今日のテーマは「ミスを忘れる習慣」です。
テニスはミスが無くなる事は絶対にありません。
いくら一生懸命頑張っても、必ずミスは出る物です。
ところが「上手になる為にはミスをしてはいけない」と思っている方がいます。
ですが、それは大きな勘違いです。
もし、上手くなれば、ミスが無くなるのであれば、世界のトップ選手はノーミスで試合をするはずです。
ですが、現実はどうでしょう?
世界NO1のプレーヤーであっても、必ずミスをしています。
これが現実です。
もちろん、技術レベルが高くなると再現性が高くなり、ボールが安定します。
また、再現性を高める事が練習の目的である事は間違いありません。
ただ、試合となれば、話は別です。
先ほどもお話ししたようにどんなトップ選手であっても、必ずミスをします。
もちろん、だからと言って「不用意なミスをしても良い」と言っているわけではありませんよ。
ミスを最小限に抑える事はとても大切な事です。
ですが、そもそも「テニスが上手くなりたい」と思っているなら、ミスする事を望む人など、いないはずです。
ですから、ミスを無くそうと特別に努力する必要は無いのです。
むしろ、ミスを無くそうとする意識が強すぎると、逆にミスが増えたり、消極的なプレーになったりする弊害の方が大きくなります。
では、どうすれば、不用意なミスを減らし、ミスを最小限に抑える事が出来るか?
それは、犯してしまったミスを忘れる事です。
そして、ボールへの集中力を高める事です。
ボールへの集中力を高める為には、頭の中はクリアな状態でなければ、いけません。
頭の中に何か思考が残っていると、ボールへの集中力が下がり、それがミスの一番の原因になります。
そもそも、ミスが出る根本的な原因はボールへの集中力が低くなる事です。
集中力が低いために「ボールと同調出来なくなる」「状況を把握する事が出来なくなる」などの問題が起きます。
その結果「ショットセレクション」や「タイミングのズレ」などが起きます。
これがミスの原因となります。
つまり、ミスを最小限に抑える為には出来るだけボールへの集中力が高い状態を維持する事です。
ボールへの集中力が高い状態を維持する事が出来ると結果的にミスする確率を低くする事が出来るわけです。
その為には終わった出来事をすぐに忘れる事。
特にミスを忘れる事がとても重要になります。
ところが、ミスを無くそうとするプレーヤーは。
「同じミスをしないようにミスの原因を探す」
「同じミスをしないようにミスの原因を修正する」
「同じミスをしないように慎重にプレーする」
などの努力をします。
プレーヤー自身は「ミスを無くしたい」からこそ、努力しているわけですが、現実は逆に働きます。
先ほどもお話ししたように、この意識がボールへの集中力を下げてしまうからです。
ところで、以前、フェデラーのコーチだったポール・アナコーンはフェデラーの強さについてこんな事を言っています。
「ロジャーの最大の特徴はナダルのそれと全く同じだよ。ただし、二人は全く違う性格だけどね。
彼は良くも悪くもその瞬間の感情に流されない。
信じられないほど記憶が短いんだ。
一瞬前に何が起こったは関係ない。
ロジャーは信じられないような凄いショットを打つし、ミスもする。
でも、それを全く気にも留めない。
彼は感情に揺さぶられる事なく、ただ淡々と次のポイントをプレーする」
このようにポール・アナコーンはフェデラーの記憶が短い事、つまり、すぐに忘れてしまう事を絶賛しています。
これは一般的な常識とは真逆の事です。
さて、あなたは彼のこのコメントをどのように思いますか?
これはフェデラーが一流だから出来る事なのでしょうか?
それとも、このように記憶が短いから一流になれたのでしょうか?
私は後者だと思っています。
なぜなら、終わった事をすぐに忘れる事でボールへの集中力を高める事が出来ます。
その集中力の高さによって、様々な感覚を磨く事が出来るからです。
さて、この事に気づけると練習の内容を変える事が出来ます。
ミスをしないように練習するのか?
それとも。
ミスを忘れるように練習するのか?
同じドリルを練習していても、その内容が全く変わります。
私がお勧めする練習は後者です。
人間は良かった事も、悪かった事もとにかく、終わった事が気になる物です。
だからこそ、終わった事をすぐに忘れる練習が必要になります。
そして、それを習慣化する事です。
その習慣がやがて、ライバルたちに大きな差をつける事になります。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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