さて、早速ですが、今回は「なぜ、振り遅れるのか?」をテーマにお話しします。
テニスはボールとタイミングを合わせる事が非常に重要です。
身体の動きがどんなに正しいスイングをしていても、ボールとタイミングがズレるとボールはイメージ通りに飛んで行きません。
ボールとタイミングが合った時だけ、ボールはイメージ通りに飛んで行きます。
その為に、ボールとタイミングを合わせる感覚を磨く事はテニスでは必須です。
では、どうすれば、タイミングを合わせる事が出来るのか?
まずは「そもそも、テニスのタイミングとは何か?」これを整理しましょう。
タイミングとは動いているボールに対して、ラケットを動かしコンタクトする事です。
ただし、ただ、コンタクトするだけではいけません。
身体に自然と力が入るバランスの取れた状態。
言い換えれば、正しく骨が繋がった状態。
この状態でボールとラケットがコンタクトする必要があります。
ボールとラケットをこの状態に合わせる事がテニスで必要なタイミングです。
これが合うと、ボールは気持ちよく、そして、イメージ通りに飛んで行きます。
では、どうすれば、このようなタイミングを合わせる事が出来るか?
ポイントは二つあります。
まず、一つ目はボールに集中する事。
ボールにタイミングを合わせる要素は3つあります。
「ボールの動き」
「ラケットの動き」
「適切な位置」
この3つの要素の中で最も重要な物は何か?
それは、ボールです。
なぜなら、飛んで来るボールは自分の意思やイメージでコントロールする事が出来ないからです。
他の二つ「ラケットの動き」や「適切な位置」は自分の問題です。
ですが、飛んで来るボールは違います。
自分とは全く違う、別の存在です。
その為に、ボールの動きは自分が思っている以上に把握しにくいのです。
まずは、自分以外の存在であるボールを正確に把握する事。
これが最も重要です。
その為には、頭の中を空っぽにして、しっかりとボールに集中する事。
必ず、これが必要になります。
次に二つ目のポイント。
これは、身体の動きに問題があるケースです。
身体が持つ時間感覚は非常に正確です。
この能力のおかげで、本来、身体が構造通り動いていると、ボールとのタイミングは自動的に合います。
つまり、ボールに集中していれば、自然と最適な位置で、ラケットとコンタクトするように身体が打ってくれます。
ところが、現実はそうではありません。
ボールに集中し、しっかりボールを観ていても、タイミングが合わないケースがあります。
その理由は一つではありません。
人によって、その原因は様々で、一つに決める事は非常に難しいです。
ですが、非常に多いケースがあります。
それは、テークバックで慣性の法則を考慮していない事です。
慣性の法則とは「外部から力が働かない限り、静止している物体は静止を続け、運動している物体は等速運動を続ける」という法則です。
テニスのプレー中も必ずこの法則が働きます。
その為にテニスの動きは必ず、この法則に従う必要があります。
中でも特に重要なのがテークバック完了時です。
実はボールとのタイミングを合わせるのが苦手な人のテークバックはこの慣性の法則を考慮していないケースが非常に多いです。
テークバックが完了すると、ほんの一瞬ですが、ラケットは静止します。
次の瞬間、身体は動き始めますが、この時、ラケットにはどんな力が働くか?
身体が動き始めるとまず、グリップ部分が前に移動しようとします。
ところが、この時、ラケットヘッドは慣性の法則によって、その場に留まろうとします。
つまり、身体の動きとは反対の後ろの方向に動こうとしているのです。
その後、遅れて、ラケットヘッドも身体の動きに従って、前に移動し始めます。
この一瞬のラケットヘッドの動きが考慮されていないと、飛んで来るボールと身体の動きにズレが生じます。
これがタイミングのズレになって現れます。
では、どうすれば、慣性の法則を考慮する事が出来るか?
テークバックからスイングに入る時に、ラケットヘッドはその場所に留まろうとする事を踏まえて、ラケットヘッドの位置を予め、少し前に置いておく事です。
上級者はこの事を感覚的に良く知っています。
ですから、上級者ほど、一見コンパクトなテークバックをします。
その理由は慣性の法則によって、ラケットヘッドがその位置に留まる事を利用しているからです。
こうする事で、時間的なズレが起こらない動きをしているのです。
これが二つ目の理由です。
タイミングを合わせるのが苦手な場合、ほとんどの方が、このどちらか、または両方に問題があるはずです。
逆に言えば、この二点を改善できれば、ボールとのタイミングを合わせるのが上手くなります。
ちなみに、練習の方法としては、まずは一つ目のボールへの集中力を上げる事。
まずは、ここから始めてください。
いくら慣性の法則を考慮したテークバックをしても、ボールに集中できていないと、結局タイミングは合いません。
ボールの動きが把握できていないのですから、目隠しをしてボールを打っているような物です。
ですから、まずはボールに集中し、ボールの動きを観続ける事。
これが重要です。
「ボールは良く観えている」
「ボールに速さを感じない」
「自分では、タイミングよく打てそうな気がする」
こんな感覚なのに「実際に打つとタイミングが合わない」
こんな場合は、二つ目の慣性の法則を考慮したテークバック。
これを練習してみてください。
ほとんどの場合、この二つで問題は解決します。
ぜひ、試してみてください。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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