「プレー中の集中力を高めたい!」
こんな事を感じる事はないでしょうか?
集中力を高める事は高いパフォーマンスを発揮する為には絶対条件です。
また、ボールへの集中力を高める事は最短でテニスが上達する唯一の方法でもあります。
では、プレー中の集中力を高めるにはどうしたら良いか?
実は「集中する」とは自分の意識をコントロールする事でもあります。
ボールへの集中力が高い人と、低い人では意識のコントロールが全く違います。
ボールに集中している状態は言い換えれば自分の意識を「現在進行形」に留めている状態。
それに対して、ボールへの集中力が低い状態は意識が「過去」や「未来」に行き来している状態です。
例えば、自分が打ったボールの分析や評価、判断している状態。
「あ!良い当たり♪」
「あ!高い!」
「あ!変な当たり。。。」
・・・・・・・
こんな状態ですね。
この状態の意識は現在?過去?未来?
答えは「過去」です。
終わった事に意識が囚われている訳ですから、過去に留まっています。
では、例えば、こんな事を考えている時は?
「次はどんなボールが来るだろう?」
「今度はあっちに打とう!」
「ラケットの面はこう使おう!」
「振り遅れないように打点はここで打とう!」
・・・・・・・・
こんな事を意識している時は現在?過去?未来?
答えは「未来」ですね。
では、現在進行形とは?
ただ、ボールに注意深く観察するだけ。
良い事も悪い事も判断、分析せず、ただそれを観察する、または没頭するだけです。
この時、頭の中は静かで何もしゃべっていません。
こんな状態が目指す状態です。
ところが、多くのプレーヤーはプレー中、意識が過去と未来を旅します。
そして、もっと残念な事はほとんどの指導者達や技術書がこの意識の旅に誘惑する事です。
ただでさえ、打ち終わったら意識は過去に囚われがち。
また、打つ前はこれから起こる事が気になって未来に意識が飛びがちです。
そんな状態で、指導者が「今の打ち方は○○がこうなっていたので、悪かった(良かった)」
とアドバイスすれば?
プレーヤーの意識は過去に飛ぶのは当たり前と言えます。
また、「フォアハンドはラケット面をこうして、足はこうして、肩はこうして・・・」
とアドバイスすれば?
また、「相手がここに打ってきたら、この時はああして、こうして・・・」
とアドバイスすれば?
プレーヤーの意識はどこに旅するでしょう?
当然、未来に飛んでしまいます。
つまり、テニスにおけるアドバイスのほとんどは過去と未来に意識が飛ぶような物ばかりと言う事です。
「今のはラケットの面がこうなっていたので、もっと○○になるようにしましょう!」
「今のは相手がこっちにボールを打ってきたので、その時はこんなボールを打つようにしましょう!」
いかがです?
一般的なアドバイスはこんな感じだと思います。
また、自分自身でもそんな風に考えたりしませんか?
でも、このアドバイスを「過去、現在、未来」に照らし合わせてみてください。
「ラケットの面がこうなっていた」=過去
「○○になるようにしましょう」=未来
「こっちにボールを打ってきた」=過去
「こんなボールを打つようにしましょう」=未来
現在進行形になるようなアドバイスは皆無です。
残念ながら、これでは、プレー中の意識が過去と未来を旅するような悪い癖が付くように練習している事になります。
アドバイスの内容がテニス的に正しいか?
それとも正しくないか?
そんな事が問題ではないのです。
と言うより、ある程度のテニスを知っている方のアドバイスなら正しいと思います。
でも、問題はそこではありません。
いくら正しい内容でも意識が過去と未来を旅していてはいつまでも身体はそれを覚える事ができません。
その結果が「頭では分かるけれど、出来ない・・」という状態です。
テニスは頭で分かったからと言って、身につく訳ではありません。
身に付ける為にはボールに集中しなければいけません。
つまり、意識を現在進行形に留める事です。
過去や未来に旅していては、いつまでも身につく事はないんですね。
いかがでしょう?
「意識の旅」の意味はおわかりいただけたでしょうか?
あなた自身も意識の旅をしている事があるでしょうし、
また、指導者や先輩、技術書達が意識の旅の誘惑をしてくると思います。
この誘惑にあなた自身が気づく事ができるか?
また、その誘惑を断って、現在進行に意識を留めることができるか?
非常識に上達するにはここが非常に大きなポイントです。
ぜひ、あなたの周りの情報を「意識の旅」に照らし合わせて、チェックしてみてください。
きっと大切な事に気が付くと思います。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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