の試合に勝つ事がとても重要です。
ぜひ、応援してあげてくださいね。

本日は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

コメント

  1. あか より:

    日本とアメリカでっていう一番の違いは、練習相手だと思いますか?
    指導者だと思いますか?
    それとボールパーソンも基本テニスをやっている子たちだと思いますが、
    杉田マンナリノの試合でマンナリノよりも頭一個分でかい子がいました。
    きっとカルロビッチ2世になってくれると思います。

    • wp_feel より:

      なかなか難しい質問ですが、私は両方だと思っています。
      切磋琢磨する練習相手のレベルは非常に大切ですし、また、指導者が与える影響も非常に大きいです。
      どちらも日本はまだまだ、世界とは差があるのが現状ではないでしょうか。

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