テニスは修理固成(つくりかためなせ)

テニスの上達の為に
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今日のテーマは「修理固成」です。
これは「つくりかためなせ」と読みます。

日本最古の書物とされる古事記に出て来る一文です。

日本は古くから物作りの国として栄えてきました。
もちろん、今もその風土は変わらず、外国からも高い評価を得ています。

実は日本が物作りの国となった要因の一つがこの「修理固成」であるという考え方があります。

では、「修理固成(つくりかためなせ)」とはどういう意味か?

「一度作って終わりではなく、その後も何度も修正、修繕と繰り返し、少しずつ固めていく、それが作るという事ですよ」
こんな捉え方が出来るそうです。

何分、日本最古の書物です。
「本当の意味がこうであったのか?」を知る事は中々難しい事です。

ですが、このように考えると日本が物作りの国としてその歴史を育んできた事がとても自然な気もします。

さて、話をテニスに戻します。

実はテニスの上達にも全く同じ事が言えます。

テニスは一度作れば終わりと言う物ではありません。
つまり「覚えて身につける物では無い」という事です。

一般的には「正しい打ち方(最新の打ち方)」「正しい身体の使い方」「正しい配球」「正しい戦術」・・・・
これらを覚え、身につける事が上達への早道と考えられています。

その為に、ほとんどの指導が「〇〇はこうしましょう」「〇〇は違います。〇〇で打ちましょう」となるわけです。
これは「一つの目指すべき答えが決まっていて、それを覚える為に練習する」という事になります。

「修理固成(つくりかためなせ)」の考え方とは少し違います。

「修理固成(つくりかためなせ)」は「何度も修正、修繕を繰り返し、少しずつ良くしていく」と言う考え方です。
つまり、逆に言えば、最初は不完全でも構わないという事です。

「不完全な物から徐々に、より良い物を目指していく」こう考えます。

では、これをテニスに置き換えるとどうなるか?

フォームや打ち方、配球、展開・・・・
全ては不完全でも構わないわけです。
そして、いきなり理想のゴールを目指す必要もないのです。

ところが、捉え方を間違えると厄介な事が起こります。
「この打ち方は間違い」
「この打点は間違い」
「このグリップは間違い」
「このフットワークは間違い」
「この配球は間違い」
「このポジションは間違い」
・・・・・・となってしまいます。

「間違いを正す事」と「修理固成(つくりかためなせ)」は少し意味合いが違うように思います。

私的には「間違いを正す事」は現状を否定し、正しい物を追い求めるイメージがします。
それに対し、「修理固成(つくりかためなせ)」は現状を否定せず、「それで良いけれど、もう少し良くなるにはどうしたら良いか?」というイメージです。

この二つには二つの違いがあるように思います。
一つは「現状を否定するか?それとも、肯定するか?」
そして、もう一つは「ゴールがあるか?ゴールが無いか?」

「間違いを正す事」は現状を否定し、正しく変われば、それで終わりです。
つまりゴールがあります。

それに対し「修理固成(つくりかためなせ)」は現状は既に正しいです。
ですが、どこまで行ってもゴールがありません。

この考え方こそが日本が物作りの国として高い技術力を有してきた一番の理由ではないでしょうか?

ところが、残念ながら、今のテニスの常識はそうではないように思います。
これはテニスが西洋のスポーツである事が関係しているのかもしれません。

いずれにしても、35年以上テニスコーチをさせていただいて、テニスの上達には「修理固成(つくりかためなせ)」の考え方が非常に大切だと私は思っています。
また、実際にトッププロ達は常に「修理固成(つくりかためなせ)」を実践しています。

以前にもお話ししましたが、フェデラー、ナダル、錦織選手を始めトッププロ達のフォームや打ち方、戦術、戦略は常に変わり続けています。
例え、世界ランキングNO1になったからと言って、その状態を維持しているわけではないのです。

つまり「修理固成(つくりかためなせ)」を実践しているわけです。
もし、世界ランキングNO1の技術と戦略が最高なら、そこから改善する必要は無いはずです。

ですが、現実はそうではありません。
彼等は常に変化し続けているのです。

それは、何故なのか?
理由は彼等の在り方が「修理固成(つくりかためなせ)」だからではないでしょうか。
そして、だからこそ、あれほどの高みに上る事が出来たのではないでしょうか。

だとするならば、テニスの練習でまず、必要な事は「修理固成(つくりかためなせ)」の捉え方を持つ事だと私は思うのですが、あなたはいかがでしょう?

もし、あなたが私の考えに賛同していただけるなら、実践してほしい事が大きく二つあります。

一つ目は。
現状のあなたのプレーは全て正しいです。
どこにも間違いがありません。
この事に気づいてください。

二つ目は。
テニスにゴールはありません。
どれだけ、良くなっても、まだまだ先があります。
ですから、焦らず、楽しみながら、少しずつ改善していきましょう。

この二つです。
どちらもテニスの上達にはとても大切な考え方です。

最後に実はこの二つのポイントは大脳生理学的にも非常に重要な条件である事を紹介しておきます。
現状を否定すると脳はネガティブなイメージと直結し、集中力を低下させます。
ところが、現状を肯定すると、ポジティブなイメージが湧き、集中力が上がります。

集中力が高まると新しい閃きや発想が湧き、進化、成長する事が出来ます。
すると、段々追求する事が楽しくなります。
また、それが更に集中力を高める源になり、好循環回路を作ります。

この好循環回路は脳が持つ本来の能力を発揮する為に最も重要な条件だと言われています。

こう考えると、実は日本最古の書物である古事記には既に人間の脳力を発揮する為に最も重要な事が記されていたのかもしれません。
また、だからこそ、日本は物作りの国として、途絶える事無く、発展し続ける事が出来たのかもしれません。

そう考えると、日本人が世界のテニスのトップに君臨する事も決して難しい事では無いように思います。
そんな想像をするとワクワクが止まらないのは私だけでしょうか。

本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

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