テニスのイップス

テニスのイップスの症状

イップスは様々なスポーツで見られますが、テニスもイップスで悩むプレーヤーが多いスポーツです。
テニスにはフォアハンドストローク、バックハンドストローク、サーブ、フォアボレー、バックボレー、スマッシュの7つのショットがあります。
7つのショットのそれぞれでイップスになる方はおられますが、中でも特に多いのはフォアハンドストロークとサーブです。
また、球出しのイップスで悩む方も多いです。
逆にバックハンドストロークのイップスで悩む方は比較的少ないです。
テニスのイップスも他のスポーツ同様、自分の腕や身体がどう動いているのかがわからなくなり、ボールがとんでもない方向に飛んだり身体が固まって動かなくなります。

テニスのイップスの原因

先ほどもお話ししましたが、テニスのイップスで圧倒的に多いショットはフォアハンドストロークとサーブです。
逆にバックハンドストロークやバックボレー、スマッシュはイップスで悩むプレーヤーが比較的少ないショットです。
不思議な事に同じテニスでありながら、イップスの発症率は全く違います。

では、なぜ、フォアハンドストロークとサーブでイップスに陥ってしまうプレーヤーが多いのか?
これにはいくつかの理由が考えられます。
・練習量が多い
・情報量が多い
・使用頻度が多い
私が考える理由はこの3つです。
次の項で、私が「この3つがイップスを引き起こす原因になっている」と推察する理由をそれぞれまとめてみたいと思います。

練習量が多い

フォアハンドストロークとサーブはテニスの中でも最も良く練習するショットです。
良く練習するショットと言う事はそれだけ、自分にとって必要性の高いショットとも言えます。
また、それだけに「上手くなりたい」と言う気持ちが大きいショットでもあります。
ただ、「上手くなりたい」と言う気持ちは往々にして強いこだわりになる可能性があります。
その為に実際の練習では、頭で考え、いろいろ試行錯誤をします。
そして、頭で身体をコントロールしようとします。
その結果、本来身体をコントロールする役割をもっている潜在意識(身体や感覚)ではなく、顕在意識(頭や意識)で正しいフォームや理想のフォームを身につけようとします。
この過程がイップスに陥りやすい状態を作ります。

情報量が多い

先ほどもお話ししたようにフォアハンドストロークとサーブは必要性の高いショットなので、「上達したい」と言う思いが強くなりやすいショットです。
その為に、フォアハンドストロークとサーブに関する情報が自然と頭に入ってきます。
例えば、グリップやラケットの面の使い方や手首、肘、肩、股関節などの身体の動かし方など、とても細かい情報をキャッチします。
そして、これらが知識となって、頭の中に蓄積されます。
頭の中に数多くの細かい知識は、当然、練習する時に活用しようとします。
そして、その知識通りのテクニックを身につけようとします。
ですが、頭の知識が多ければ多いほど、頭で身体をコントロールしようとするので、イップスになる可能性は高まります。
キャッチした情報が「正しいか?」それとも「正しくないか?」は関係がありません。
正しい情報の積み重ねであったとしても、あくまでも、情報であり、感覚を通しての経験ではありません。
その為に、イップスに陥る原因になるのです。

使用頻度が多い

これは「練習量が多い」とも関係しますが、テニスの試合ではサーブとフォアハンドストロークは最も使用頻度が多いショットです。
その為にどうしても「上達したい」と言う思いが強くなるショットです。
また、それと同時にプレッシャーがかかるショットでもあります。
プレッシャーはボールへの集中力を低下させる最も大きい要素です。
誰もがプレッシャーがかかると「結果」に意識が向きやすくなります。
ボールへの集中力が低下し、結果に意識が向くと感覚にはズレが生じ、「ここ一番の大事な時」にとんでもないミスをします。
これがトラウマになり、イップスに陥るきっかけになる事が少なくありません。
もちろん、使用頻度が少ないショットであってもプレッシャーを感じる事に違いはありません。
ただ、プレッシャーを感じた後に起こる事が現象が全く違います。
使用頻度が低いショットの場合は自分自身にもそれほど、こだわりがない場合が多く、大きなトラウマになる事が案外少ない傾向があります。
表現はあまりよくありませんが、自分自身でもミスする事をある程度認めているので、「それほど大きなダメージにならない」
こんな心理が働いているように思います。

