見取り稽古の大切さ

イメージと感覚
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今日のテーマは「見取り稽古」です。
武道の世界には「見取り稽古」と呼ばれる練習があります。

見取り稽古とは直接教わるのではなく、師匠や相手の技や呼吸、タイミング、動きなどを見て盗む為の練習です。

この練習は短期間に上達するにはとても大切な練習です。
特に大切なのは「見取る」力その物を伸ばすことです。

「見取る」力が伸びてくると、ちょっとした小さな違いにも気が付くようになります。
これがテニスの上達に大きな違いを生みます。
もちろん、その力はテニス以外にも活かされます。

「門前の小僧習わぬ経を読む」と言う、ことわざもありますが直接、教わる事が必ずしも、身につくわけではありません。

見取り稽古のとても良いところは、自分が見取る事が出来た時点で、明確なイメージができてしまう事です。

例えば、プレーヤーのある課題を練習するために2つのお手本見せます。
前者は今までの体の使い方。
後者は問題が改善された新しい体の使い方。

プレーヤーは、この2つの体の使い方を「見取り」ます。
この時、その違いを見つける事ができるか?
それとも、見つける事ができないか?
この差は非常に大きいです。

この違いを「見取る」事が出来たプレーヤーは既に頭の中に明確なイメージができています。
ところが、違いがわからないプレーヤーはイメージがまだ出来ていません。

ですから、直接、指導されても、その課題を吸収するには時間がかかってしまうのです。
場合によっては、その課題をクリアする事はできないかもしれません。

それに対して、違いを見つける事が出来たプレーヤーは先程も言ったように見つけた時点で、前者と後者の違いが明確にイメージできています。
その為に、簡単に後者を選択する事ができます。

「違いを見つける事ができない」と言う事は
「両者の違いが分からない」という事です。

となれば、当然、後者を選ぶ事もできません。
つまり、問題を改善する体の使い方はわからないと言う訳です。

もちろん、わからないなりに練習していれば、「いつか気が付く」と言う事もあります。
ですが、じっくり観察して、自分で気がついてから練習するほうが習得するまでの時間は格段に短い時間で済みます。

また、見取り稽古に時間をかける事で「見取る」力自体が伸びてきます。

つまり、小さな違いに気が付く観察力や洞察力です。
これらの能力を伸ばすには、最初は時間がかかるかもしれませんが、伸びる事で、後々上達が加速します。

ちなみに、日本には「仕事は見て盗む」と言う言葉があるように古くから、直接教わるのではなく、見取る能力を伸ばす地盤がありました。

ところが、残念ながら、近年、段々そのような環境がなくなっているように思います。
これは、観察力、洞察力を伸ばす事を考えると非常に大きな問題ですね。

少なくてもテニスにおいては「見取る」能力は非常に大切です。
ぜひ、小さな違いに気が付く、観察力、洞察力を身につけてくださいね。
その能力は一生の宝物になります。

「見取り稽古」をする時のポイントは「発信」しない事です。
自分の考えや思い込みがあるとそれ以外の部分をキャッチできません。

課題となるべき違いはこの気が付けない部分にあります。
その為に、これまでの自分の考えを忘れる事が大切です。

いかに「自分が無くなるか」ここが大きなポイントです。
「自分」が観察している限りは今までと同じ発想や視点になります。

「自分」を無くして、真っ白な状態で観察する事ができれば、今まで、自分が気が付くことが出来なかった新しい事に気が付く事ができますよ。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

コメント

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