今日のテーマは「期待する習慣」です。
常々お話しするように、練習で大切な事は正しい技術や最新の技術、身体の使い方を覚える事ではありません。
一般的には、正しい打ち方を練習すれば、そのうちにその技術が身に付くと考えられています。
ですが、現実はそうではありません。
冷静に周りを見渡してみてください。
その方法で上達している人はほとんどいないはずです。
みんな頭では分かっているのに、現実には中々身体に身に付かないわけです。
その理由はどんなに正しい技術であってもそれは単なる結果論でしかないからです。
過程を飛び越した結果論では、残念ながら、いくら一生懸命練習しても中々身体に身に付く事はありません。
頭ではなく、身体に身につける為に、最も大切な事はそれらの技術に辿り着く為の過程を踏む事です。
簡単に言えば、トッププレーヤー達が今の技術を身につける為に辿ってきた道と同じ道を辿る事です。
実はこれ以外に方法はありません。
確かにレベルの高い結果から分析されたノウハウを学べば、遠回りをせずに早く上達しそうな気がするかもしれません。
ですが、それは勘違いです。
足し算、掛け算、九九を勉強する事なく、微分積分が解けるようになるでしょうか？
それは非常に難しいです。
結局、焦らず、順番に必要な過程を辿る事が最も早道になるわけです。
では、どんな過程を辿れば良いのか？
そこで、必要になる物が習慣です。
何故なら、どんな未来も日々の継続から生まれるからです。
そう考えると正しい習慣は望む未来へのパスポートと言えるでしょう。
では、どんなパスポートを持てば良いのか？
その一つが「期待する習慣」です。
まず、「期待」とはどういう意味か、もう一度確認しておきましょう。
期待とは「何らかのことが実現するだろう、と望みつつ待つこと」です。
次に、「待つ」とはどういう状態を言うのか？
「物事・人・時が来るのを予期し、願い望みながら、それまでの時間を過ごす。また、用意して備える」
つまり、期待とは「何らかのことが実現するだろう、と願い望みつつ、それまでの時間を過ごす」事と言えます。
では、これをテニスの習慣に置き換えるとどうなるか？
「上手くなる（強くなる）と願い望みつつ、それまでの時間を過ごす」習慣となります。
あなたには、練習する時にこの習慣を持ってほしいと思います。
では、「なぜ、この習慣が大切なのか？」
その意味をお話しします。
身体が今のレベルより高い技術を身につけるには、頭ではなく、身体自身が学ぶ必要があります。
頭と身体は別の意識によってコントロールされているからです。
少し極端な表現ですが、頭と身体は別の人格が存在すると考えても良いほどです。
頭で分かっていても身体が上手く動いてくれないのはその為です。
身体自身が、体験し、学ぶ事で、その先の技術を身につけていきます。
では、その間、頭はどうすれは良いのか？
そこで必要になるのが「期待する事」です。
焦らず、急かさず、ただ、大人しく「期待する事」です。
そうする事で身体は頭から解放されて、身体自身が自由に学ぶ時間を得る事が出来ます。
これが身体の成長に繋がり、レベルの高い技術を身につける源になります。
ところが、一般的な指導や練習では頭に「期待する」時間を与えません。
いつも、頭が身体に「この時はこうする」「あの時はこうする」と命令します。
そして、「なぜ、出来ないんだ！」と叱咤激励するわけです。
つまり、「機が熟す」のを待てないわけです。
これでは、いつまで経っても、身体は身体自身で学ぶ事が出来ません。
それが、「頭では分かるのに身体が上手く動いてくれない・・・」と言う状態が続いてしまう理由です。
「期待する習慣」が必要なのはこの状態に陥らない為です。
ちなみに、期待する事は簡単な事ではありません。
望み、願えば、焦りが生まれ、大人しく待つ事が出来なくなるのが普通です。
「ああしろ、こうしろ」と口を出したくなります。
ですが、それを「じっと堪えて、ただ、待つ」わけです。
これは相当、集中力を問われる事です。
そして、また、肚が据わっていないと出来ない事なんです。
一般的には「期待がプレッシャーになる」なんて事がよく言われますが、本当は少し意味が違うように思います。
本当の期待は、プレッシャーなんてかけません。
「期待＝プレッシャー」になるのは、期待している側の肚が据わっていない為に、相手に違う物が伝わっているわけです。
本当の期待は願いを持ちつつも、ただ、静かに優しく見守るだけです。
これはそんなに簡単に出来る事ではありません。
ですが、だからこそ、習慣としても日々、磨くわけです。
少し考えてみてください。
周りの大人に「ああしろ！こうしろ！」と命令されて育てられた子供。
ただ、期待され、優しく、静かに見守られて育てられた子供。
どちらがのびのびと成長する事が出来るでしょう？
結果は一目瞭然だと思います。
あなた自身の身体も同じです。
あなたの身体に備わった素晴らしい能力を引き出すのは、あなた自身です。
あなたが口やかましい親になれば、あなたの身体は委縮して能力を伸ばす事が出来ません。
ですが、あなたが優しく、静かに見守る親になれば、身体は必ず、のびのびと素晴らしい能力を発揮してくれます。
その為に必要なのが「期待する習慣」と言うわけです。
本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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