こんにちは。
フィーリングテニスの戸村です。
今日は「ボールとの接触時間」をテーマにお話しします。
テニスでは「潰す」「乗せる」「運ぶ」など、ボールの扱いに関するアドバイスが数多く存在します。
ですが、実はこれらのアドバイスが伝えたい事は基本的には同じです。
それは何か?
それはボールとの接触時間を長くする事。
これが目的です。
テニスラケット(ガット)がボールとコンタクトしている時間は非常に短いです。
一般的には「3~5/1000秒」と言われていますから、ほんの一瞬ですよね。
ですが「この3~5/1000秒でボールの全ての質が決まる」と言っても過言じゃありません。
それぐらいインパクトの瞬間は大切です。
では、この接触時間が具体的にどんな影響を与えるか?
例えば。
ストレート、クロス、逆クロスの打ち分けが苦手な方、接触時間が短いです。
また、高いボールと低いボールの打ち分けが苦手な方、接触時間が短いです。
更に、トップスピンやスライスが苦手な方、やはり接触時間が短いです。
このようにボールとの接触時間はボールの質の全てに関わっています。
中でも、特に重要なのがトップスピンやスライスを打つ時です。
接触時間が長い方が質の高い回転がたくさんかかります。
ストレートやクロスなど方向を変えるには、ラケット面を操作するだけで打てない事もありません。
ですが、回転をかけるのはそういうわけにはいきません。
ですから「ボールの行き先は何となくコントロール出来るけど、回転をかけるのは苦手」
こういう方は間違いなくボールとの接触時間が短い方です。
つまり、こういう方がレベルアップを目指すにはボールとの接触時間に注目して練習すると効果的と言うわけです。
例え「1/10000秒」でも接触時間が長くなるとそれはボールの操作性に直結します。
「3~5/1000秒」のうちの「1/10000秒」ですからその影響は非常に大きいです。
それだけ、コントロールが良くなるし、威力も増します。
更に、ボールの回転数も増えます。
逆に言えば、いくら振り方や打ち方を変えても、ボールとの接触時間が変わらなければ。
見た目は変わっても、テニスの質は変わらない。
つまり、「結局は何も変わらない」のと同じです。
一般的にはテニスの指導と言えば、ラケットの振り方や體の使い方が指導されます。
確かに、それらを練習する事で、ボールとの接触時間が変わる可能性もあります。
ですが、根本的にもっと大切な事があります。
それは「今、どれぐらいボールと接触しているか?」と言う現状を認識する事です。
もちろん、頭で考えても、分かる事ではありません。
インパクトの瞬間を手のひら、體で「その違いを感じる」
接触時間を長くするには、この感覚を磨く事が必要です。
そうして、ボールとの接触時間を感じる事で、スイングの軌道や方向がブラッシュアップされます。
その結果、振り方や、打ち方がどんどん良くなっていくわけです。
トップ選手たちがなぜ、今のあのフォームになったか?
それはボールとの感覚に頼って練習を繰り返したからです。
指導されたフォームを覚えたからではありません。
残念ながら、そういう選手は強くはなれません。
どんな感じで振れば、ボールに力が加わるか?
どんなタイミングで振れば、ボールに回転がかかるか?
どんな面で捕らえれば、ボールの方向が変わるか?
・・・・・・
こういう物を繰り返し、感じ続けた結果、今の動きに辿り着いたわけです。
その大元になる物がボールとの接触時間です。
接触時間が長ければ、それだけ多くの情報をキャッチする事が出来ます。
その為に、ボールとの接触時間の長さはボールの質と直結すると言うわけです。
では、どうすれば、接触時間を長くする事が出来るか?
ここで出てくるのが「潰す」「乗せる」「運ぶ」などのアドバイスです。
その表現は違いますが、どのアドバイスも「ボールとの接触時間を長くする」事が目的です。
例えば、「ボールを押す」と言うアドバイスもその一つ。
「押す」と言う事は「それだけ長くボールに力を加える事が出来る」
つまり、接触時間が長いと言う事でもあります。
逆に「押せない」と言う事は「接触時間が短い」と言う事になります。
ただ、ここで注意しないといけないのは、テニスに必要な「押し」は「単純に押す動作では無い」と言う事です。
これは「潰す」「乗せる」「運ぶ」も同様です。
それぞれの単純な動きではありません。
テニスは筋力、腕力ではなく、エネルギーを作るには、少なからず身体を回転させる必要があります。
この時、遠心力が発生し、それを上手く利用する事でボールに強くエネルギーを加える事が出来るからです。
回転運動でありながら「潰す」「乗せる」「運ぶ」「押す」運動。
これは非常に矛盾があります。
ですから、回転運動でありながら、出来るだけ長い時間接触し、ボールに力を加える事が出来る軌道。
これがテニスで欲しい「潰す」「乗せる」「運ぶ」「押す」動きです。
これを掴むには、ボールとコンタクトした瞬間を掴む感覚に頼るしかありません。
ちなみにテニスでは
「もっとボールを乗せるように打ってください」
「もっとボールを運ぶように打ってください」
「もっとボールを押すように打ってください」
こんなアドバイスが使われます。
その時、「それじゃボールを飛ばせないじゃん」
こんな風に思われた方もおられるかもしれません。
ですが、そのアドバイスの意味はこういう事なのです。
その為に、ボールとの接触時間が短くなる「飛ばす」「叩く」「弾く」イメージはあまりお勧めできません。
いずれにしても、結果的にインパクトでボールと長く接触しているスイング。
これがテニスでは非常に重要になります。
そして、そのスイングを身につけるには、コンタクトした瞬間を感じるしか、方法はありません。
「振り方や打ち方はその目安にしかならない」と言う事です。
振り方や打ち方を良くすれば、接触時間が長くなるわけでは無いので注意してください。
接触時間を長くした結果「良い振り方や打ち方が身に付く」と言うわけです。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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