フィーリングテニスでは見かけ上のフォームを指導する事はありません。
なぜなら、それは結果だからです。
そのようなフォームや動きになる理由が必ずあります。
ですから、私は動きのチェックからその本質的な理由を探り、その理由を改善します。
すると動きやフォームも自動的に改善されて行きます。
それもプレーヤー本人はフォームや動きを変えようとしていないのに。
つまり、自然に変化していくわけです。
自然な変化はとても大切な事です。
なぜなら、プレーヤーが動きを意識し始めるとボールへの集中力が低下し、結局、ボールへの対応力が向上しないので、テニスのパフォーマンスは上がりません。
ですから、プレーヤーはできるだけ動きを意識しないでボールだけに集中して練習する必要があります。
ですが、コーチは別です。
プレーヤーの動きのレベルを向上させる為に、どの部分が良くて、どの部分が悪いのか?
また、その原因は何か?
これがわからないと指導できません。
その為には人間の動きの本質を知っておく必要があるんです。
ちなみにその動きを知るために1番大切な事は「見かけ上の動きと実際の動きは全く違う」と言う事を知っておく事です。
多くのプレーヤーやコーチが勘違いしている一番の原因はここにあります。
目に見えた動きを真似ようとするので、一見良く似ているように見える動きになるのですが、本質的な部分が全く違う動きになります。
これが怪我や故障、またパフォーマンスの限界を作り出してしまうんですね。
では、ここで、見かけ上の動きと本質的な動きの違いの例を挙げてみます。
人は歩く時、足はどの方向に出しているように見えますか?
普通、単純に動く方向に出しているように見えると思います。
でも、実はそうではないんです。
足はまっすぐ出されているのではなく、若干ですが、外側に向かって出されています。
この理由は骨盤がローテーションしているからです。
つまり、右足が前に出ている時は右の骨盤も少し前。
逆に左足が前に出ている時は左の骨盤が少し前。
こんな状態を交互に繰り返しているわけです。
では、その骨盤に付いている足は?
左足が前に出ている時は右の骨盤が少し後ろに下がっています。
この状態で次に右足をまっすぐ前に出すとどうなるか?
骨盤が左にローテーションするので足は左の方に出ていくことになります。
ところが、実際には人間はそんな動きはしません。
骨盤のローテーションを見越して、右足を少し外側に外旋させながら動いているのです。
つまり、足は真っ直ぐに前に出しているのではなく、常に外旋しながら、歩いていると言う事です。
でも、人が歩いているのを見ても、そんな風には見えませんよね。
これが見かけ上の動きと実際の動き、また、実際の力の向きが違うという例です。
たった、「歩く」と言う単純な動きでさえ、このように目に見える動きと実際の動きは全く違うんです。
ましてや、テニスのフォームなどは見かけの動きと本質的な動きは全く違います。
ですから、見た目の動きを真似たところで、ほとんど役にたたないんです。
役にたたないどころか、逆に本質から離れていく悪い癖をつけるだけです。
これがテニスの上達を邪魔する訳です。
だから、フォームを意識して改善するなんて事は早く止めたほうが良いんです。
では、一体どうしたら、本質的な動きを身につける事ができるか?
答えはとても簡単です。
動きの事は身体に任せれば良いんです。
身体は自分の身体の事を一番良く知っています。
ところが、頭や意識で無理にコントロールしようとする(正しい動きを意識する)ので、結局、自然で正しい動きを身につける事ができないのです。
それが証拠に先ほどのような歩く動きをどうやって身につけたのでしょう?
経験から自然に身につけて行った訳ですよね。
これと全く同じです。
ちなみに私が指導していて一番苦労する生徒さんはどんな生徒さんか?(笑)
それは正しいフォームや動きを意識している生徒さんです。
こういう生徒さんは身体、頭、意識、ボールが常にバラバラ。。。。
なかなか同調できないんですね。
その結果、テニスのパフォーマンスも上がってきません。
その一番大きな原因が正しいフォームや動きを意識している事なんです。
これが無くなるとまず、ボールへの集中力が上がります。
するとボールと意識、頭が同調し始めます。
次に身体がボールに同調し始め、自然で無理のない、正しい動きを見せ始めます。
頭が黙るので本来の身体の動きがやっと出始めるというわけです。
こうなれば、いろんな新しい発見が見つかります。
もちろん、テニスが上達するヒントです。
あなたにもぜひ、こんなステップでテニスを楽しんでみて欲しいんです。
その為には理想のフォームや動きを忘れる事がまず、最初に必要な事です。
後はボールに集中するだけ。
とっても簡単ですよね。
さて、本日のお話は以上です。
よかったら参考にしてみてください。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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