フェデラーとセレナ・ウイリアムズのフォアハンドの違い

テクニック解説
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今回のテーマは「フェデラーとセレナ・ウイリアムズのフォアハンドの違い」です。
正確にはいわゆるBIG4と呼ばれるフェデラー、ジョコビッチ、ナダル、マレーなどの男子のトップ選手のフォアハンドとWTAのトップ選手のフォアハンドとの違いです。

実は同じフォアハンドでありながら、両者は全く違う技術を使っています。
BIG4達はより進化したフォアハンドストロークを身に着けているのです。

今回はその違いを解説してみたいと思います。
では、まずはこちらをご覧ください。

衝突球 バランスボール

これは以前、1度紹介しているのですが、両者の技術を解説するにはとても重要な事なので、もう一度ご紹介します。
これを「運動量保存則」と言いますが、実はテニスの技術をレベルアップさせるにはこの法則を利用する事がとても大切です。

この動画でまず、学んでいただきたい事は「端の鉄球は動くが中の鉄球は動かない」と言う事です。
中の鉄球は動かないにも関わらず、エネルギーだけは伝わるので反対側の端の鉄球だけが飛び出します。

これと同じ事がテニスのラケットとボールの関係にも言えます。
つまり、ラケット自体は振らなくてもエネルギーを伝える事ができれば、ボールを飛ばす事ができると言う事です。

ポイントは「ラケットを振る必要が無い事」です。
ラケットは振れば振るだけ精度が下がります。
また、速ければ速いほど微妙なタイミングを必要とします。

その為に、少しでもずれるとミスにつながります。
ところが、ラケットをもし振らなければ?
ラケットは同じ場所を向いたままになります。

となれば、ボールは決まったところに必ず飛ぶ事になります。
つまり、ラケットは振らなければ、振らないほどボールを正確に扱える事ができるのです。

ところが、一般的には「ラケットを振らないとボールが飛ばない」と思われていますよね。
でも、実は違うんですね。

ラケット自体は振らなくてもエネルギーだけを伝える事ができれば、ボールは簡単に飛ばす事ができるのです。

これは先ほど紹介した動画で証明されていますよね。
そこで問題は「ラケットを振らないでラケットにエネルギーを与える事ができるのか?」
と言う事になります。

結論から言うと、できるんです。
ラケットをできるだけ、振らないで、エネルギーを伝える体の使い方があるのです。
実はこの体の使い方が技術レベルを上げる為には非常に重要になるんです。

では、ここでもう1つ動画を紹介します。

ATP vs WTA Forehand

こちらも以前に紹介した動画です。
ATPとWTAの技術の違いを解説した動画です。

実はここで紹介されているATP=BIG4の技術は実はラケットを振らないでエネルギーを伝える技術なのです。

それに対してWTAの技術はラケットを積極的に振ってラケットヘッドでエネルギーを作る技術です。
ですから、自ずと精度、パワー、スピードが違ってくるのです。

ちなみに、先ほど、私はBIG4はラケットを振らない技術を使っていると言いましたがこの動画を見る限り、ラケットを振っていないとは見えないと思います。
それどころか、物凄いスピードで移動していますよね。

ですが、ここで見て欲しい事はWTAは腕の動きよりもラケットのヘッドが大きく動き、それに対してBIG4はラケットヘッドの動きが小さく、その代わりに腕の動きが非常に大きいことです。

これはBIG4の方がより積極的にスイングの中心を動かしている事を指しています。
つまり、WTAは末端を動かす技術であり、BIG4は中心を動かす技術であると言う事です。

言い換えればWTAはラケットを振ってエネルギーを作る技術であり、BIG4はラケットではなく、体でエネルギーを作り、ラケットはそのエネルギーを伝えているだけなのです。

その為に、あれほど驚異的なスピードでボールを飛ばしながら、針の穴を通すほどのコントロールを実現する事ができるのです。

この動画を見てもらってもわかるように同じフォアハンドでありながら、BIG4とWTAでは全く違うスイングをしています。
この技術の違いは、例えれば、「WTA=日本語、BIG4=英語」ほど違うので最初は戸惑う事もあると思います。

ですが、身に付ける事ができれば一生物です。
力を使わなくても相手のエネルギーを利用してパワーボールを打ち返す事ができます。
それでいて、コントロールも驚く程良くなります。

ぜひ、積極的にチャレンジして欲しいと思います。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

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