フォアハンドストロークのイップス

フォアハンドストロークはバックハンドストロークに比べ、腕や手首の動きに融通が利きます。
これは身体の前面の比較的力が入りやすい筋肉を使うからです。
ですが、その判明、どうしても頭でスイング操作やラケット操作をしがちです。
これがイップスになりやすい状態を作ります。
本来は腕やラケットなどの末端でスイングするのではなく、身体の中心で作られたエネルギーを末端に伝える自然なスイングをする必要があります。
ところが、フォアハンドストロークはどうしても、腕力がそれを邪魔しがちです。
また、腕力がある事で頭で無理やりボールをコントロールできてしまいます。
それがイップスの原因にも繋がります。

フォアハンドストロークのイップスの症状

フォアハンドストロークのイップスにはいくつかの多い症状があります。
1.インパクトの直前、直後にラケット面が大きく動いてしまいボールがどこに飛んで行くか、わからない。
2.ボールをを打とうとすると腕がどう動いているか、わからなくなり、ボールがどこに飛んで行くか分からない
3.フォアハンドを打とうとするとグリップに力が入らない

大きく分けると大体上記の三つのケースが非常に多いです。
一概には言えませんが、1から3にかけて症状が酷くなっているケースが非常に多いです。

つまり、最初はインパクトの直前直後ででラケットの面が急激に変わり、ボールが乱れ始めます。
そのうちに、今度は自分のイメージしている通りに腕が動かなくなり始め、そして、次は「腕がどのように動いているのか?」も分からなくなります。
それでも、何とか、無理に練習をし、ボールは何とか、コントロールできるようになっても、今度は腕やグリップに力が入らない感覚になる事があります。

ちなみにこの「腕に力が入らない」状態のイップスは一番、厄介です。
バックハンドやサービスを打とうとしても特に何も違和感を感じないのに、「フォアハンドを打とう」とグリップを握った途端に腕やグリップに力が入らなくなります。
酷い場合には実際にラケットを握らなくても、頭の中でフォアハンドをイメージするだけで腕や身体に力が入らないケースもあります。

フォアハンドストロークのイップスの原因

フォアハンドストロークのイップスになる原因で非常に多いケースはボールの距離感と正しいスイングとが乖離する場合です。
中でも多いのがショートラリーやショートボールを練習する事がきっかけになるケースです。
基本的に理想的なスイングをするとプレーヤーは力を入れてスイングしていないのにボールには大きなエネルギーが伝わるので、ボールは良く飛んで行きます。
ところが、ボールの距離は短くしようとします。
この時に無理にボールを飛ばないように操作をすると正しいスイングとボールとの距離感が乖離していきます。
これが私の経験上、最も多いケースです。

次に多いのがボールが高く飛んで行くのを無理にボールを低く打とうとするケースです。
最初はラケット面を操作する事で無理にボールをコントロールしているだけですが、段々、自分でもスイング中のラケット面が分からなくなります。
そして、深刻な状態に陥るケースです。

また、比較的、上級者に多いのが「もっと良いスイング」を追い求めて、イップスになるケースです。
この場合は、自分のスイングを頭で分析し、より良いスイングを身につける為に、頭で身体の動きを意識しながら練習する事でイップスに陥ってしまいます。
場合によっては、スイングの癖を矯正しようとした結果、イップスに陥る事もあります。

サーブのイップス

フォアハンドストロークと並んでイップスに陥りやすいのはサーブです。
実は私もサーブのイップスに陥りました。
その時はまさか、自分がイップスになるなんて想像もしていませんでしたので本当に驚きました。
突然、自分の身体が全く言う事を聞いてくれなくなるあの感覚は本当に恐怖です。
実際に体験した事がなければ、あの恐ろしさは分からないと思います。
ただ、幸い、私はイップスの症状が出た後にすぐにイップスの為の対処をしたので、深刻な症状に進行する事はなく、今は全く完治していますし、イップスの症状が出る事はありません。

サーブはフォアハンドストロークと同様、使用頻度が高く、また、重要性の高いショットなので、イップスに陥る方はとても多いです。
また、サーブは試合では必ず、必要になるショットなので、一度サーブでイップスに陥ってしまうと、とても厄介です。
試合が出来なくなるケースも少なくありません。
その為に、最悪の場合、テニスを止めてしまう方もおられます。

