今日は「二者択一の危険」についてお話しします。
この事については以前にもお話ししていると思います。
ですが、それが問題で伸び悩んでいる方が非常に多いので、繰り返しお話ししたいと思います。
生徒さんに、よくこんな質問をされます。
「これで合っていますか?」
「どちらが正しいですか?」
「どっちが良いですか?」
・・・・
このような質問は全て「二者択一」
つまり「どちらかが正しくて、どちらかが間違っている」
「だから、正しい方を選択しよう」
そんな考え方です。
ですが、結論を言うと、テニスはこの考え方では上達しません。
そもそも、テニスには正解と間違いがあるわけではありません。
と言うよりも、少し極端に言えば「全てが正しい」んです。
一見、間違いに見えても、それは「成長の過程」です。
自分がイメージしたようにようにプレーできないと「何かが間違っている??」
と思う気持ちは分かります。
ですが、間違っているから上手く出来ないわけではありません。
人はどんな事も経験から学び、気づきを得て成長します。
これはテニスも全く同じです。
赤ちゃんが最初のうち、上手く歩けないのは何かが間違っているからでしょうか?
そんな訳はありません。
全ての赤ちゃんは正しく動いています。
ですが、まだ経験が足りないから、不安定になり、時には転んでしまうんです。
でも、そのまま、経験を積めば、自然と歩けるようになりますよね。
これはテニスも同じです。
ところが、テニスには。
「正しい=上手くプレー出来る(上達する)」
「間違い=上手くプレー出来ない(上達しない)」
こんな考え方が常識になっています。
実はこの常識こそがテニスが上達しない諸悪の根源です。
でも、それも仕方が無い事です。
私達は子供の頃から学校で常に「二者択一の考え方」を意識づけられています。
学校では決められた正しい答えをいつも求められます。
この為に、無意識のうちに「二者択一の考え方」が身に付いてしまうんです。
これがテニスに厄介な常識を作り出し、上達が止まる原因です。
ただ、勘違いしないでくださいね。
「二者択一の考え方」自体を否定しているのではないんです。
それが必要な時もあります。
ですが、スポーツや芸術、物作りなど。
いわゆる、技を必要とする物は「二者択一」ではなく「磨く」と言う考え方が大切になるんです。
「磨く」と言う考え方には「正しい、間違い」が存在しません。
磨いた量や質に対して、その結果が出るだけです。
「磨き方が悪かったから」
「10回しか磨いていないから」
「それが間違っている」と言うわけではありませんよね。
自分の磨きに対して結果が出ているだけです。
テニスも基本的にはこれと同じです。
もし、あなたが自分の思い通りにプレーできないのであれば、それは、何かが間違っているわけではありません。
今、あなたは全て正しくプレーしています。
ただし、望むプレーに必要な経験値が足りていないのです。
歩き始めの赤ちゃんが不安定で、時にはこけてしまうのと同じ。
ですから、必要な経験を積めば、それだけで良いんです。
そうすれば、必ず上達していきます。
ところが、残念ながら多くの人は「何かが間違っている」と勘違いしてしまいます。
また、コーチからも「ここが間違っている、正しいのはこれ」とアドバイスされるかもしれません。
ですが、ここを勘違いするとテニスは滅茶苦茶難しくなります。
「二者択一の考え方」には最新の注意を払ってください。
この考え方にハマり込むと、出口の無い迷路に引きずり込まれます。
正しい答えを探し始めたら要注意です。
テニスに間違いはありません。
どんなに上手くいかない経験も、とても大切な経験の一つ。
その経験があるから、ヒントや閃きが得られるんです。
となれば、間違いは存在しなくなります。
そして、同時にそれは「正しい答え」も存在しない事になるのです。
ですから、気楽に楽しめば良いんです。
間違いや失敗を恐れず、のびのびとプレーしていると自然と感受性が高まります。
そうすると、自ずと気づきや閃き、ヒントがたくさん見つかります。
それがテニスを自然と上達させてくれます。
ところが「二者択一の考え方」の人はいつも「正しい答え」を求めます。
その為に「自分を磨く」と言う事が出来ないんです。
もちろん、自分で気づきや閃き、ヒントを得る事も出来ません。
「正しい答え」を他人に求めるわけですから、それも致し方が無い事です。
それが上達が止まる理由でもあるわけです。
以上が「二者択一の危険」です。
非常にたくさんの方がハマり込む勘違いなので、注意してくださいね。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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