早速ですが、今回は「感覚と言葉」と言うテーマでお話しします。
まず、結論です。
感覚は言葉で伝える事が出来ません。
この事を知っておく事は、テニスの上達にとても重要な事です。
と言うのは、感覚を言葉で伝えてもらって、それを目安に練習される方が非常に多いからです。
残念ながら、これをするとテニスは伸び悩みます。
気持ちはとても良く分かります。
上手なプレーヤーが実践している感覚を聞いて、それを真似れば、上手く出来そうな気がします。
ですが、現実はそうではありません。
実は他人の感覚を聞いて、真似れば、真似るほど、テニスは難しくなります。
理由は言葉には必ず、その人のフィルターがかかっているからです。
もちろん「伝える人の言葉に間違いや偏見があるから」と言う意味ではありません。
どんなに正しく、誠実に、事細かに言葉で伝えても、それは、あくまでも、その人個人の感覚であり、他人の感覚とは全く違う物です。
人は必ず一人一人違った個性を持っています。
同じ個性の人は誰一人いません。
これと同じように感覚やイメージはその人の固有の物で、個性の一部と言っても良い物です。
ですから、どんなに丁寧に伝えても、言葉を介した時点で違う物になってしまうのです。
例えば。
私が先日、食べに行ったカレー屋さんのお話しをあなたにするとします。
「こんな香りで、こんな味で・・・・・」
と事細かに、私が感じた感覚を説明します。
「とっても美味しかったから、一緒に行こう」とお誘いします。
そして、そのお店で私と一緒にそのカレーを食べたとしましょう。
さて、この時、あなたはそのカレーをどう感じるでしょう?
私と同じ感想を持つでしょうか?
いいえ、その可能性は非常に低いです。
「確かに美味しいが、想像してた味と違う・・」
場合によっては。
「思ったほど、美味しくない・・」と思うかもしれません。
ちなみに私は辛い物が苦手なので、私が「美味しい」と感じるカレーは、他の人にとっては「物足りない」と感じる事が多いからです。
このように人の感覚やイメージは、想像以上に「当てにならない物」です。
もちろん「その人の感覚や説明がいい加減だから」と言うわけではありません。
感覚やイメージは一人一人、固有の物だらかです。
ですから、言葉を聴いて、感覚やイメージを想像しても、それは「思っていたのと違う」と言う事になるわけです。
さて、話をテニスに戻します。
実はテニスにも全く同じ事が言えます。
どんなに上手なプレーヤーの感覚やイメージの説明を聞いても、それは、そのプレーヤー個人の感覚です。
あなたの感覚と一致する可能性は非常に低いです。
むしろ、出来るようになると「聴いて想像していたのと違う」と感じる可能性の方が高いです。
カレーの味であれば、一緒に食べれば、答え合わせが出来ます。
ですが、テニスはそれが出来ません。
「答え合わせをせずに、言葉で聞いたカレーの味を再現する」
これが非常に難しく、至難の業なのは、容易に想像できると思います。
ですから、どんなに上手なプレーヤーの感覚やイメージであっても、それを頼りに練習する事は、テニスを余計に難しくしてしまう事になるのです。
では、どうすれば、自分の感覚を掴む事が出来るか?
答はとても簡単です。
「自分の感覚に頼る」
これが最も早くテニスが上達する方法です。
「そんなの難しいよ・・・」
「上手な人に聞かないと分からない・・・」
そんな風に思うかもしれません。
ですが、安心してください。
お料理を食べれば、必ず、何かを感じます。
そして「美味しい」を追いかければ、自然と自分の好みの味が明確に分かるようになります。
これとテニスも基本的には同じです。
ボールを打てば、必ず、何かを感じます。
「ボールが重い、軽い」
「ボールが飛ぶ、飛ばない」
「振動がある、ない」
・・・・・
何も考えず、ただ、ボールを打てば、必ず色々な事を感じるはずです。
この「感じる事」を頼りに練習をします。
そして「気持ち良さ」「やり易さ」を追いかけます。
「気持ち良さ」「やり易さ」のフィーリングは上達の基盤になる物です。
子供たちはこれを基準に練習していきます。
「他人の感覚」なんて、頼りにしません。
「自分の感覚でやりたいようにやる」
だから、上達が早いのです。
大人であっても、これは同じです。
「自分の感覚を頼りに、自由にプレーする」
これが最も早く上達する秘訣です。
他人の感覚やイメージに惑わされないでください。
ぜひ、ご自身の感覚に自信を持ってくださいね。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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