サーブのイップスの症状

サーブのイップスで最も多いのはスイング中の腕の動きのタイミングがボールに合わず、ボールがとんでもない所に飛んで行くケースです。
スイング自体に大きな問題はないのですが、特に腕の回内運動のタイミングがボールに合わない為に、ボールがどこに飛んで行くか、分からなくなります。
相手コートのフェンスまで飛んで行ったり、逆に自分のコートにワンバウンドしたりします。
私の場合もこのケースでした。
また、このケースととてもよく似たケースにスイングの力の加減が全くできなくなるケースがあります。
緩いボールを打とうとしているのに、とんでもなく、大きく飛んで行ったり、逆にしっかりと打とうとしているのに、「力が伝わらず、死んだボールになったりします。

それ以外ではスイングの動きに問題が現れるケースがあります。
腕がスムーズに動かずに、途中で止まったり、また、ロボットのようなギクシャクした動きになったりします。
いずれにしても、身体が自分のイメージに反して、勝手に動く(止まる)ので、とても厄介です。

サーブのイップスの原因

サーブのイップスの原因には大きく二つあります。
一つはスイングとボールのコントロールの感覚にギャップが生まれたケースです。
そして、もう一つはスイングのイメージとスイング自体にギャップが生まれるケースです。

前者はボールをコントロールする感覚を練習する事なく、理想のスイングを練習する事でイップスに陥るケースです。
例えば、エネルギー効率の良い、理想のスイングを意識して練習するとします。
そうすると、ボールは勢いよく飛んで行くのが自然な状態です。
そして、サービスエリアにコントロールする事が難しくなります。
にも関わらず、ボールだけを無理にコントロールしようとするとスイングとボールコントロールにギャップが生まれます。

本来ボールのスピードや勢い、距離をコントロールする為には、スイングのエネルギーの大きさも変える必要があります。
ところが、理想のスイングだけを練習するとボールへ与えるエネルギーを変える事ができなくなります。
にも関わらず、ボールを無理にコントロールしようとするわけですから、ここに大きなギャップが生まれます。
これがイップスを引き起こします。

後者は自分の身体の動きを感じる事無く、頭で無理に身体をコントロールしようと練習した場合に起こりやすいイップスです。
私達の身体は本来、顕在意識ではなく、潜在意識によってコントロールされるべきものです。
つまり、頭でいくら無理に命令しても、身体はその通りに動かす事はできません。
逆に無理に命令すれば、するほど、身体の動きと頭の中のイメージにギャップが生まれます。
これがイップスを引き起こします。
身体の動きをイメージ通りに動かすにはまずは、命令するのではなく、「感じる」事が必要です。
理想の動きを「発信」するのではなく「今、どのように動いているか?」を「受信」するわけです。
自分の身体を感じる感覚が磨かれるとやがて、頭の中で描くイメージと実際の動きが一致するようになります。
この方法を使えば、イップスになる事無く身体の動きをレベルアップさせる事ができます。

トスのイップス

サーブを打つ為には、自分でトスを上げて打つ事が必要ですが、実はトスのイップスで悩んでいる方も非常に多いです。
サーブの精度や威力はトス次第で大きく変わります。
トスが良ければ、サーブは威力のあるボールを安定して打つ事ができますが、逆にスイング自体が良くてもトスが悪ければ、サーブは不安定になります。
その為に、トスを正確に安定してコントロールする事はとても大切な事です。

ですが、それだけに、トスのイップスに陥る方が多いのです。
トスを安定してコントロールするには左の手のひらや指先の微妙な感覚が必要になります。
また、左腕だけではなく、サーブを打つ為の全身の運動と左腕の運動が連動する必要があります。
この感覚を身につける過程でトスのイップスに陥るのです。

トスのイップスの症状

トスのイップスで最も多い症状は左手の指さきの感覚を失うケースです。
左手の指にボールが引っかかり、上手く、手から離れてくれない症状に陥ります。

それ以外では、左腕の動き自体に問題が起こるケースがあります。
例えば、肘が急に曲がって動いたり、逆に腕が固まって、動かなくなったりします。
いずれにしても、打ちやすい場所にボールを上げようと意識すれば、するほど、ボールをとんでもない所に投げてしまいます。

トスのイップスの原因

トスのイップスは無理に打ちやすい場所にボールを上げようとして、左腕、または左掌や指を意識して練習するとなりやすくなります。
打ちやすいトスを上げる為には場所だけではなく、トスの高さが重要になります。
その為には腕や指先などの非常に微妙な感覚が必要になります。
ところが、焦って、「正しいトスの上げ方」を意識して練習すると微妙な感覚を身につける事ができずに、脳内の左腕、掌、指のイメージと実際の動きが乖離し始めます。
その結果、トスを上げるほうの腕の動きが全く分からなくなります。

