今回のテーマは「ポイントの取り方」についてです。
ポイントの取り方と言っても、戦術やテクニックではなくて、テニスの試合中ポイントはどのような状況でお互いの間を行き来するのか?
この事についてお話します。
実はこの事を理解するのは試合が強くなるには非常に大切なことなんです。
では、まず、この名言をご紹介します。
「テニスの試合は、常にミスによって敗北に至り、プレースメントによって勝つことは決してない。」
これはビル・チルデンの名言です。
ビル・チルデンは「ビッグ・ビル」と呼ばれ、全米6連覇を含むグランドスラム10大会優勝を達成したアメリカのプレーヤー。
また、アメリカ人でウインブルドンに始めて優勝したプレーヤーでもあります。
その彼がテニスは「プレースメントによって勝つ事はない」と言っているんですね。
これはどういう事かと言うと、エースを取って勝つのではなく、相手のミスによって勝つと言う事です。
世界のトップのプレーヤーでもこれがテニスの試合なんです。
だとすれば、一般のプレーヤーだとしたらどうなるか?
もちろん、この名言が間違いなく当てはまると言う事です。
ちなみに試合に勝利するするプレーヤーはどういう背景でポイントを積み重ねていくと思いますか?
テニスは自分がポイントを取るには二通りしかありません。
一つは「自分がエースを決める」
もう一つは「相手のミス」
この二つだけです。
では、この二つの割合はどれぐらいでしょう?
自分のエースは5割?7割?
ではここで2007年のフェデラーVSナダルのデータをご紹介しますね。
少し古いデータでも申し訳ないんですが参考にしてみましょう。
【ナダル】
1stサーブ:77%
サービス・エース:2
ダブル・フォールト:1
1stサーブでのポイント:70%
2ndサーブでのポイント:55%
リターンでのポイント率:38%
アンフォースト・エラー:28
ウィナー(サーブを含む):13
ネット・アプローチ率:11/255=4.3%
ネット・アプローチ成功率:7/11=64%
ブレーク成功率:4/10=40%
ポイント取得率:136/255=53%
【フェデラー】
1stサーブ:64%
サービス・エース:9
ダブル・フォールト:1
1stサーブでのポイント:66%
2ndサーブでのポイント:55%
リターンでのポイント率:34%
アンフォースト・エラー:60
ウィナー(サーブを含む):18
ネット・アプローチ率:34/255=13%
ネット・アプローチ成功率:21/34=62%
ブレーク成功率:1/17=6%
ポイント取得率:119/255=47%
この試合に勝ったナダルが取ったポイントは136ポイント
その内ナダルの取ったウィナーはたったの13本です。
これは割合にしてなんと9.5%です。
一方のフェデラーが取ったポイントは119ポイント
そしてウィナーが18本
割合は15%
ちなみにこれはレッドクレーであるフレンチオープンのデータです。
ですから、ウィナーの数は少ない部類だと思います。
コートサーフェスが速くなればこの数字は変わってくると思います。
とは言うもののウィナーの割合が30%や40%になる事はありません。
つまり、テニスのポイントの取り方はほぼ9割がアンフォーストエラー、
またはフォストエラーの数だと言う事です。
と言うことは自分が取るポイントの9割は相手がボールに触ってミスをしているわけですね。
いかがです?
テニスのポイントの取り方をご理解いただけたでしょうか?
では、テニスのポイントの取り方の9割が相手のミスだとしたら?
一体どんな練習をするべきなのか?
ここにヒントがあると思います。
ちなみに最近、成長著しい錦織選手が少し前にこんなコメントをしています。
「やりたいプレーと勝つプレーが違うので、今、自分と戦っています。」
このコメントは2011年の物です。
丁度、彼が世界ランキング25位の頃です。
彼が最近急激にランキングを上げているのもこのあたりにターニングポイントがあったのではないでしょうか。
さて、話を戻しますが、
テニスのポイントの取り方のほぼ9割は相手のミスです。
だとすれば、テニスの試合が強くなるには「どうしたら自分のミスを減らし、相手のミスを誘う事ができるか?」
ここに焦点を絞って練習をするべきですね。
間違ってウィナーを取ることに焦点を当てすぎるとたった1割のポイントの為の練習に終始することになります。
これでは、いくら練習をしても試合で結果が出る事はありません。
さて、あなたは今どんな事に焦点を当てて練習をしていますか?
自分のミスを減らし、相手のミスを誘う練習をしていますか?
それともベストのボールを打つ練習をしていますか?
ここをちょっと振り返ってみてください。
きっとそれだけであなたの練習はこれまでと違った物になると思いますよ(・∀・)b
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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