早速ですが今日のテーマです。
今日は「勝ちに不思議の勝ちあり」についてお話しします。
江戸時代の剣術の達人、肥前国平戸藩、第9代藩主、松浦静山がこんな言葉を残しています。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
プロ野球界の名監督、野村克也氏の座右の銘としても有名な言葉です。
意味を簡単に説明すると。
勝つ時は勝った本人が「どうして勝てたか分からない」と感じる事がある。
ところが、負ける時は必ず、負けるべくして負けている。
負ける理由が必ず存在する。
こういう感じです。
試合に勝てないと、どうしても「勝ちたい」「勝ちたい」と言う想いが強くなります。
ですが「勝ちたい」と言う想いが強ければ、勝てるわけではありません。
逆にその想いが「負ける理由」になる事が多々あります。
勝ちに拘る想いが雑念となり、勝つ為に必要な事が出来なくなる事があるからです。
試合は本人が勝とうと思わなくても、勝つ為に必要な事を淡々と繰り返していれば、やがて、自ずと勝利が近づいてきます。
この時、本人は必要な事に没頭しているので「勝ちたい」と言う想いを忘れています。
にも関わらず、勝ちが勝手に手に入ります。
その為に、本人の感覚としては「勝とうと思っていないのに勝ってしまった。どうしてだろう?不思議だ」となるわけです。
これは言い換えれば「相手よりも集中力が高かったから結果的に勝てた」と言う事です。
集中力とは頭の中を空っぽにして、没頭する力です。
「勝ちたい」と言う想いが頭を支配している状態は、集中力が高い状態とは言えません。
「そんな事を忘れて、するべき事に没頭している」こんな状態が集中力が高い状態です。
つまり「勝ちに不思議の勝ちあり」とは「勝ちたい」と言う想いを忘れるぐらい、集中力が高まった状態と言えるわけです。
試合に強くなるには、まず、この経験をする事がとても大切です。
いわゆる「勝つ」コツのような物です。
強くなるプレーヤーはどこかでこの経験をしています。
逆に、中々強くなれないプレーヤーはこの経験がありません。
試合になると「勝ちたい」「勝つぞ」と言う想いが頭を支配したまま、いつもプレーしてしまうのです。
残念ながら、この状態では「不思議の勝ちあり」を経験する事が出来ません。
特に今まで、勝てなかったプレーヤーが勝ち始める為には「不思議の勝ちあり」をどれぐらい経験する事が出来るか?
これがとても重要になります。
「不思議の勝ち」を経験する事で、段々と「勝ちたい」と言う想いが頭を支配していると勝てない事が感覚的に分かってくるからです。
それと同時に「勝ちたい」と必要以上に思わなくても「勝てる時は自然と勝てる」と言う事が分かってきます。
と言うより、むしろ「勝ちたい」と言う想いが変に強いと「逆に勝てない」と言う事が分かるのです。
「勝ちたいと思わないのに勝てる」
これは一見すると、矛盾にように思うかもしれませんが、そうではないのです。
もちろん、「勝っても、負けても、どっちでも良い」と言うような、いい加減な状態では強くはなれません。
「勝ちたい」「強くなりたい」と言うモチベーションは非常に大切です。
ですが、実際の試合中はその想いは雑念となって、かえってプレーのパフォーマンスは上がりません。
試合中は勝つ為に必要な事を「ただ没頭してプレーする」集中力が高い状態を維持する事。
これが必要になります。
そうすると、試合が終わった時、「不思議の勝ち」を経験する事になります。
「不思議の勝ち」の経験を繰り返すと、やがて「勝とう」とすれば、するほど「勝ちを手放す」と言うある種の矛盾の状態でプレーする事が上手になります。
これが勝負に強いプレーヤーが身に付けている感覚です。
一流プレーヤーは負けそうになるほど、強くなるのが特徴です。
彼等は負けそうになるほど、頭の中から「勝ちたい」と言う想いを捨てて、必要な事だけに没頭できる集中力を身に付けています。
それが彼等の強さの秘密です。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
良かったら参考にしてみてください。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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