體を部分的に意識するとテニスは上手くなれない

テニスの上達の為に
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「體」という漢字をご存知でしょうか?
これは「からだ」と読みます。

最近では全くと言っても良いほど、使われなくなった旧漢字ですが、昭和21年までは普通に使われていたそうです。

「骨が豊か」と書いて「からだ」と読む。
中々「言い得て妙」です。

と言うよりも、本来はこうあるべきだと思います。
今の「体」と言う漢字はちょっと違いますね。

その理由は「体」の語源を探ると分かってきます。

「体」の語源は「殻(から)」に接尾語の「だ」がついた語です。
つまり、「体」は「中身(魂)を宿していない外形の部分だけ」と言う意味です。

確かに肉体と魂を分ける時には、その為の表現が必要です。
ですが、「殻(から)」と言うのはちょっと違います。

やはり「骨が豊か」と書く方が「からだ」を表すには適しているでしょう。
その方が骨の意識が高まり、確実に「からだ」の感覚は研ぎ澄まされるはずです。

さて、前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

私達、人間は206個の骨と600以上の筋肉で構成されています。
ちなみに、600以上の筋肉のうち、骨格筋は約40%、つまり、240ほどの筋肉が「體の動き」に関わっています。

これらの骨と筋肉は全てが間接的に繋がっています。
どれ一つして、完全に独立している物はありません。

その為に、どんなに小さなちょっとした動きでも、全身が影響しあっています。
つまり「206個の骨と240以上の筋肉が動いている」と言うわけです。

例えば「スマホを持って、タップするだけ」
実はこの動きの為に206個の骨と240ほどの筋肉が連動しています。
普通は、中々そんな風には思えないと思います。

でも、本当です。
「ほんのちょっと指先を動かしているだけ」でも、実は全身を使っているんです。

ただ、私達は全ての骨、筋肉を意識して自覚する事が出来ません。
ですから「指先が動いているだけ」と勘違いしてしまうんです。

さて、実はこの勘違いがテニスに大きな影響を与えます。

一般的には、テニスの指導と言えばフォームや打ち方を教わると思います。

確かに、イメージ通りのボールを打つ為には體の動きは重要です。
ですが、その覚え方を間違えるとテニスはとても難しくなります。

體の部分、部分に対して、具体的な動きをイメージすると體は上手く動けなくなるからです。

例えば「腕を回内する」「肩を外旋する」などなど
色々ありますよね。

これらを頭で覚えて、意識すれば、するほど、本来のテニスの動きから離れていきます。
理由は先ほどもお話ししたように「どんな小さな動きも全身で動いているから」です。

ちょっと指先でタップするだけでも全身運動なのですから、テニスは当然、全身を協調させる必要があります。
ですが、それは自分では意識する事ができません。

206個と240以上の筋肉をそれぞれ意識する事なんて、不可能ですよね。

にも、関わらず、ある部分だけを正確に動かそうと意識すれば全体のバランスを崩してしまいます。
その為に「頭では分かっているのに出来ない」と言う矛盾にハマり込みます。

ですから、どれだけ正確に分析した正しい動きであっても、部分部分をコントロールしようとする方法ではテニスは上手くなれません。

「分析した動きが正しいかどうか?」の問題じゃないんです。
「部分部分を意識して動かす事が非常に難しい」と言うより、ほぼ不可能なんです。

では、どうすれば、本来の動きを身に付ける事が出来るのか?

実は動きに対するイメージは出来るだけ抽象的な方が良いのです。
抽象的であるほど、全身の協調性が増します。
部分的であるほど、全身の協調性を失います。

ただし、抽象的と言っても「曖昧な動き」と言うわけではありません。
動きに「明確な目的を与える」事が重要です。

例えば「ボールを投げるように」と言う動き。
確かに抽象的でありますが、動きの目的が明確ではありません。

それに対して、「この線の延長に向かって投げるように」と言う動き。
先ほどと比べるとかなり動きの目的が明確になりました。

実はテニスの動きを最短で覚えるには、このように必要な動きの目的を明確に与える事がとても重要です。

一見、抽象的で「これではどうすれば良いか分からない」と思うかもしれません。
ですが、この状態で練習する事自体がとても重要な練習なのです。

テニスは體にその感覚を学ばせる必要があります。
何度も言いますが、正しい動きを頭で覚えて、體を動かすわけではないのです。

206個の骨と240の筋肉の動きを頭で覚えて、コントロールする事など不可能です。
頭ではなく、體自身が学ぶほか、方法は無いんです。

その為には動きの目的を明確にする
目的だけを明確にし、後は「體を自由に使う」
これが最も重要です。

動きの目的が明確で正しければ、體は自然とそれに必要な動きを身に付けていきます。

子供たちはこの事を本能的に知っています。
ですから、細かい分析など理解しなくてもどんどん體が身に付けていきます。

ところが、大人になると「頭で理解する事が大切」と言う常識が生まれてきます。
そして「上手くなる為には正しい事を覚えれば良い」と思います。
また「上手く出来ないのは何か、間違っているからだ」と考えます。

でも、実はこの常識こそが上達を難しくする一番大きな原因です。

今よりも、もっと上手くなるには「この常識から抜け出す事」
これがとても大切です。

ちなみにですが。
テニスを上手くなるには、実際に上手くなっている人を真似るのが一番です。

では、実際に上手くなっているのは誰か?

それは小さな子供たちです。
彼らほど急激に上達する人はいません。

実はテニスは彼等を真似るのが、最も合理的です。
では、彼等は回内や内転、外旋を覚えているのでしょうか?

そんな事はありません。
「そんな事考えてたら、上手く打てないよ」
彼等はきっと、そう答えるでしょう。

それが現実的な答えです。

本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

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