ストロークのスイング中のラケットの動き

テクニック解説
この記事は約4分で読めます。

前回、ご紹介した鉄球のオブジェのイメージはどうでしょう?
テニスと結びつきましたか?

なかなか最初はテニスと結びつかないかもしれませんが、忘れないように覚えておいてください。
どこかのタイミングでこの二つが結びつく可能性が非常に高いので。

さて、今日のお話は「ストロークのラケットの動き」についてです。
前回、ボールを飛ばすには必ずしもラケットを振る必要がない事をお話しましたが、今日はその続きです。

テニスの技術の進化とは
「より強いボール」
「より速いボール」
「より正確なボール」
「より回転のかかったボール」
を求める事であると言うお話しましたね。

そして、単純にラケットを振り回すだけでは、ラケットのエネルギーが大きくなるが、精度が落ちる。

逆に精度を求めるとラケットの動きが小さくなってスイングのエネルギーが小さくなる。
つまり、強いボールや速いボールが打てない。

こうして考えると、この全ての条件を満たす事は不可能のように感じると思います。
それぞれが影響し合って相反する状態と言うわけです。

ところが、鉄球のイメージをテニスに流用するとこの相反する状態を解決する事ができます。
それはラケットをできるだけ動かさないでエネルギーだけを「ラケット⇒ボール」に伝える方法です。

これだと精度、速度、威力、回転の全てを同時に手に入れる事ができます。
ちなみにこの状態を忠実に再現しているのがフェデラーのフォアハンドです。

彼のフォアハンドは非常にコンパクトです。
特にテークバックではラケットが胸の前に置かれるだけです。

スイングに入っても、ラケットヘッドがそれ以上後ろに下がる事なく、ボールに向かっていきます。
このようなラケットの動きをするプレーヤーは他にはいません。

ジョコビッチ、ナダル、そして、錦織選手・・・
トップ選手のスイングは基本的にコンパクトですが、フェデラーに比べるとラケットのヘッドはもう少し、後ろに移動します。

ところがフェデラーだけはラケットの移動が極端に少ないのです。
もちろん、ボールを捕らえた後のフォロースルーは非常に大きいです。

打点も誰よりも前で捕らえますし、スイングスピードも非常に速いので、その後のラケットの軌道は大きく前に振り出されます。

ところが、テークバックからインパクトまでのラケットの移動は非常に小さいんですね。
実はこれが彼のフォアハンドが世界最強と言われ、あの年齢でも世界トップに君臨している理由の一つでもあると思います。

先程も言ったようにボールコントロールの精度を上げるにはラケットはできるだけ動かないほうが良いです。

例えば、ライジングでボールを処理する時、
左右に大きく振られた時、
サーブをリターンする時、
速いボールを打ち込まれた時・・・

このような状況を精度高く切り返すには当然、それだけの技術力が必要になります。
いくら一生懸命にプレーしても、技術力がなければ、当然、限界値は低く、すぐに破綻します。

ところが、フェデラーのラケットの動きは非常に小さく、精度が非常に高いので、このような状況からでも、まだ、次のカードが出てきます。
そして、逆にカウンターで仕留めたりします。

この技術力があればこそ、フェデラーはあの年齢でも他のトップ選手たちと互角以上に戦えているんですね。

さて、話は私たちのテニスに戻しますが、基本的には私たちも同じなんですね。

体力は年齢と共に必ず衰えます。
ラケットを振る筋力も、ボールを追いかける走力も・・・

ですが、技術は磨き続ける事ができます。
もっと小さな力でボールに勢いをつける。
もっとボールコントロールの精度を上げる
もっと簡単にボールを返球する

こういう事が技術を磨くことで可能になります。
技術はイメージから作られます。

つまり、高い技術を身につけるにはイメージその物を磨く必要があります。
その一つが先日紹介した鉄球のオブジェというわけです。

動かない鉄球がエネルギーを伝えるイメージがテニスと融合する事は高い技術のイメージと言えます。

ですから、今は良くわからなくても、忘れずに覚えておいて欲しいのです。
あのイメージがあなたの技術を進化させる基になってくれます。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

コメント

タイトルとURLをコピーしました