なぜ、感覚がズレ始めるのか?

テニスの上達の為に
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さて、今日のテーマは「感覚のズレ」です。

テニスは感覚がとても重要です。
ちなみに「感覚とは」と検索すると?

「外界からの光・音・におい・味・寒温・触などの刺激を感じる働きと、それによって起こる意識。」と出てきます。

感覚といえば、一般的には五感をイメージすると思います。
ですが、それだけはありません。

特に最近は新たに3つの感覚を追加しようという考え方があるようです。
その3つとは、1つは、熱さ・冷たさを判断する感覚。
もう1つは空間のなかで自分の体がどこにあるのかを把握する感覚。
そして最後の1つは、身体のバランスをとるために必要な平衡感覚です。

テニスには熱さ、冷たさを感じる感覚は必要ないかもしれませんが、ほかの2つは非常に重要です。

いずれにしても、感覚にズレがあるとテニスはなかなか上達しません。

例えば、自分では「これで良いだろう」と思っているにも拘わらず、「なぜかイメージ通り出来ない」事は無いでしょうか。
こんな場合は、大きな理由は2つです。

1つはイメージ自体が間違っているケース。
そして、もう一つが感覚にズレが起こっているケースです。

本来、イメージが正しくて、感覚が正確であれば、誰もがイメージ通りのプレーが出来るようになるはずなのです。
ところが、現実は中々そう簡単にはいきません。

その理由の一つが「感覚のズレ」です。

では、なぜ、感覚がズレてしまうのか?
そのヒントについてお話します。

ちなみに、「感覚のズレ」と「感覚の甘さ」は全く違うものです。
誰でも、最初から鋭敏で優れた感覚を持ち合わせているわけではありません。
感覚を磨くことでだんだん、研ぎ澄まされていきます。

ですから、「感覚の甘さ」は特別気にすることはありません。
単に練習不足です。

ですが、「感覚のズレ」は違います。
練習しても、ズレた状態がそのまま続いてしまう事になります。

ですから、ズレを起こさないように、または、ズレを修正していくように練習する必要があるわけです。

では、どうして感覚のズレが起こるのか?
また、どうすれば、正しい感覚へ修正することができるのか?

例えば、コピーをする時の事を思い出してください。
原本を使ってコピーをすると、特に問題なく、原本に非常によく似た物が作られます。

ところが、コピーされた物を使ってコピーをするとどうなるでしょう?
そして、「コピーのコピー」を繰り返すとどうなるか?

そうすると次第に原本とは全く違う物に変わっていく事は簡単に想像できると思います。
実は「感覚のズレ」とはこういう状態です。

では、テニスでの例をお話しします。

ベースラインから2m中に5つの的を置いて、ストロークのコントロール練習をするとします。
では、一番右側から順番に狙って行きましょう。

この時、「感覚のズレ」を起こしてしまう人は一番右側の的を基準に練習を始めていきます。
つまり、「2番目の的は1番目の的の少し左側」と意識するわけです。
そうして、順番に「次はもう少し左、次ももう少し左」と狙っていきます。

この意識は「コピーのコピー」と同じなのがお分かりになるでしょうか?
このような練習を繰り返すと感覚はだんだんズレていきます。

本来は全ての的はそれぞれ、単体で認識する事が必要です。
要するに、1つ目の的から、2つ目の的に移る時には「1つ目の的の存在は忘れて、ただ、2つ目の的を狙う」という事です。

ところが、案外、このように単体の的と向き合う事を疎かにしてしまいます。
どうしても、前の経験や情報を利用しようと考えてしまうわけです。

「そのほうが早く上手く出来る」と勘違いしてしまうからです。

例えば。
「狙った位置より右に飛びすぎたから、もう少し左を狙う」
「狙った高さよりも高く飛びすぎたから、もう少し下を狙う」

こんなケースも同じです。
これらは全て「コピーのコピー」の練習といえます。

そのために、中々感覚を研ぎ澄ます事が出来ません。
というより、むしろ、感覚にズレを起こし、混乱を招く事になります。

「もう少し右を狙ったら、右に行き過ぎて、もう少し左を狙ったら左に行き過ぎて・・・」
「もう少し下を狙ったら、下に行き過ぎて、もう少し上を狙ったら上に行き過ぎて・・・」

こんな感じを繰り返してしまう事になるのです。
こうなるとまさに「コピーのコピー」で、原本が全く分からなくなってしまった状態と同じです。

「もう、どうやってコントロールすれば良いかが分からない・・・」
こんな状態に陥ります。

あなたはこんな状態に陥らないように気をつけてほしいと思います。

ちなみにその為の方法はとてもシンプルです。
「コピーのコピー」をしない事。
ただこれだけです。

要するに、前の経験や情報を利用しなければ良いのです。
「前の結果を修正すれば早く出来るようになる」と言う誘惑に気を付けてください。

前の結果がどんなに良くても、悪くても、一球、一球、ただ集中して打つだけです。

そうすれば、「感覚の甘さ」がだんだん磨かれていきます。
もし、仮に、今、「感覚にズレ」があるとしても、安心してください。
このような練習を繰り返せば、感覚はだんだん修正されていきますし、正しい感覚を磨く事になります。

ただ、コーチのアドバイスには注意してください。
なぜなら、この事を知らないコーチが非常に多いからです。

そのために、「もう少し左に調整して」「もう少し下に調整して」
こんなアドバイスをするコーチがたくさんいます。

このアドバイスはまさに「コピーのコピー」です。

もし、こんなアドバイスが出てきたら、その時は迷わずスルーしてください。
そして、調整せずに、ただ、目指すイメージを明確にしてボールに集中し、プレーしてください。
これが最も早く上達する秘訣です。

「前の結果を修正しなければ、いつまでも同じミスを繰り返すんじゃないの??」
と思うかもしれません。

確かにしばらくは同じミスを繰り返す事になるでしょう。
ですが、それは脳と身体が現実を認識、把握し、自己修正能力が働いている過程です。

気にせず、しばらく、同じミスを繰り返していれば、必ず、自動的に修正されていきます。
逆に、「コピーのコピー」を繰り返していると確かに同じミスが続く事はないかもしれません。

ですが、結局、いつまでも、コントロールをする感覚を身に着けることができません。
つまり、中々安定しないという事です。

脳と身体には非常に高性能は自己修正能力が備わっています。
この能力は、自分が意識して働かせる物ではありません。
完全に自動で働きます。

この能力のおかげで私たちは自然と歩けるようになったのです。
また言葉を話せるようになったのです。

必ずあなたにも備わっています。
自分の自己修正能力を信用してあげてください。

そうすれば、「感覚のズレ」を起こす事もなく、自動的に上達する事ができます。
これが最も早く上達する秘訣です。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただきありがとうございます。

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