テニスに必要な時間感覚

テニスの上達の為に
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今日のテーマは「時間」です。

テニスのミスは突き詰めるとほぼ一つに集約されます。
それはボールに遅れる事です。

ごく稀に「速過ぎる」為に起こるミスもあります。
ですが、それは非常に少ないです。

ほとんどのミスは遅れる事によって発生します。

一つ一つのミスの現象はそれぞれ違います。
ですが、なぜ、そのような現象が起こってしまったのか?

それはボールに遅れてしまったからです。

「テークバックが遅れる」
「足が乱れる」
「バランスが崩れる」
「打点が狂う」
「ラケット面が狂う」
「スイング軌道が狂う」
・・・・・

このようにミスの現象は言い出せばキリがありません。
ですが、それらを突き詰めると全て遅れる事から生まれています。

逆に言えば、ボールに遅れる事がなくなれば、テニスのミスは激減します。

では、どうすれば、遅れる事がなくなるか?
そこで重要になるのが「時間」です。

相手と行き来するボールはいつも違います。
ただの一球も同じボールが返って来る事はありません。
つまり、時間も同じではないと言う事です。

一定のまとまったボールだとミスは減ります。
コーチとラリーすると安定した気になりますよね。
これは時間に変化が少ないからです。

逆に相手のボールが不安定だと急激にラリーは難しくなります。
これは時間がいつも急激に変わるからです。

このように違う時間で返球されるボールに時間を合わせる事は簡単ではありません。

ですが、時間を合わせるのが難しい本当の理由は別にあります。
それは時間の感覚が自分の状態によって変わってしまう事です。

例えば、お互いにベースライン上で打ち合っているとします。
この時に相手からの返球にかかる時間を仮に1秒だとします。

では、ネット前でボレーをすると何秒になるか?
単純に計算すると約0.5秒です。

ところが、実際には0.5秒を感じてプレーできない時があります。
それは、例えば気持ちが焦っている時等です。

この時、実際に体感する時間は0.5秒ではありません。
もっと、短い時間に感じてしまいます。

つまり、時間には二つの側面があると言う事です。
一つは物理的に存在する時間。
そして、もう一つは自分が体感する時間です。

厄介な事にこの二つの時間は必ずしも一致しないのです。
それがテニスの時間合わせを難しくしている最大の理由です。

実際にボレーをされると突然、ストロークが不安定になるプレーヤーは多いです。
もちろん、時間が半分になる事で難易度が上がる事は確かです。

ですが、それは練習していれば、段々と合うようになります。
ただ、それは「物理的に正確な時間を感じている」と言う条件がつきます。

体感時間が現実と乖離している場合はいくら練習しても上達する事はありません。
心象によって時間が変わるので、現実に合わないからです。

このように現実の時間と体感時間が違う場合は様々な場面で起こります。

「自分がボレーをする場合」
「相手がボレーをする場合」
「相手がトップスピンを打ってきた場合」
「相手がスライスを打ってきた場合」
「相手がサーブを打つ場合」
「相手がスマッシュを打つ場合」
・・・・・・

これも言い出せばキリがありません。
とにかく、様々な場合で体感時間は狂う可能性があります。
そして、それは人によって全く違います。

いずれにしても、体感時間が現実と乖離してしていては上達はストップします。

その為に、まずは心象による体感時間ではなく、現実の時間を感じる事が必要です。

体感時間が現実と乖離する原因は一言で言えば、冷静でない事です。
焦りやパニック、プレッシャー・・・
こういった物が感覚に与える影響は非常に大きいです。

少し落ち着きを無くすだけで、ボールから感じる情報は現実から乖離します。

先ほどもお話ししたように、現実と乖離した状態で正しく打つ練習しても無意味です。
何も効果はありません。

つまり、まずは冷静に落ち着いた状態でボールを観る事。
これ自体がとても重要になるわけです。

言い換えれば、これがボールへの集中力です。

集中の世界は現実の世界です。
自分の願望や既成概念、思い込みや印象、心象が無いからです。

自分の心は「無」であり「空」です。
この状態は現実をそのままキャッチする事が出来ます。

そうすると、不思議な事に、現実よりも体感的には時間を長く感じるようになります。

上級プレーヤーのプレーをご覧ください。
ハイテンポのラリーであっても、動きや流れ、リズムは慌ててはいません。

焦って時間を合わせているようには見えないはずです。
それどころか、どんなに速いラリーであっても余裕すら感じられます。
もちろん、彼等であっても、動きに焦りがあれば、ミスをしているはずです。

つまり、自分が「無」または「空」になりボールに集中していると。
使える時間が長くなり、逆にボールへの集中力が下がると時間が無くなると言う事です。

もし、あなたが「時間が足りない」と感じるショットや状況があるなら。
それは、心象によって「正確な時間を感じていない」と言う事です。

この場合、まずは、願望や既成概念、思い込み、印象を捨てる事がポイントです。
そして、ただボールを「観察」してください。

一旦、自分のプレーに期待する事を手放してください。
良い結果を出す努力を手放してください。

これらを手放さなければ、いつまでも体感時間が変わりません。
つまり、「現実のボールと合う事が無い」と言う事です。

この状態はいくらボールを見て努力しても結果は何も変わりません。
同じ迷路を何度も回る事になります。

テニスは努力と上達は比例しません。
逆に言えば、努力しないからこそ上達できる事があると言う事です。

時間の感覚もその一つです。
努力すればするほど、時間は短くなってしまうのです。

本日のお話しは以上です。
いつも長文お読みいただいてありがとうございます。

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