さて、早速ですが、今日のテーマは「フォームを教わる事の弊害」
これについてお話しします。
一般的なテニスの指導と言えば、まず間違いなくフォームの指導です。
「この時はこんな振り方」
「このボールはこんな打ち方」
「こんな状況はこんな體の使い方」
・・・・
こういう物を覚えて「それを身につけましょう」って感じですよね。
つまり、形を知って、それを覚えましょうって事です。
でも、実はこのフォームや形を教わる事には大きな弊害があります。
そして、その弊害は多くの場合、何年も後に現れます。
どんな弊害かと言うと。
対応力が無く、覚えた事以外が出来ないと言う弊害です。
これは某ハンバーガーチェーンのマニュアルを考えると分かりやすいかもしれません。
「一緒にポテトはいかがですか?」のあれです。
確かにマーケティングの手法としては非常に優れた手法かもしれません。
その内の何割かが購入すると思いますし、単価のアップに繋がりますから。
ですが、一方で店員さんの成長を考えるとどうか?
これには大きな問題があります。
なぜなら、自分で考え、行動する力がいつまでも身に付かないからです。
その店員さんの能力なんて、関係ないです。
マニュアル通りに動く事を求められるわけですから、当然の事です。
実はフォームや形を教わるのはこれと同じ弊害があります。
正しいフォームや形を教わってしまうとそれを身に付ける事に終始します。
まさにマニュアル通りに実践する事に終始する店員さんと同じ。
そして、厄介なのはマニュアルで育ってしまうとマニュアルが無いと働けない人になってしまう事。
いつも受け身になり、自分で考え、行動する事が出来なくなります。
更に、こういう弊害は何年も後に出てきます。
マニュアルで働いているうちは良いんです。
ですが、自分で考えて行動するべき時が来た時にそれが出来ない
実はこれが一番大きな問題なんです。
もちろん「マニュアルで教育された人の全てがそうなる」とは言いません。
ですが、その数は増える事は間違いないです。
実はこれとテニスが非常に良く似ています。
テニスも最初は良いかもしれません。
フォームを覚える事で、それが出来れば、充実感や達成感を得る事も出来ます。
ですが、少し上達すれば、テニスは必ず対応力や順応力を求められます。
この時にフォームを一番に考える人は、間違いなく、上達止まります。
何故なら、フォームや形では対処できなくなるからです。
まさにマニュアルでは対処できないのと同じです。
実際、私自身が指導する時に、一番困るのが、フォームや打ち方で頭でっかちになっている方。
こういう方を指導するのが本当に難しいです。
何故なら、その人の頭の中で既に答えを持っているからです。
「こういう風に打てれば、上手く出来るはずだ」みたいな感じです。
また逆に「どんな打ち方が出来れば、上手く出来るのか?」と言う場合もあります。
いずれにしても、その人の中には「打ち方が良くなれば、上達できる」と言う答えがあります。
でも実は、答えだと思っている事自体に問題があるので、いくら練習しても、中々上達しません。
それに対して、打ち方やフォームに情報が無い人。
こういう人は本当に簡単に上達していきます。
必要な体験を順番に蓄積して行けば、自動的にどんどん上達していきます。
それは、赤ちゃんが歩くのを覚えていくのと同じです。
最初は寝返りすらできなかったのに、経験を伴えば、ハイハイから伝い歩きを経て、自然と自分だけで歩き始めます。
テニスを覚えるのはこの過程とまるっきり同じです。
本当は必要な経験さえ、すれば、誰でも自然と上達する事が出来るんです。
ところが、マニュアルを実践するとこれが根底から覆ります。
せっかく備えている自分の感性や感覚を磨く事なく、打ち方や形を重視してしまうからです。
もちろん、上達の為にフォームや打ち方は必要な物です。
ですが、それは、自分の感性や感覚を磨いた結果、自分で気づき、自分で身に付けた物です。
「歩く」と言う運動にもフォームは存在します。
ですが、それらは、正しい歩き方を教わって、覚え、身に付けたのでしょうか?
そんな事はありません。
全部、自分の体験から身に付けた物です。
だからこそ、誰もが、自然と歩けている訳です。
テニスもこれと同じです。
「いや、いや、歩くのは簡単だけど」
「テニスは難しいから、同じなわけないでしょ」と思われる方もいると思います。
確かに歩く運動よりも複雑ですし、何よりもボールがいつも動いていますからね。
ですが、人間が運動を覚える仕組みやメカニズムは同じです。
簡単な動きであろうと。
難しい動きであろうと。
対象が動いていようが、止まっていようが。
脳が必要な動きを覚えていく過程は同じです。
ですから、マニュアルで覚えるのは非常に危険ってわけです。
マニュアルが便利なのは経営者側の論理です。
働く人にとっては、実は危険な物です。
この事に気付けないとせっかく自分の備わっている素晴らしい能力を放棄する事になります。
そして、後々、困る事になります。
この事に気付いたら、出来るだけ早く打ち方やフォームから脱却する事です。
その方が間違いなく、テニスは早く上達します。
さして何より、もっともっと楽しくなります。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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