今日のテーマは「勝負強さ」です。
テニスは技術レベルが高い方が強いわけではありません。
強さと上手さは別の物です。
技術レベルがそれほど高くなくても試合には強いプレーヤーはたくさんいます。
逆にとても上手なのに試合になると中々勝てないプレーヤーもいます。
ではこの違いは何か?
もちろん、複数の要素がありますから、今からお話しする事が絶対に全ての人に当てはまるわけではありません。
ですが、多くの人が勘違いしている事は間違いがありません。
では、その勘違いとは何か?
それは、勝負の勝ち方を勘違いしている事です。
試合の勝ち方を勘違いしているプレーヤーは全力を出しながら戦って、相手に打ち克つ事をイメージしている方が非常に多いです。
このような勝ち方は一見すると正しいように思うかもしれません。
ですが、これは大きな勘違いです。
実は勝負事で最も優れた勝ち方は「戦わずして勝つ」事です。
「百戦百勝は善の善なるものに非(あら)ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。
(百戦は百勝といっても最高の戦い方ではない。敵兵と戦わないで屈服させることこそ最高の戦い方である)」
「孫子の兵法」にはこんなふうに書かれています。
つまり、「毎回、全力を出し切って勝つよりも、こちらは戦わないで相手が負けるように仕向ける事が最高だ」と言ってるわけです。
自分が全力を出して戦う事には大きなリスクが常に伴うからです。
例えば、テニスでは最高のパフォーマンスを求めるとどうしてもこちらのミスの確率が高くなり、自滅する可能性が出てきます。
また、仮に最高のパフォーマンスを何とか発揮したとしても無駄に体力を消費する事になります。
つまり、勝利を手にする代わりにこちらも何らかの痛手を被ると言う事です。
また、そもそもこちらが自滅して負けてしまう可能性も高まるわけです。
では、「戦わずして勝つ」とはどういう事か?
そこで必要になる物が戦略、戦術、作戦です。
自分は全力を出すわけではなく、上手く作戦を立てて、相手が負けるように仕向けて行くわけです。
実は試合で勝負強い人はここがとても上手です。
逆に試合に中々勝てない人はここを勘違いしています。
ですから、いつも全力で良いプレーをしようとして自分の方が深みにはまっていきます。
例えば、どう見ても自分よりも上手に見えないプレーヤーと試合をして、相手にゆっくりと繋がれて「自分がミスを繰り返してしまう」
そして「自滅して負けてしまう」こんな試合はとてもよくある事です。
これは明らかに相手の作戦勝ちです。
相手は全力で戦うのではなく、ただ、安全に返す事でこちらのミスを待っているのです。
つまり「戦わずして勝つ」を実践しているわけです。
ところが、相手にゆっくり繋がれて負けてしまうとほとんどの方が。
「今日は調子が出なかった・・・」
「決めるべきところで決めれなかった・・・」
「相手のボールに合わなかった・・・」
こんな風に考えがちです。
そして、「今度の試合はミスしないようにしっかりと打つぞ」とイメージして練習を繰り返します。
ですが、それは大きな勘違いです。
これは相手の作戦に完全に嵌められたのです。
「戦わずして勝つ」を実践しようとした相手の作戦勝ちです。
相手に有効な作戦を実行する事ができると多少の技術の差は直ぐに逆転します。
この場合、自滅したのではなく、自滅させられたのです。
この事を知らないと、同じ事を繰り返す事になります。
試合は技術以前に「どんな風に勝負するか?」
戦略や戦術、作戦がとても重要です。
ノープランで試合に臨む事は相手の罠に正面から向かって行くような物です。
もちろん、相手がノープランならそれでも何とかなるかもしれません。
ですが、相手が少し試合に慣れていれば、こちらは非常に不利です。
こちらもそれなりの作戦を立てて、臨む必要があります。
ただ、試合、直前でいきなり作戦を立てて実行しようとする事には無理があります。
普段そんな練習をしていないのに、当日だけ実行する事は不可能です。
常日頃から、作戦を実行するように練習をしておく必要があります。
もちろん、一番大切な事は「戦わずして勝つ」を実行する事です。
テニスでは自分は出来るだけリスクを負わず、安全なプレーを心がける事です。
簡単に言えば、イージーミスの少ない安定したプレーです。
まずはこれを身につけておく事です。
もちろん安全なプレーだけでは、攻められて太刀打ちできないレベルの相手と戦わなければならない時もあるでしょう。
そんな時はこちらもリスクを背負って戦う必要が出てきます。
ですが、相手がそのレベルでなければ、自分は戦う必要は無いのです。
相手が自滅する作戦を実行して、自分が勝つのではなく、相手が負けるように仕向けます。
実はこの勝ち方が最良の勝ち方なのです。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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