フェデラーのフォアハンドグリップは薄いだけではない?!

テクニック解説
この記事は約3分で読めます。

全仏オープンを含むクレーシーズンを完全スキップしたフェデラーですが、昨日、ゲーリーウェーバーオープンでA.ズベレフを決勝で破り、見事優勝を飾りました。
先週は1回戦でトミー・ハースに負けて、「え!」ってびっくり!がっかり・・したんですが、昨日の試合は見事でした。
若手のズベレフをまさに圧倒していました。
この調子だと、ウィンブルドンの優勝の確率も非常に高いです。
とっても楽しみです。

さて、今回はフェデラーのフォアハンドのグリップについてです。
フェデラーのフォアハンドグリップがそれほど、厚くないセミウエスタンに近いグリップである事はよく知られている事だと思います。
ですが、今日はもう一つの特徴に着目したいと思います。

それは薄いだけではなく、ラケットヘッドが立った状態になっている事なんです。
この動画をご覧いただくと、テークバックを完了した時に彼のラケットヘッドがちょうど画面側(動画を見ている人に向かっている)に向いているのが分かると思います。

これは彼のラケットヘッドが立った状態である事を表しています。
一般的にはテークバックが完了した時にはラケットヘッドは少なからず、ネットとは反対方向に向くものです。
ところがフェデラーのフォアハンドにはそんな傾向がほとんど見られません。

では、どうして、こんな状態になっているのか?
また、その理由は何か?
推察してみたいと思います。

まず、結論を言います。
実はこのようにラケットヘッドを立てた状態でインパクトに向かう事で、より大きなエネルギーとスピードを得る事ができます。
理由は「プレストレッチ」の動作が容易になるからです。

プレストレッチと言うのは、簡単に言えば、反動みたいな物です。
例えば、ジャンプしようとする時、膝を曲げて止まった状態から飛び上がるのと、膝を伸ばして立った状態から膝を曲げる反動を使って飛び上がるのではどちらが簡単に高く飛び上がる事ができるか?
試していただくと簡単にわかりますが、膝を伸ばした状態から反動を使ったほうが楽に高く飛び上がる事ができます。
人の身体にはこんな風に元に戻ろうとする時に大きなエネルギーを発揮する特性を持っています。

実はフェデラーのフォアハンドのグリップにもこの要素が含まれていると考えられます。
ヘッドが立った状態から体幹がスイングに入ると共に腕を回外します。
そして、インパクトに向かって、体幹は前に戻り、それに伴い、腕は急激な回内運動を行います。
ラケットヘッドが立った状態のほうが、この時の動きが速くて強くなります。
そして、速くて、強い動きのほうがボールに威力のあるスピンを与える事になります。

ただ、このようにラケットヘッドが立った状態でテークバックする事にもデメリットはあります。
それは、ラケット面とタイミングが非常に微妙である事です。
プレストレッチを積極的に使うという事はそれだけ、スピードが速くなると言う事ですから、その分、繊細な精度が求められます。
つまり、簡単に言えば、パワー、スピードは得る事ができるが、その分コントロールが難しくなると言う事です。
例えれば、スピードを出せる車のコントロールはそれだけ繊細で難しくなるというのと同じですね。

ですが、逆に言えば、ボールをコントロールする感覚が優れているプレーヤーなら、試してみる価値はあると思います。
もちろん、簡単ではありませんが。

いずれにしても、フェデラーのフォアハンドグリップがヘッドが立った状態でテークバックを完了する事はボールに強い回転とエネルギーを加える事に非常に大きく貢献しているはずです。
彼のスイングを見ていると「力み」と言われる物が全く見受けられません。
にも関わらず、その動きの力感からは想像できないほどのボールが打ち出されます。
それは彼のスイングが全身のプレストレッチを上手く協調させているからだと考えられます。

さて、いよいよ来週からウインブルドンが始まります。
今年はどんなドラマが待っているのかとっても楽しみです。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました