今回は「アナログ思考」がテーマです。
実はデジタル思考ではテニスはなかなか上達する事ができません。
アナログ思考で捉える事がとても大切なのです。
では、そもそもアナログとは?
「連続した量(例えば時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示すること。」
それに対してデジタルとは?
「データを数値化にあたっては整数値(すなわちdigit)で表現すること」
ちなみにこの二つを対比させると?
「デジタル」=離散したもの、数値化(量子化)されたもの
「アナログ」=連続したもの、数値化(量子化)されていないもの
こんな風に表現できます。
時計をイメージすると一番わかりやすいかもしれませんね。
デジタルの時計は数字が表示されます。
つまり、数字と数字に連続性がありません。
それに対して、アナログの時計(針の付いた時計)には数字と数字の間が存在し、連続性があります。
この図を見ていただくとその違いがわかりやすいと思います。
アナログとデジタルにはこんな違いがあります。
では、テニスはどういう思考でプレーするべきか?
答えはアナログです。
例えば、ボールを飛ばす距離の感覚。
1m、2m、3mと言う様にデジタルで覚えるのではありません。
「1m飛ばすのはこういう打ち方、2m飛ばすのはこういう打ち方・・・・」
これってまさにデジタル的な思考なわけです。
コースの打ち分けも同じ。
ストレートへボールを打つ打ち方とクロスにボールを打つ打ち方。
これもそれぞれの打ち方が存在するわけじゃないんです。
例えば、ストレートとクロスを打ち分ける練習をしたとしましょう。
コート上にストレート、クロスと2つ的を置きます。
それぞれの的を狙う時、一般的には「ストレートの打点はここ、打ち方はこんな感じ」「クロスの打点はここ、打ち方はこんな感じ」
こうやって指導、練習すると思います。
ですが、これって練習してもなかなか上達しない一番マズイ練習の方法です。
理由はデジタル思考だからです。
では、アナログ思考とはどういう物か?
この的を2つではなく、5つに増やしたらどうなるか?
5つの的を10個に増やしたら?
100個に増やしたら?
1,000個に増やしたら?
ベースライン上に1,000個の的が置かれていて、それをストレートから順番にクロスに打ち分けていくとしたら?
1個の的と2個目の的それを打ち分ける時に違う打ち方が存在するでしょうか?
ほとんど変わらないです。
これはアナログの定義である「連続したもの、数値化(量子化)されていないもの」に当てはまるんですね。
人の脳の素晴らしい所はデジタルではなく、アナログで捉える事ができる事です。
また、感覚とはまさにアナログの世界なんです。
テニスが上達するにはデジタルではなく、アナログで捉える必要があります。
だからこそ、非常に繊細な調整が精度高く再現できるんです。
ところが、残念な事にテニスをデジタルで捉えている方が非常に多いです。
「この時はこうする、ああする」
「このボールを打つには、こういう打ち方」
「このショットにはこういうイメージ」
・・・・・
こういう風に小分けにする事はデジタル思考の始まりなんですね。
こういう思考でテニスをすると上達するにつれて、覚えるべき事が無数に増えていく事になりますよね?
Aのボールの打ち方
Bのボールの打ち方
Cのボールの打ち方
・・・・・・・
とても難しいと思いませんか?
ですが、アナログ思考ではそんな物は必要がありません。
連続性がある全体を捉えていくので最後は一つになります。
フォアハンドも、バックハンドもトップスピンもスライスもただボールを打つだけです。
ただ、そのボールの高さや速度、回転、角度などが微妙に違うだけなんです。
ちなみにデジタルの1番のメリットは?
情報が単純で伝えやすい事です。
デジタルの世界では2進法がよく使われますが、2進法は「0か?1か?」しかありません。
その間の0.8や0.08などは表せません。
テニスの指導もデジタルで伝えたほうが単純で一見わかりやすいんですね。
ですが、実際には必要な情報が簡略化されていて、なかなか上達する事ができないんです。
このアナログ思考とデジタル思考の違いは非常に大きいです。
ちなみに、フィーリングテニスでお伝えしている内容は全てアナログ思考から成り立っています。
ですから、デジタル思考で捉えようとすると大きな勘違いをする事になります。
また、今、伸び悩みを感じている方もデジタル思考でテニスを捉えている可能性が非常に高いです。
一度、ご自分がどちらの思考でテニスを捉えているか?
自問自答してみてください。
あなたのテニスの根幹を作る物なので、とても大切な物です。
アナログ思考で捉えるようになると今まで感じる事が出来なかった物が感じれるようになると思います。
本日のお話は以上です。
いつも長文およみいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
コメント