今回のテーマは「ボールに集中する本当の意味」です。
先日こんな質問をいただいたのでまずはこちらをシェアします。
「戸村様
夏の1DAYクリニック【ゲーム編】in東京に参加致しました○○です。
クリニックで教えて頂きました「ボールにフォーカスする」、今回のメルマガのテーマにもなっていますが、これについて質問させて頂けますでしょうか。
クリニック以降、継続して「ボールにフォーカス」を練習していますがボールスピードがある一定速度を超える中でこれを実践すると、実践しないときよりも反応が悪く、調子が良くありません。。。
「ボールにフォーカスする」のが下手なのだと思い、継続しては練習してはいますが、中々良くなる傾向がなく、自信喪失気味です。。
そんな中、今日ふと気付いたことがあります。
メルマガにあったパエスの動画ですが、ボールにフォーカスするのに目だけでなく、身体をしっかりボールに向けています。
一方、私の場合はボールスピードが速くなると顔の動きはある程度であとは目だけボールの方向を向けてフォーカスしています。
実験として、止まっている物を見るのに顔を正対させてフォーカスするのと、正対させずにフォーカスするのでは、精度が違うというか、ピントをあわせるのが難しいというか、見え方の違いを感じました。
顔をボールに正対させる、これが正解でしょうか?!(首は疲れそうですが)戸村さんはどのようにフォーカスされていますか?」
さて、このご質問に私はこんな風にお答えさせていただきました。
「こんにちは!
戸村です。
ご無沙汰してます^^
さて、早速ですが、確かに顔(体も)ボールに正対したほうがボールへのピントは合いやすくなります。
ただ、○○さんの不調の原因はそこではないように思います。
多分、「ボールにフォーカスする」事に集中してしまっているからだと思います。
「ボールに集中する」と「ボールにフォーカスすることに集中する」は全く違う状態なんです。
つまり、ボールにフォーカスすることにこだわってしまっているわけです。
簡単に言えば、「ボールを見すぎている状態」
この状態はある一定の速度を超えると逆に遅くなる現象が出てきます。
ボールをフォーカスして見る事はあくまでも方法論の一つです。
ですから、あまりこだわらなくて良いですよ。
それよりも大切な事は「ボールに意識を集めること」です。
言い換えれば、「ボールが気になる」「ボールが好きになる」「ボールに心を奪われる」
こんな状態なんですね。
こんな状態になれば、自然にボールから目が離れなくなります。
また、ボールの音を注意深く聞き取るようになります。
でも、それは無理に意識してフォーカスしょうとしているわけではなく、「気になるから」「好きだから」「心が奪われているから」自然とそうなっている状態です。
速度が速くなると目がボールを追い続けることができない速度が出てきます。
そんな時は極端に言えばボールを観る事を忘れても良いんです。
ただし、より「ボールが気になる」「ボールが好きになる」「ボールに心を奪われる」が大切になります。
そうすれば結果的に顔や体も自然とボールと正対するようになると思いますよ」
以上が私の答えです。
そして、再度頂いたお便りがこちら。
「戸村様
○○です。 お返事ありがとうございました!
なるほど、確かにその通りです。
ボールにフォーカスしてもボールに同調できず、フォーカスの仕方が悪い、フォーカス出来ていないと思い、よりフォーカスすることに意識を向けていました。
当初、(もう少し遅いペースの中で)一定の結果が得られたため、そこにこだわり過ぎてしまったのかもしれません。
「ボールに集中する」と「ボールにフォーカスすることに集中する」との違い、まだ実践していませんが、間違いなくそれが答えだと思います。
私自身、違和感は認識していたため、直観的にこれが答えだということは分かりました。
うーん、いつもながら戸村さんにはうならされます。
このアドバイスは私にとってものすごく価値のあるものです。
戸村さんの拠点が関東だったらよかったのに、とよく思います(笑)
本当にありがとうございました!
また東京でのレッスンがある際には是非参加させて頂こうと思いますので、宜しくお願い致します。」
さて、このご質問でお伝えしたい事は実は2つあるんです。
1つは『「ボールに集中する」と「ボールにフォーカスすることに集中する」は違うんだよ~』と言う事。
そして、もう1つ。
実はこちらの方が重要かもしれません。
それは。。
「いくら正しい事や上手く出来た事でも意識すると集中状態から逸れる」
と言う事です。
つまり、簡単に言えば、「正しい事でも忘れよう」と言う事です。
意識が介入した時点で集中の世界からは出てしまいます。
意識している事が正しいか?それとも正しく無いのか?
こんな事は関係がないのです。
とにかく、意識が介入したら、ボールの世界には入れなくなります。
それがプレーのパフォーマンスを下げます。
ボールに集中する事は短期間で上達する事、そして、最高のパフォーマンスを発揮するには必須です。
ですが、「ボールにフォーカスする事に集中する」を意識するとやっぱり駄目なんですね。
ボールにフォーカスする事は正しい事です。
でも、それすら忘れる必要があります。
例えば好きな異性がいるとしましょう。
その時、「彼女(彼)にフォーカスしよう!」と意識するでしょうか?(笑)
しないでしょ?
好きなら勝手にフォーカスしています。
これが集中している状態。
なので、ボールが好きになれば良いんです。
そうしたら、自動的にボールに集中しています。
でも、ほとんどの方は「自分」
または「自分のパフォーマンス」が好きなんですよね(笑)
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
コメント