今回のテーマは「塩加減」です。
美味しいお料理を作る為には「塩加減」は肝ですよね。
塩加減とは読んで字のごとく「塩の量の加減」です。
「塩を入れるか?入れないか?」ではありません。
塩を入れる事は間違いないんです。
問題は「どれぐらい入れるか?」と言う加減です。
つまり、少なすぎても、多すぎてもダメなんです。
微妙なバランスを保つための頃合いがあります。
それが塩加減です。
実はテニスの技術は全て塩加減のようなものです。
バランスの中で成り立っているのです。
例えば、打点。
一般的には「打点は前」と良く言われます。
ですが、打点を前にする事を意識していたら本当の打点はずっとわかりません。
打点はその動きの為に最適の場所があります。
もちろん、後ろすぎるのもいけませんが、前過ぎるのもダメなんですね。
まさに塩加減みたいな物です。
グリップの持ち方もそうです。
厚いグリップ、薄いグリップなんて呼び方が一般的ですが、これも塩加減です。
無理なく、効率よく打つ為のグリップは厚すぎても、薄すぎてもダメです。
バランスが大切です。
身体の使い方もそうです。
「身体で打つ事が大切」と言ったって身体だけでは打てません。
腕には腕の役割が当然あるので、やはり塩加減が必要なんですね。
このようにテニスの技術は全てバランスの中で成り立っているのです。
ところが、塩加減のような概念を持たないで技術をイメージしている方が少なくありません。
「正しいか?正しくないか?」
または「必要か?不要か?」みたいな感じで捉えてしまうんですね。
2者択一のように考えてしまうわけです。
残念ながら、これでは、いつまでたってもバランスが取れた状態を作り出す事はできません。
つまり、心地よくボールを打てないと言う事です。
ちなみにお料理の塩加減はどのようにして身に着けていくか?
とてもシンプルです。
味見するしかありません。
実際に作った料理を自分の舌で味わい、塩が少なすぎるか?それとも多すぎるか?
これを感じるしか方法はありません。
テニスの塩加減も同じです。
例えば、打点。
実際に打ってみて、その時のフィーリングを味わうんです。
詰まったのか?
それとも、泳いだのか?
何度もこの感覚を味わっていると段々、打点の違いが分かってきます。
もちろん、打点が後ろ過ぎても心地悪いですが、前過ぎても心地悪い事が分かってきます。
自分自身でこれを感じれるようになる事が大切です。
ただ、闇雲に「打点を前にしよう」とする練習ではいつまでも自分の打点はわかりません。
最初はよくわからないかもしれません。
ですが、分からないからと言って、闇雲に正しい技術を追いかけてはいけません。
また他人からの評価や分析に頼ってもいけません。
焦らずじっくりと自分自身で味見するように練習します。
そうして、自分の感覚を研ぎ澄まします。
最初は分からなかった違いも必ず、分かるようになります。
テニスは自分の感覚が敏感になった分だけ新しいヒントや発見を見つける事ができます。
これが自分のテニスをランクアップしてくれます。
逆に言えば自分自身で気づかなければ、いくら頭で正しい事を理解してもテニスが変わる事はありません。
これがテニスが確実に上達する唯一の方法です。
焦らず、楽しみながら進みましょう。
ぜひ、自分自身の身体と上手く対話してみてください。
自分で自分の身体が分かってくるとテニスは本当に楽しくなりますよ。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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