先日「火天の城」と言うDVDを見ました。
幻の城と言われる安土城が築城されるまでを描いた映画です。
主演の西田敏行さんは大工の総棟梁の役として、信長に安土城を作る事を命じられます。
そして、命を懸けて、見事な安土城を完成させます。
この中で、西田さんはとても興味深い事を何度も口にします。
それは、「木の声を聞け」と言う言葉です。
ご存知のように日本の城は木を組み合わせる事で作られています。
当然、木の組み方によって、出来栄えは大きく変わるわけです。
何千年もの後世まで残る城を作る為には、木をどのように組めば良いか?
総棟梁はその答えを「木の声を聞け」と表現しています。
私は大工について全く知らないので、実際のところはどうなのかはわかりません。
ただ、感覚的にはこの表現はとてもよく分かります。
木の事を知るには「木の声を聞く」
これはとても自然な事のように思えるのです。
さて、ここからが今日の本題です。
これをテニスに置き換えると「テニスボールの声を聞け」と言う事になります。
テニスボールをコントロールするにはテニスボールの事を知る必要があります。
どれぐらいの強さでどんな風にボールを打てば良いのか?
この感覚が分からなければ、ボールをコントロールする事はできません。
では、分からなければ、どうするか?
聞くのが一番、手っ取り早いです。
だから、テニスボールに聞くわけです。
もちろん、テニスボールは声を発してくれるわけではありません。
でも、やっぱり聞くのです。
分からない事は聞くしか、方法はありません。
では、具体的にテニスボールに聞くとはどう言う事なのか?
それは「心や頭を静かな状態に保つ」という事です。
日本語には「耳を澄ます」と言う表現があります。
「注意を集中して聞こうとする」事です。
この時、頭の中や心の中が騒がしいとどうでしょう?
いくら耳を澄まそうにもそんな状態になれないのはお分かりになると思います。
つまり、「耳を澄ます」為には心や頭の中を静かにする事が必要になるわけです。
こうして、初めて、普通では聞く事ができない小さな音や声を聞き取る事が出来ます。
さて、話をテニスに戻します。
「テニスボールの声を聞く」とは、「耳を澄ます」状態と同じような状態になると言う事です。
言い換えれば、これは「集中状態」です。
つまり、西田さん演じる大工の棟梁は「集中して木と向き合え」と言っていると私は解釈しました。
これはテニスが上達する条件と全く同じ事なのです。
心や頭の中で何かを考えたり、意識している状態では騒がしくて、木の声もボールの声も聞く事はできません。
「耳を澄ます」状態ではないからです。
心穏やかに静かな状態になれば、普通なら聞こえない小さな声を聞く事ができます。
この声を聞く事ができれば、段々、テニスボールの事がわかるようになってきます。
そして、それが、テニスの上達に繋がるわけです。
「テニスボールの声を聞く」と言われると、「そんな物は聞こえるはずがない」と思うかもしれません。
確かに、本当に声を発してくれる事はありません。
ですが、大切なのは自分自身の在り方です。
自分自身が「耳を澄ました」状態でテニスをしているのか?
それとも、騒がしい状態でテニスをしているのか?
耳を澄ました状態で練習すると、いろいろな気づきや発見があります。
これが私の言う「テニスボールの声」です。
何度も言いますが、テニスボールは声を発しません。
ですから、その代わりに、気づきや発見という形で私達に伝えてくれるのです。
この気づきや発見を得る事がテニスボールの事を知る唯一の方法です。
そして、それは同時にテニスが上達する為に最も大切な事でもあります。
次回の練習ではぜひ、「テニスボールの声」を聞く練習をしてみてください。
きっと、何かヒントが見つかると思います。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただき本当にありがとうございます。
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