今回はサーブのトスについてお話ししたいと思います。
サーブのトスについて、お悩みの方は非常に多いと思います。
実際、トスが原因でサーブを伸び悩んでいる方が多いのも事実です。
では、どうすれば安定してトスを上げる事ができるか?
そのヒントについてお話しします。
では、まず、逆説的に説明します。
トスが安定しない一番大きな理由はトスの上げ方を意識している事です。
安定してトスを上げるにはトスの上げ方を意識しないようになる必要があるのです。
トスが安定しない人は「上手く上げよう」と意識していろいろ練習します。
残念ですが、こういう練習をすればするほど、トスは不安定になります。
ネット上で「テニス サーブ トス」と検索してみてください。
いろんな方法が紹介されています。
それらの方法を試した事がある方は分かると思いますが、まず、安定する事はないでしょう。
逆に意識すればするほど不安定になる事を体験しているはずです。
理由はとても簡単です。
人の動きはイメージでコントロールされているからです。
その為に、意識すれば、するほど動きは不自然でぎこちない物になり、不安定になります。
例えば、水をいっぱいいっぱいに入れたコップを運ぶ時、腕の動きを意識すればするほど、水はこぼれてしまいます。
また、お習字は腕の動きを意識すればするほど、上手く書けなくなります。
同じような事を日常生活で誰もが体験しているはずです。
これは人は意識して身体を動かせば動かすほど、自然に安定して動く事が出来ない事を表しています。
理由は先ほども言ったように人の身体は意識ではなく、イメージでコントロールされているからです。
トスが安定しない方は、この事をしっかりと理解しておく必要があります。
この事を知らずにトスの上げ方を練習すると、トスがいつまでも安定しないだけではなく、最悪の場合、イップスになる可能性もあります。
「でも、トスの上げ方を練習しないといつまでも安定しないじゃないか!」
こんな風に思う方が多いと思います。
確かにその通りです。
トスを安定する為にはトスの練習をする事は必要です。
ですが、その練習方法が重要なのです。
先ほども言ったようにトスの上げ方を意識して身につけようと練習する事はお勧めしません。
それよりも、イメージで身体が自然に動くように練習をする方がとても効果的です。
イメージで動かせば、トスはすぐに安定するようになります。
では、具体的にどうすれば良いのか?
いくつかの段階がありますが、まず、一番最初にする事があります。
それは、どこにトスを上げるのか?
これを明確にする事です。
実はトスが不安定な人ほど、トスを上げる場所が不鮮明です。
ボールを「上手くコントロールする事」に不安を持っているので上げる場所のイメージが不鮮明で、とにかく「上手くトスを上げる事」を目的にしがちです。
多いケースは「打ちやすい場所に上げよう」と練習するケースです。
残念ながら、これではイメージで身体を動かす事にはなりません。
ですから、いつまでも、トスは不安定な状態になります。
ちなみに左手で二人でキャッチボールをしてみてください。
距離は2,3mぐらいで良いでしょう。
投げ方は特に意識する必要はありません。
下から適当に投げてください。
ただし、一つだけ課題があります。
相手が出している手のひらの一点に目のピントを合わせて投げる事、これだけです。
投げ方も、結果(コントールの良し悪し)も気にする事はありません。
ただ、相手が出している手のひらの一点に目のピントを合わせて投げるだけです。
素直に一点にピントを合わせて投げれば、驚くほど安定してボールを同じところに投げる事ができるはずです。
これは投げ方や腕の動かし方を意識しないで投げる場所のイメージが鮮明だから起こる事です。
実は人は目標のイメージが明確になれば、その目標に対して、自動的にコントロールするように動いてくれる能力を誰もが持っているのです。
ところが、サーブのトスは目標のイメージが不鮮明です。
理由はサーブの打点は空中にあり、距離や方向を計る目安になる物が全くありません。
その為に場所を明確に特定する事が中々できないのです。
これがサーブのトスが安定しない一番根本的な原因です。
ところが、サーブのトスが安定している人ほど、このイメージを明確に持っています。
つまり、サーブのトスが安定しているプレーヤーと不安定なプレーヤーの一番大きな違いはトスを上げる場所のイメージの鮮明度なのです。
ですから、トスが不安定な人がまず、最初にするべき事はこのイメージを鮮明にする事、ここから始めないといけません。
このイメージが不鮮明なまま、トスの上げ方を練習すると身体はいつまでもイメージで動く事ができずに、トスは不安定なままです。
水がいっぱいいっぱいに入ったコップを腕を意識して動かしている状態と同じですね。
まずはこの状態を脱する事、それがトスを安定する為に最初にするべき練習です。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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