マレーのフォアハンド

テクニック解説
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今回はマレーのフォアハンドストロークを見てみたいと思います。
マレーのフォアハンドストロークは「一発で仕留める」強烈なストロークと言うよりも、安定してボールをコントロールし、「ここぞ」の時にカウンターで仕留めるようなストロークです。

その為に、一見すると驚くほど、「凄い」というわけではありませんが、ミスが非常に少なく、また、「追い込んだ」と思った状態から逆襲されるので、相手にとっては攻めていても油断する事が出来ず、非常に厄介なショットだと思います。

ちなみに、こちらがマレーのフォアハンドストロークです。

BIG4の一人であるマレーのフォアハンドストロークは他の3人と同じように最新の技術を備えています。
その特徴は大きく3つあります。

1.スイングが直線的である事
一番大きな特徴はスイングが直線的である事です。
ラケットヘッド、手首、肘は打球とは反対方向にセットされます。
特にラケットヘッドが背中側に移動しない事が一番わかりやすい特徴です。
身体を開き、手首の位置を背中側に移動する以前の技術ではラケットヘッドは背中のほうに大きく移動します。
ですが、BIG4を始め、男子のトップ選手達のテークバックではラケットヘッドは背中の方に移動する事はありません。

2.左腕の使い方
左腕がネット方向(飛んで来るボールを指さす)ではなく、ネットと平行、またはそれ以上、後に移動します。
これは腕の力ではなく、体幹の力をより積極的に利用する為に必要な動きです。

3.ラケット面の向き
もう一つの特徴はインパクトに向かうラケット面の向きです。
ラケット面は地面に向いたまま、ボールに向かい、インパクト直前までラケット面はボールに向ける事がありません。
このように使う事で、ボールにより速くて、強いスピンを与えています。
また、このような面の使い方は直線的にスイングができるプレーヤーの特徴でもあります。

さて、以上の3つはマレーだけではなく、BIG4、またはフォアハンドストロークを武器にしている男子のトップ選手に備わっている特徴です。

ですが、マレーには彼特有の大きな特徴が一つあります。
それは、テークバック時の手首の角度です。

よく観察するとテークバック完了時(ラケットヘッドが打球方向とは真逆の方向に向かってセットされた時)に、手首が山になっているのが分かります。
この時、多くの選手は山ではなく、谷になっている事が多いのです。
ところが、彼だけはこの時に手首が山になっているのです。

もちろん、この状態のまま、ボールに向かうのではなく、スイングに入ると、グリップエンドからボールに向かうのでこの手首の山は逆に谷に変わり、ボールを後ろから支えるような状態になります。
これは彼が腕ではなく、体幹から始動し始める事で自然と手首の入れ替えが起こっているわけです。

さて、マレー特有の手首の使い方ですが、どんなメリットとデメリットがあるのかは正直分かりません。
ですが、いくつかの推察をする事ができます。

一つはラケットの重さを感じれるぐらい手首はリラックスしているという事です。
そのリラックスがこのような手首の状態になっている理由の一つかもしれません。
手首は緊張すると山にはならず、谷になるので普通ですからね。

もう一つのポイントはこの手首の山はプレストレッチの効果を生み出している可能性がある事です。
人の身体にはプレストレッチと呼ばれる動きがあります。
ここでは詳細は割愛しますが、簡単に言えば、反動を使った方が楽に大きなエネルギーを生み出すという事です。
つまり、いったん山の状態にしておくことで、谷の状態から、山の状態に戻ろうとするエネルギーが生まれるという事です。
この山の状態に戻ろうとするエネルギーをボールに与えている可能性があります。
もしそうであれば、BIG4を始め、他の選手が使っていない技術と言えるかもしれません。

以上が私の勝手な推察です。
本当のところはわかりません。
それぐらいマレー特有の動きと言うわけです。

ただ、いずれにしても、このマレー特有の動きはアマチュアプレーヤーは真似をしないほうが良いように思います。
インパクト直前のプレストレッチはパワーは出るかもしれませんが、ボールをコントロールするのに非常に繊細な感覚を求められるので、普通のアマチュアプレーヤーでは練習量が足りないと思います。
とことん、打ち込める練習量を確保できる方なら、それも可能かもしれませんが、普通はなかなか難しいと思います。
それよりも、テークバックではインパクトと同じ谷の状態を作って準備するほうが精度を高める事が出来るでしょう。

以上がマレーのフォアハンドストロークの特徴でした。
本日のお話は以上です。

いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

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