答えを持たない

テニスの上達の為に
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今日のテーマは「答えを持たない」です。

テニスはほとんどの場合、必ず何らかの答えを持って練習すると思います。

例えば、それはスイングの方法であったり、身体の使い方であったり、または展開や配球の方法であったりします。
また、テニスコーチからは「こうしましょう」「ああしましょう」とアドバイスがあるでしょう。

そして、生徒さんはそのアドバイスを実行しようとします。
アドバイスが答えとなり、その答えが身に付くように練習するわけです。

この方法は一見、とても正しく、こうする事で早く上達するように思います。
私も昔はそう思っていました。

ですが、実はそうではありません。
答えを持って練習する事は本当は上達するのが難しく、非常に遅い方法です。

コーチが答えを示せば、示すほど、生徒さんの上達は止まります。
私はこの事を35年、テニスコーチを続けて、身をもって知りました。

答えとその理由を分かりやすく伝えれば、伝える程、生徒さんは理解納得してくれます。
ところが「頭ではわかったが、実際には中々出来ない」という状態に陥ります。

実は、生徒さんには答えを渡さない方が良いのです。
練習は何の答えも持たない方がとても効果的です。

こうすれば、驚くほどの速度で「出来る」ようになるからです。

ただし、コーチは何もしないで、「ただ、闇雲に練習してもらえば良い」と言っているわけではないんです。
これはあまりにも不効率です。

その代わりに私は疑問や興味を持ってもらうように問いかけます。
そうすると、生徒さん自身が疑問や興味を追求し、新しい何かを発見してくれます。

この追求こそが練習であり、上達し続ける為に必要な過程です。

例えば、フォアハンドのトップスピンが上手く打てない生徒さんがいます。
一般的にはこのような場合、そのコツや方法をアドバイスします。

「スイングを下から振る」
「ラケットヘッドを下げる」
「膝の曲げ伸ばしを使う」
「身体を捻る」
「打点を前にする」
・・・・・・・・・・・・・・・・

無数のアドバイスがありますが、この中からその生徒さんが陥っている状況に合わせてアドバイスします。
つまり、ある「答え」を手渡すわけです。

そうすると、生徒さんはその答えが正しいと言う前提で練習していきます。
先に答えがあって、その答えを身につける為に練習が必要と言う考え方です。

ですが、実はこの考え方は上達が難しいです。

理由は答えは無数にあるからです。
どれが本当の答えかは誰にも分からないのです。

例えば、身体の捻りに問題があるかもしれません。
または、ラケットの軌道に問題があるかもしれません。
または、打点に問題があるかもしれません。
または、それら全てかもしれません。

これはどんなに優れたテニスコーチにも分からないのです。

その為に、答えを持って練習すれば、するほど、生徒さんは間違った答えに向かう事になるわけです。
それが結局、上達が止まってしまう理由になります。

では、もっと早く上達するにはどうすれば良いのか?
それは、先ほどもお話ししたように、答えを持たず、ただ、疑問や興味だけを持って練習する事です。

「どうすれば、トップスピンがかかるかな?」と疑問に思う。
これだけで良いのです。
後はただ、ボールに集中し、練習します。

そうすると、練習で体験した事からいろんな発見が生まれます。
これが本当の答えです。

「答えを持たずに練習する」とは「分からないまま練習する」事になるので、一見「難しく、中々上達しそうにない」と思うかもしれません。
ですが、それは勘違いです。

答えを持たないからこそ、全ての経験が発見に繋がり、それが上達に結びつきます。
「一球たりとも、無駄がない」状態になります。

ところが、答えを持って練習すると「答え通りだったか?それとも答えと違ったか?」
この二択になります。

つまり、ほとんどの経験は無駄になってしまいます。
これが上達が難しくなる理由です。

ちなみに「答えを持たずに練習する」事は簡単な事じゃありません。

ついつい、何らかの答えに頼ってしまいます。
そして、結局は同じところをグルグルと迷走してしまう事になります。

分からないまま前に進む事は勇気が要る事です。
だからこそ、多くの人が伸び悩んでしまうのです。

ですが、あなたは迷走しないでください。
少し勇気を出して、答えを持たずに練習してみてください。

必ず、あなたにとっての本当の答えをあなた自身が導き出す事が出来ます。
この考え方が身に付いた時、あなたは自分でも驚くほど急成長します。

私はその時をとても楽しみにしています。

本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

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