また、試合中にトスを何度も上げなおす事は、ペアや相手選手を待たせる事になり、とても大きなプレッシャーになります。
そのプレッシャーが余計に強いマイナスイメージを植え付け、それがトスのイップスに陥るきっかけになる事も非常に多いです。

フォアボレーのイップス

サーブやフォアハンドストロークと比べると比較的少ないと思われているボレーのイップスですが、実はフォアボレーでイップスになっている方は案外多いです。
一番の理由はフォアボレーは腕力でラケット操作ができてしまう事です。
これはフォアボレーだけではなく、サーブやフォアハンドストロークにも共通ですが、身体の前面の筋肉を使うので、自然な運動連鎖を使わなくても、無理やりラケットを操作する事が出来てしまいます。
その為に、正しい感覚で身体を使わず、頭で無理やりボールをコントロールしようとする事からイップスに陥りやすくなります。
逆にバックボレーの場合は腕力や筋力に頼る事ができないので、イップスに陥る確率は非常に低いです。
この事からも、イップスは単に精神的な事が原因ではなく、技術的な要因が大きく影響している事が分かります。

フォアボレーのイップスの症状

フォアボレーのイップスで最も多い症状はインパクトの直前、直後でラケット面が大きく動き、ボールを捕らえる事ができずにボールがどこに飛んで行くか、分からなくなる物です。
酷いケースでは真上にボールが飛んでいく事や逆に自分のコートにボールが飛んでいく事もあります。
ラケット面の動きとしてはボールを叩くように被さるケースもありますし、逆にラケット面が上に向いてボールの下を潜り抜けてしまうようなインパクトになる事もあります。
いずれにしても、手首の動きが非常に大きくなるのが特徴です。

フォアボレーのイップスの原因

先ほどもお話ししたようにフォアボレーのイップスでは手首が非常に大きく動くのが一番の特徴です。
これはボールをコントロールしようとして、無理にラケット面を操作した事が一番の原因です。
ボレーの技術が未熟な場合、ボールが飛びすぎて、アウトをしてしまう場合がとても多いですが、この原因はラケット面の向きだけではなく、打点や力の加減など複合的な物です。
その為に、ボレーのコントロールを身につけるには、まず、インパクトでボールを捕まえる感覚を身につける必要があります。
ボールを捕まえる事が出来なければ、どんなラケット操作をしてもボールはイメージしたところに飛ばす事ができません。
ところが、この感覚を身につける前に、頭で無理にラケット面を操作する事を繰り返すとやがて手首の動きと脳のイメージが乖離し始めます。
そうすると、自分の手首がどのように動いているのかが分からなくなって、手首が勝手に動いてしまうようになります。
これがフォアボレーでイップスに陥る時の一番大きな原因です。

球出しのイップス

実は球出しのイップスで悩まれている方も多いです。
相手に安定して同じボールを送る必要がある球出しは実は簡単ではありません。
それなりに練習が必要です。
テニスコーチになる為には球出しのテストがあるほどです。
球出しのイップスに陥る多いケースは、例えばサークルなどで球出しの練習をした事がない方がいきなり球出しをしようとすると上手くボールがコントロールできずにパニックになります。
そして、無理にボールをコントロールしようとしているうちにイップスが発症するケースが非常に多いです。

球出しのイップスの症状

球出しのイップスになると他のイップスと同じようにボールをコントロールする感覚を突然失います。
やはり多いのは手首がかえったり、逆に開いたり、とにかく、自分の意思に反して、勝手に動いてしまうケースです。
また、腕に力が入らないようになるケースもあります。
もちろん、ボールは自分の思った所に打つ事ができずに、とんでもない所に飛んでいく事になります。

球出しのイップスの原因

イップスは脳内のイメージと筋肉活動にギャップが生まれている状態です。
本来、身体はイメージと感覚が結びついて動くものです。
ところが、無理に頭で身体をコントロールしようとするとイメージと筋肉活動が乖離し始めます。
それがイップスに陥る直接的な原因です。
これは球出しイップスにも同じ事が言えます。
ただ、球出しイップスの場合は他のイップスとは少し違う原因もあります。
それは、球出しが上手くできないと「相手に悪い」または「ミスすると恥ずかしい」のような心理的なプレッシャーです。
これが間接的原因となっているケースが非常に多いです。
自分自身で「ミスをしてはいけない」と言うプレッシャーをかけてしまうわけです。
その結果、感覚ではなく、頭で無理にボールをコントロールしようとします。
この状態を続けると手が急に勝手に動いてしまう状態に陥ります。
これが球出しイップスの原因です。

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