怪我から復帰した今年、驚異的な強さを発揮しているナダル。
特にクレーシーズンに入ってからは、まさにクレーキングと呼ばれるにふさわしい成績を上げています。
さて、今回はそのナダルのフォアハンドの打ち方を身に着けるポイントを考えてみたいと思います。
これは2017年のナダルのフォアハンドストロークです。
実はナダルという選手は頻繁にマイナーチェンジを繰り返しています。
特にテークバックの動きやフォロースイングは微妙に変化しています。
それは目指すプレースタイルや球質に対応する為だと思います。
ナダルと言えば、強烈なスピンのかかったボール、そして、その為にフォロースイングが頭の後ろにくるイメージが強いと思います。
ですが、どうでしょう?
この動画を見る限り、フォロースルーは頭の後ろではなく、しっかりと前に振りぬかれている場面が非常に多いですね。
それだけ、スピンよりも前への推進力を重視している表れと言えるでしょう。
実際に彼の最近の試合を見ていると球速が増して、ウィナーを取る場面が増えています。
ただ、以前から全く変わっていない部分もあります。
それはストレートアームの打法である事です。
ナダルはフェデラー同様、腕が伸びきった状態でインパクトします。
この打法は肘が曲がるダブルベントの打法に比べて、より強くボールをヒットできるのが特徴です。
彼はその強さを回転に使っているんですね。
さて、それではナダルのフォアハンドストロークを身に着ける時のポイントについて紹介します。
ポイントは大きく4つあります。
1.グリップ
「ナダル=強烈なスピン」と言うイメージがあるので、「グリップが厚い」と勘違いされがちですが、実はそれほど厚くありません。
グリップの厚さで言えば、ジョコビッチや錦織選手のほうがずっと厚いです。
と言うのはストレートアームの打法はグリップが厚いとできないからです。
ストレートアームで打つ選手、フェデラー、ナダル、デルポトロ、ディミトロフ・・これら全ての選手がグリップはセミウエスタン、または場合によってはもっと薄い場合もあります。
ですから、ナダルのフォアハンドストロークを身につけたい方はまずは、グリップはあまり厚くしすぎない事。
ここは大きなポイントです。
2.テークバックの拳の位置
ストレートアームで打つ為にはスイングはできるだけ直線運動で打つ必要があります。
その為には拳の位置を背中側に引いてしまってはいけません。
彼はテークバックをした時に拳の位置が常に胸側にあるのがわかると思います。
上半身をターンさせますが、拳の位置もそれと連動して、身体の前にあります。
腕を大きくテークバックしてしまうと拳の位置は身体の横から背中に向かって移動してしまいます。
こうなるとストレートアームで打つ事はできなくなります。
3.ラケット面
次のポイントはラケット面です。
テークバックから、スイングに入る直前までのラケット面の向きを確認してみてください。
テークバック時ではラケットは胸側を向き、その面がテークバック完了時には完全に下向きになっているのがわかります。
そして、下向きのまま、インパクトに向かい徐々にラケット面はボールを向き始め、インパクトの時にちょうどボールを捕らえる面の向きになります。
これがナダルを始め、ストレートアームで打つ打法の特徴です。
ダブルベントの打法ではもう少し早くラケット面がボールに向かい始めます。
4.体幹からスイングに入る
最後のポイントは体幹の動きです。
ナダルのようにストレートアームで打つ為にはスイングの初動で体幹から動き始める事が非常に大切になります。
腕が動いてしまうと、多少なりとも、脇を占める動きが発生します。
脇を占めると肘は自然と曲がります。
こうなるとダブルベントの打法になってしまいます。
ストレートアームで打つ為には、腕を振らず、体幹のみが先に動き始める必要があります。
そうする事で脇を占める動きが発生せず、腕は体幹と一緒に動き始めます。
その後、体幹によって、生まれたエネルギーを利用して、腕は伸びきった状態で一気に前方に加速し、振りぬかれます。
その際に、ナダルは強烈な回内運動でラケットをワイプさせてボールをヒットします。
その結果、ボールは前方上方に向かって、強烈な勢いで打ち出されます。
以上の4つがナダルのフォアハンドストロークを身につける為の大きなポイントです。
ただ、アマチュアのプレーヤーがナダルのようなフォアハンドストロークを身につけるのは正直、簡単ではありません。
理由は体力ではなく、3,4のポイントを身に着けるにはかなりの練習量が必要だからです。
よく「プロの技術を身に着けるには筋力、体力が必要」と言う方がいますがこれは正しいとは思えません。
なぜなら、彼らは筋力のない子供の頃からその技術を身に着けているからです。
ただ、その代わりに信じられないほどの練習量をこなしている事は確かです。
その練習量によって、レベルの高い身体意識とイメージを身に着けていきます。
それが、アマチュアプレーヤーがなかなかプロレベルの技術を身に着ける事ができない理由です。
特にポイント4の体幹からスイングに入る事は簡単ではありません。
頭ではわかっていてもついつい腕から初動してしまうのです。
ただ、逆に言えば、アマチュアプレーヤーでも、この4つのポイントを抑える事が出来れば、ナダルのようなストレートアームで打つ事は不可能ではありません。
まずは、出来るポイントから、徐々にチャレンジしてみるのが良いでしょう。
最新のフォアハンドストロークにチャレンジしてみたい方はこちらの動画を参考にしてみてください。
きっと新しいヒントが見つかると思います。
⇒ Feeling Tennis ザ・ムービー フォアハンドストローク セット
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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