先日「記憶と気づき」についてお話しました。
気づきのテニスはどうですか?
実践できていますか?
例えば、ダブルスでは、相手がポーチに出て来る事があります。
当たり前ですが、そのまま、返球すれば、ポーチにかかってこちらは圧倒的に不利になります。
出来れば、相手のポーチの裏をかいて、ストレートに打ったり、またはロビングを上げたりしたいですね。
ではどうすれば、そのようなプレーができるか?
記憶でテニスするプレーヤーは「どのような状況の時に相手はポーチに出て来るか?」
これを覚えて、活用しようとします。
その為に、いろいろな状況を洗い出し、頭でその状況を覚えようとします。
それに対し、気づきでプレーする場合はどうか?
「相手の動き」に気付くだけです。
相手が「ポーチに出てきそうだ」または「相手がポーチに出てきた」
この事に気が付くわけです。
どちらが現実的で上手くプレーする事ができるか?
当然、答えは後者です。
記憶を頼りにプレーしている人は反応が遅れ、適切に対処する事はできません。
それに対し、気づきでプレーする人は反射的に身体を動かす事ができるので、上手く対処できるようになります。
では、なぜ、気づくプレーなら反射的に対処できるようになるか?
実はとても簡単な事です。
気付きには頭を使う必要が無いからです。
例えば、自分がコートサイドで試合を見ているとしましょう。
片方のネットマンがポーチに出ました。
ただ、見ているだけで、当然、ポーチに出た事に気付きます。
と言うより、「気付く」と言う認識もないでしょう。
目に見えていますから。
ところが、自分が試合をしていると、この相手の動きを感じる事が出来なくなります。
その為に、相手のポーチにやられてしまうのです。
この違いを埋める事が練習であり、課題です。
ところが、間違えると、記憶する事でこの課題を解決しようとします。
ですが、これは記憶する事では解決出来ません。
記憶する事など、全く必要なく、ただ、気付けば、この問題は簡単に解決します。
「相手が右に動いたから、左に打てば良い」
ただこれだけの事です。
では、なぜ、相手の動きに気付く事ができないのか?
一番大きな理由は相手の動きよりも、別の物に興味があるからです。
中でも多いケースは「自分がボールを打つ事」に興味があるケースです。
自分が打ちたいボールであったり、自分が打ったボールの結果であったりします。
いずれにしても、興味の対象が自分に向いているわけです。
こうなると相手の事は気付く事ができなくなります。
これが相手のポーチにやられる一番大きな原因です。
ですから、この場合、練習するべき事は「ボールを返球しながらも相手の動きに気付ける状態になる事」です。
「どんな状況で相手が動くか?」を覚える事ではないのです。
では、どうすれば「ボールを返球しながらも相手の動きに気付ける状態」になれるか?
その答えは、「動きの無意識化」にあります。
ボールの返球は身体に任せて打つのです。
相手の動きに気付けない一番の理由は返球する事を意識するからです。
そんな事は身体に任せていれば良いのです。
それよりも、自分は相手の動きに興味を持つようにします。
身体は反復練習すれば、自動的にボールを打つようになります。
例えば、車を運転している時、横の人とおしゃべりをすると運転はできなくなるでしょうか?
いいえ、そんな事はありません。
おしゃべりしながらでも、問題なく、車を操る事はできます。
これは運転が無意識化されているからです。
テニスも基本的には同じです。
ボールを返球する事はいちいち意識しなくても、自動的に打てるようになるのです。
と言うよりも、自動的に打てるように練習する事自体が必要です。
そして、自分の興味がボールの返球ではなく、相手の動きや相手の意図に向くようにするのです。
こうする事で相手の身体や心の動きに気付けるようになります。
これが気づきのテニスです。
記憶のテニスと気づきのテニスが全く違うのがお分かりいただけますでしょうか?
同じように練習をしても記憶の練習と気づきの練習では全く違う結果が出ます。
あなたはにはぜひ、気づきのテニスに取り組んで欲しいと思います。
テニスがもっと楽しくなります。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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