今日のテーマは「深呼吸とイメージ」です。
私は常々「イメージが身体を動かす」とお話ししています。
本来、身体は頭で考え、意識して動かすものではありません。
身体が上手く使えない根本的な原因は本来の身体のメカニズムを使っていない事です。
本来のメカニズムを使ってやれば、誰でも、身体は上手く使えるようになります。
ところが、身体を動かす事に苦手意識を持つと、余計に頭で身体を動かそうします。
そして、悪循環に入ります。
テニスが上達する為にはまずは、この悪循環から抜け出し、イメージでプレーする事です。
これは本当に大切な事です。
実は先日、ある方から、とても興味深い話を聞きましたので、シェアしたいと思います。
それは「深呼吸とイメージ」についてです。
その方は高齢者を対象に「笑いヨガ」を指導されています。
ヨガは呼吸がとても重要です。
深くリラックスした呼吸は身体に様々な好影響を与えてくれるからです。
ところが、高齢者になり、日頃の運動量が減って来ると段々、大きく息を吸い込む頻度が減ってきます。
すると、リラックスした大きな深呼吸が出来なくなってきます。
深呼吸する事を意識してしまうので、緊張が伴い、本来のリラックス効果が期待できなくなるのです。
普通に深呼吸をしている人にとっては当たり前の事でも、頻度が減ると特別な事になります。
特別な事になると、どうしても意識的に動かそうとします。
それが緊張を生み出すわけです。
ところがイメージで身体を使えば、その緊張も無くなります。
そこで、この方は高齢者を指導される時にはどうするか?
「深呼吸しましょう」とは言わないそうです。
こう言ってしまうと先ほどもお話ししたようにリラックスした深呼吸が出来からです。
では、一体どんな風に誘導するのか?
「右手にバラを持って、その香りをしっかり嗅いでください。」
「そして、左手にロウソクを持って、その火を吹き消しましょう」
こんな風に誘導するそうです。
そうすると緊張する事無く、自然な深呼吸を思い出すと言います。
いかがですか?
とても素晴らしいと思いませんか?
私はこの話を聞いた時に「凄いアイデアだ」と感動しました。
深呼吸は誰もが経験していますし、簡単に分かる事です。
ですが、実際にはその深呼吸が出来ない方もおられます。
その方に「深呼吸してください」という事は簡単です。
でも、その方法では本当の効果を得る事はとても難しいわけです。
ところが、イメージを使ったアイデアがあれば、身体を自然と使える状態に誘導する事が出来ます。
さて、それでは、話しをテニスに戻します。
これはテニスでも全く同じ事が言えます。
頭でいくら分かっている動きでも、意識してその動作を行う事で動きの質は全く変わってしまいます。
緊張を伴う、質の低い動きになってしまうのです。
例えば。
「腕を振る」事を意識して動いた時。
それに対して、「ボールが飛んで行く様子」をイメージして動いた時。
この両者は一見すると変わらないかもしれません。
ですが、動きの質は全く違う物です。
前者は意識で動かし、後者はイメージで動かしています。
当然、後者の方が動きの質は高いです。
本来の身体のメカニズムに従って動かしているからです。
前者は少なからず、緊張を伴い、再現性も低くなります。
テニスの指導ではよく、「脱力」や「リラックス」と言うアドバイスがされます。
ですが、なぜ、緊張するか?
その原因を改善する事は非常に少ないです。
とにかく「脱力しましょう」「リラックスしましょう」と言われるわけです。
ですが、考えてみてください。
意識して脱力できるなら、誰も苦労しません。
自分では緊張しているつもりはないにも関わらず、緊張してしまうから困っているのです。
先ほどの高齢者の深呼吸と同じですよね。
深呼吸の感覚を忘れてしまった、高齢者の方に「もっとリラックスして深呼吸してください。」と言えば、言うほど、緊張してしまうのです。
これは身体本来の使い方に反しているからです。
テニスでもこれと全く同じ間違いをしているコーチ、プレーヤーが非常に多いです。
その為に、ラケットの振り方を意識して身体を動かすよう指導されます。
この場合、当然、緊張が伴います。
ところが、緊張が見えると、今度は意識して、脱力するように言われます。
こうして考えると、全くの矛盾だらけだと言う事が分かります。
ところが、これがテニス界の常識になっているのです。
いや、テニス界だけではなく、スポーツ界全体と言って良いでしょう。
いずれにしても、あなたがもし、意識で身体を動かしているなら、早くその常識から抜け出して欲しいと思います。
人の身体はイメージするだけで自然と動いてくれます。
この時、脱力やリラックスを意識する必要などなくなります。
それでいて、最適のテンションで再現性高く動いてくれます。
動きの質が変わるとテニス全体の質が変わります。
方法はとても簡単です。
身体の動きを意識せず、好きなプレーを想像し、後は感じるままに動きます。
そして、何より、テニスを楽しむ事です。
これがテニスが上達する基本中の基本です。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
コメント