状況把握と明鏡止水の心

テニスの上達の為に
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今日のテーマは「状況把握と明鏡止水の心」です。

常々お話しするように、テニスは技術レベルが高くなれば、試合に強くなるわけではありません。
もちろん、技術レベルが高くなれば、強くなる可能性は高まります。

ですが、試合では技術以上に大切な能力がいくつかあります。
今日のテーマである状況を把握する能力もその一つです。

例えば、車を操る事自体が上手くても、わき見運転をしたらどうなるか?
本来であれば、把握できるはずの周りの状況を把握する事が出来なくなります。

こんな状態では当然、事故する可能性が急激に上がります。
つまり、車を操る技術と、安全にドライブする事は全く別の次元だという事です。

テニスもこれと全く同じ事が言えます。
ボールを操る技術と試合を進める能力は全く別の次元の物です。

この事に気づけていないプレーヤーは技術レベルが高くなれば、試合が強くなると勘違いしています。
試合に強くなるには、まずはこの勘違いに気づく必要があります。

そして、試合に必要な能力を磨く必要があります。
その一つが状況把握力です。

試合では、戦略、戦術、展開、配球、読み・・・・
こう言う物が非常に大切になります。

ですが、これらのアイデアは現状把握が正確である事が前提です。
もし、現状が正確に把握出来ていないのなら、どんなアイデアであっても、それは有効に働く事はありません。

例えば、相手のボレーヤーがネットに近ければ、ロブはとても有効な配球です。
ですが、ネットから離れていれば、どんなに素晴らしいロブを上げても、それは有効に働く可能性は非常に低いです。

では、この違いは何か?
ボレーヤーの構えている位置がどれぐらい正確に把握できているか?
これが最も重要だという事です。

つまり、状況を把握する能力が磨かれなければ、戦術や展開、配球は何の意味もなさないわけです。

では、どうすれば、状況把握力が磨かれるか?
ここで必要なのが「明鏡止水の心」です。

塵や埃などの汚れのない磨かれた鏡は存在する物をありのままに映す事が出来ます。
また、波だっていない静かな水面は鏡として利用する事が出来ます。

この事から、「明鏡止水の心」とは「澄み切って落ち着いた心」と言う意味を表します。

もし、プレー中に、思い込みや既成概念を持った状態でプレーしていたら?
もし、プレー中に、焦りや苛立ちを持った状態でプレーしていたら?

残念ながら、この状態では、いくらボールに集中しているつもりでも、現状を正確に把握する事は出来ません。
心の鏡は曇り、心の水は波立っているからです。

また、現状を正確に把握できていないわけですから、どんな展開、配球のアイデアであっても、効果的に働く事はありません。
間違いなく、裏目、裏目に出るはずです。

ですが、これはアイデアが間違っているわけではないのです。
そもそものアイデアの源になる現状把握が不正確である事が原因です。

ですから、このまま展開や配球を覚える練習をしても、何も効果もありません。
いくら、有効な攻め方、守り方を覚えたところで、試合になれば、また、現状把握が出来なくなるわけですから。

と言うより、むしろ、余計に試合はチグハグになります。
何故なら、状況を把握するよりも、練習で覚えた攻め方、守り方を実践しようとするからです。

そんな状態になれば、益々、現状把握の精度が下がってしまいます。

ゲームセンスを磨き、試合に強くなりたいのなら。
展開、配球、ポジション、攻め方、守り方・・・・
こんな物は全て忘れてしまってください。

そして、「明鏡止水の心」を保つ練習をしてください。
そうすれば、自然と周りの状況を把握する力が磨かれてきます。
そして、段々と相手の動きやポジション、ペアとの距離感などが分かるようになってきます。

周りを把握する事が出来るようになると「いつ、どこで、何をすれば良いのか?」は覚えなくても、自然と分かります。

相手が「右に動けば、左に」「左に動けば、右に」打てば良いだけです。
後ろに下がれば、前に落とし、前に来れば、後ろに打てば良いだけです。

後はこれに逆を突くバリエーションを増やせば、基本的な配球は完璧です。

ただ、これをする為には、現状を正確に把握できている事が前提になるのです。
ところが、プレー中に現状を把握する事はいきなり出来る事ではありません。

最初は焦りもあれば、緊張もします。
自分がボールを打つ事で精一杯です。

だからこそ、現状を把握する力を磨いていく必要があります。

攻め方や守り方を覚えるような間違った練習をしなければ、誰でも、ゲームセンスを磨く事は出来ます。
それに必要な物が「明鏡止水の心」と言うわけです。

「澄み切って落ち着いた心」を保って試合をする事が出来るか?
試合はこれが最大のテーマです。

本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

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