今回のテーマは「相手を知る」です。
孫子は「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と言っています。
意味は「敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはない」という事です。
これはテニスにも全く同じ事が言えます。
もちろん、分かっただけで勝てるわけではありませんが。
ただ、相手の事を知らないと勝てる試合も勝てなくなります。
例えば、実力レベルが同じぐらいと仮定します。
相手は自分の事を良く知っています。
長所も短所も、展開のパターンも弱点も。
それに対してあなたは相手の事を全く知りません。
さて、どちらが有利か?
考えるまでもありませんね。
圧倒的に不利です。
きっと相手はあなたの展開を予想し、長所を殺し、弱点を突いてくるでしょう。
それに対してあなたは相手の事が分からないわけですから、もしかしたら相手の長所に打ってしまうかもしれません。
また、相手の得意な展開でプレーしてしまうかもしれません。
だとしたら、実力レベルは同じぐらいでも非常に不利な試合になりますよね。
ですから、相手を知る事はとても重要な事なのです。
ところが残念な事に試合でなかなか勝てない方は「相手を知る」事よりも、自分のパフォーマンスの良し悪しに興味を持っているんです。
「自分が何をすれば良いのか?」
「自分が良いボールを打つにはどうしたら良いか?」
「自分がミスをしないようにするにはどうしたら良いか?」
このように自分の事ばかりに興味を持っています。
自分の事に興味を持っていたのでは当然相手の事を知る事はできません。
知れるのは自分の事だけです。
ところが、試合に強い人は何をしているのか?
「相手は何回ぐらいラリーをするとミスするか?」
「どんなボールをミスしやすいか?」
「得意なショットは何か?」
「ウイニングショットは何か?それはどれぐらいの確率で決まるのか?」
このように相手の事に興味を持っているのです。
となれば、だんだん相手の長所や短所が分かり始めます。
なので、試合を優位に進めていく事ができるのです。
ちなみに相手を知る時に特に重要な事があります。
それは確率です。
例えば、相手がフォアハンドのストレートをミスしたとします。
それは何%ぐらいの確率でミスをするのか?
また、フォアハンドのショートクロスにエースを取ったとします。
それは何%ぐらいの確率で成功するのか?
この確率を間違えると厄介です。
例えば、ストレートの成功率は90%でミスは実はその10%の一つだった。
また、ショートクロスの成功率は30%で実はその30%の一つだった。
こんな可能性があるのです。
なので、単発のショットの良し悪しを見るのではなく、「試合中そのショットがどれぐらいの確率で成功するのか?」
に興味を持つようにする事が大切です。
これが分かれば、相手を恐れる必要がなくなります。
例え、エースが取られる事があっても、それは30%の1つ。
後の7つはミスしてくれます。
つまり、どんどんそこに打たせるようにすれば良いのです。
そうすれば相手は勝手に7つのミスをしてくれます。
ところが、この事を知らないとそのコースを打たさないようにしてしまいます。
このように相手の確率を間違えると全く違う試合展開になってしまうのです。
ちなみにアマチュアレベルでは派手なショットを打つ人ほど試合は弱い傾向があります。
それは確率の低いショットを選択する事が多いからです。
なので、このような相手は何もしないでどんどん、派手なショットを打たせれば良いんです。
そうすれば勝手に相手が自滅してくれます。
「自分は特にリスクを負わず、相手にミスをさせて自滅させる」
これは試合では最も効果的で確実な勝ち方です。
逆に言えば、自分はこのような試合をしてはいけません。
その為にも相手の事をしっかりと知らなければいけないのです。
さて、いかがでしょう?
相手を知る事の重要性はわかっていただけましたか?
ぜひ、今度の練習では相手のテニスの確率に興味を持ってみてくださいね。
ちなみに東京でのクリニック、ゲーム編ではこのあたりの練習をする事になると思います。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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