今日のテーマは「進化」です。
進化を調べると「生物の形質が世代を経る中で変化していく現象」と書かれています。
では、これをテニスに置き換えると?
「テニスの形質が練習を重ねる事で変化していく現象」と言えるかもしれません。
テニスが上達するとは進化する事です。
つまり、上達とは変化する事なのです。
ところが、変化する事にはある種の恐怖が伴います。
心理的抵抗と言っても良いかもしれません。
例えば。
初級者のプレーヤーが練習を繰り返し、フォアハンドで「ある感覚」に気づいたとしましょう。
とても心地良く打てる感覚です。
ボールのコントロールも良くなりました。
これは一つの進化と言えるでしょう。
そして、このプレーヤーはこの進化によって中級者レベルに到達しました。
ですが、これは終わりではありません。
練習を継続すれば、上級者レベルを目指す事が出来ます。
ただ、その為にはさらに進化する必要があります。
つまり、変化する事を求められます。
となれば、フォアハンドで気づいた「ある感覚」を手放す必要があります。
この時、心理的に大きな抵抗を受けます。
「とても心地良い「ある感覚」を手放したくない」と思ってしまいがちです。
変化とは「これまでと同じではない」と言う事です。
「ある感覚」と同じではなくなる、つまり、「ある感覚」を手放す必要があるわけです。
ところが、先ほどもお話ししたように一度感じた心地良さは中々手放せない物です。
ただ、実際には初級者の時に気づいた「ある感覚」は初級者のレベルの気づきです。
この気づきに囚われてしまうと上級者になる事は出来ません。
ちなみに現在38歳のフェデラーを見てみると驚くほど変化しているのが分かります。
彼は2004年に世界ランキング1位に上り詰めました。
ですが、その時と今では全く違うテニスをしています。
明らかに進化しています。
例えば、フォアハンドの動き一つとっても、2004年と今では全く違うのです。
機会があれば、youtubeなどで年代を追って、彼のフォアハンドを見比べてみてください。
驚くほど、違う打ち方をしている事が分かります。
これは彼が2004年のフォアハンドの動きを手放したと言えるわけです。
もし、あなたが世界ランキング1位になったとしたら?
その時のフォアハンドを手放す事が出来るでしょうか?
そのフォアハンドを維持しようとしないでしょうか?
これは簡単な事ではないと思います。
では、もし、フェデラーが2004年のフォアハンドを手放す事が出来なかったら?
彼は今もトップ選手であり続ける事が出来たのか?
もちろん、この答えもわかりません。
ですが、私はこれほどまでに進化し続ける事はなかったと思います。
彼が今なお進化し続けてる一番の理由は考え方が柔軟で、変化する事に抵抗がないからではないでしょうか。
それゆえに、38歳と言う年齢でトップ選手として活躍する事が出来ているのでしょう。
さて、話しを元に戻します。
上達とは進化する事です。
進化とは変化する事です。
そして、変化とは手放す事です。
手放す事が出来なければ、変化する事が出来ません。
つまり、上達は止まるという事です。
一つの事に固執すると変化する事が出来なくなります。
例え、それがどんなに素晴らしい物に思えても、それに固執しては進化する事は出来なくなります。
増してや、正しい物を覚えようとすると変化、進化はありません。
一般的には「正しいテニス」「理想のテニス」「最新のテニス」を覚え、身につけようとしがちです。
それはフォームや打ち方であったり、配球だったりします。
ですが、それでは、変化、進化を期待する事は出来ません。
「何かに固執する」とは「何かを覚える」という事でもあります。
そう、考えると一般的な練習では上達する事が出来ないのはお分かりいただけると思います。
人間の脳と身体は経験を繰り返せば、必ず進化するように作られています。
ところが、それを邪魔するのは「自分」です。
変化を怖がれば、いくら練習しても変わる事はありません。
つまり、結局、上達できるか、どうかは、「自分」にかかっているわけですね。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
コメント
いつも有益な記事をありがとうございます。
毎ラリー、同じボールがないとすれば、すべてのボールに対して毎回違う自分である必要があり、そう考えると常に古い自分を捨てていき、毎ラリー新鮮な自分で臨むための作業が重要になってくると思います。
ジョコビッチなどは常に「いま、ここ」の自分にフォーカスするために瞑想をトレーニングに取り入れていると聞いたことがありますが、これなどもその作業の一環と考えてよいのでしょうか。
これからも更新楽しみにしています。
こちらこそ、いつも長文お読みいただき本当にありがとうございます。
ジョコビッチの瞑想もまさに「今」への集中力を上げるトレーニングだと思います。
出来る事なら、彼がどんな事を感じているのか、聞いてみたい物ですね。
今後ともよろしくお願いいたします。