今回は正しいグリップを身に着ける方法についてお話しします。
と言うのは最近、私の周りでグリップの事で悩んでいる方が何人かおられるので「同じように悩んでいる方がおられるのではないかな?」と思ったんです。
さて、では、グリップについて。
まず、結論言います。
グリップは変える物ではありません。
グリップは変わる物です。
グリップを意識して変えるとテニスがボロボロになります(笑)
経験した方は分かると思いますが、ボールがどこに飛ぶか、全くわからなくなって、場合によってはかなり深刻なスランプに陥ります。
一般的には「最初は仕方ない、そうして練習しているうちに身につけていく物」と言われます。
特にコーチや上級者はそう言うと思います。
でも、それは正しくありません。
正しいやり方ではないので苦労するわけです。
苦労して身についたらまだ良いほうです。
ほとんどの場合はどうして良いかわからずに途中で諦めるか、または、スランプに陥ってしばらく、テニスにならないか、どちらかです。
では、グリップはどうでも良いのか?
そうではありません。
グリップはとても大切です。
グリップによって、体の動きや打つ球種、威力、スピード・・・など、大きく変わります。
ですから、グリップが良くなる事はテニスが上達する為には非常に大切要素の一つです。
ですが、その方法を間違えると大変な事になります。
先ほど、お話したような事が起こるわけです。
では、どうすれば、グリップが良くなるのか?
グリップは「意識して変える」のではなく、「自然と変わる」状態にならないといけません。
「意識して変える」のは正しいグリップ、または理想のグリップがあって、それを身につけようと言う考え方。
それに対して、「自然と変わる」は正しいグリップや理想のグリップがあるわけではなく、必要だから、それに応じて身についていく、つまり、自然に変わっていくわけです。
例えば、言葉。
あなたはどうして日本語を話しているのでしょう?
それは、日本語が自分の周りで使われていて、それが必要だったから。
ただ、それだけです。
そこに正しいや理想はありません。
仮にアメリカで生まれていたら?
基本的に英語を話していたでしょう。
また、アメリカで生活を始めたら?
そして、自分の周りで英語しかなくなったら?
嫌でも、英語に変わっていくでしょう。
つまり、必要な経験をすれば、それに伴って人間は変化するということです。
実はグリップも同じです。
基本的に「変える」のではなく「変わる」のです。
では、グリップはどうしたら「変わる」のか?
それは、今握っているブリップが持っている「目的」や「意図」を変えるのです。
今、あなたが握っているグリップには必ず「目的」や「意図」があります。
逆に言えば、その「目的」や「意図」の為に今のグリップが作られてきたのです。
この「目的」や「意図」はほとんどの場合自分で意識してきたわけではありません。
無意識のうちにしてきたことです。
ですが、必ず何かの目的や意図があります。
グリップを良くする為にはこれらを変えるのです。
すると身体はグリップを変える必要が出てきて自然と新しいグリップを模索し始め、そして変えてくれます。
日本からアメリカに行くような物です。
必要だから、身につけるわけです。
例えば、ボレーのグリップ。
一般的には「薄いグリップ」が良いとされて、そのグリップで持つように指導されるでしょ?
「厚いグリップではバックボレーが打てない」
「厚いグリップではローボレーが打てない」
「厚いグリップではスライスが打てない」
・・・・
こんな風にもっともらしい事を言われ、正しいグリップを説明されると思います。
でも、これって嘘です。
別に厚いグリップでもバックも打てるようになりますし、ローボレーも打てるようになります。
もちろん、スライスも。
でも、効率は良くありません。
ですから、不都合な事も起こります。
なので、効率の良いグリップに変わっていく方が良いです。
これがグリップの考え方です。
では、どうすれば、効率の良いグリップに変わっていくのか?
それは不都合な事をたくさん経験すれば良いんです。
日本で英語を身につけるのは大変です。
不都合ないですから。
でも、アメリカに行って回りに全く日本語がなくなれば?
不都合だらけ。
だから嫌でも、英語を使わざる得ない。
では、ボレーのグリップは?
グリップがまずいと例えばローボレーにミスが多い可能性があります。
するとローボレーをしっかりと練習すれば良いだけです。
同じようにスライスならスライス、バックならバック。
とにかく、不都合が起こるように練習すれば良いんです。
そうすれば、不都合が起こらなくなります。
その時のグリップが「あなたの理想のグリップ」と言う事なのです。
ミドルボレーの練習しかしないのに理想のグリップを身につけようとしても、無理があります。
だって、必要無いですから。
スライスのイメージを持っていないのに(ボールの回転が認識されていないのに)グリップだけ薄くするなんて、無理があります。
だって必要無いですから
これがグリップを変えるとテニスがぼろぼろになる原因です。
先ほども言ったようにグリップはとても大切な物です。
でも、意識して変える物でも、身につける物でもありません。
そんな事をしたら、最悪、深刻なスランプに陥ります。
当然、テニスは楽しくなくなりますし、相当な苦労をします。
それよりも自然と効率の良いグリップに変わっていくような経験をするようにするんです。
そうすれば、苦労なく、身につくだけではなく、新しい発見があって楽しいです。
ちなみに、こんな風に練習すればグリップはかなり短期間で変わってしまいますよ。
人間の対応力ってホント、凄いですから。
以上がグリップに関する考え方です。
グリップに悩みを持っている方、ぜひ参考にしてみてください。
きっとスランプから脱出できると思います。
本日は以上です。
何かヒントになると幸いです。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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