前回に引き続き、今回もテニスの基本についてです。
実は時々こんな質問をいただきます。
「上達する近道はありませんか?」
こんな時、私はこう言います。
「近道はありません」
「でも遠回りはいっぱいあります」
「ですから、遠回りをしないで最短距離を行く事が周りから見れば近道に見えるかもしれません」
こんな感じです。
この意味はお分かりになるでしょうか?
つまり、何が言いたいか?
するべき事はしないと上達する事はないと言う事です。
それを飛び越してその先の結果を手に入れる事はありません。
ただ、一般的には殆どの方が「本来するべき事=基本」ではない事をしてしまっている。
だから結果的に「遠回りをしている」こんな状態になるわけですね。
その為に私はレッスンする時に常に意識している事があります。
それは、生徒達を「上達する為に必要なレールの上に乗せる」事です。
例えばこう言う事です。
上達する道とは「新大阪駅から東京駅へ新幹線に乗る事」だとします。
すると、大切な事は新大阪駅で新幹線に乗る為の手順を踏む事です。
例えば、「切符を購入する」「改札を通る」などです。
必ず、その手順を踏まないと新幹線に乗れませんよね。
この手順を飛ばす事はできません。
でも、逆に言えばその手順を踏みさえすれば、そして、乗るホームを間違えなければ、後は自動的に東京駅に着きます。
実は上達ってこんな感じなんです。
なので、近道はありません。
ただし、最短距離で目的地に向かえます。
そして、その為にするべき事は必ずする必要があるんです。
ところが、なかなか上達できない人はどうなっているのか?
一番大切なこの手順をすっ飛ばそうとします。
そして、別の入り口を探そうとしている感じ。
イチロー選手はこんな事を言っています。
「小さな事を積み重ねる事がとんでもないところに行くただひとつの道だと思う」
正にそのとおりだと思います。
切符を購入したり、改札を通ったり。
こんな当たり前の事をするだけなんです。
そうすれば乗るレールを間違えないんです。
後は自動的に目的地に着きます。
言えばこれが基本と言うわけですね。
ではこれをテニスに置き換えて、一つの例をお話します。
テニスはフットワークが非常に大切です。
ボールに対応して足を動かす必要があります。
この感覚に近道はありません。
必ずフットワークは必要です。
もちろん、「どれぐらい動く事ができるか?」
これには個人差があります。
性別や年齢、体力差などでみんな動ける量は違います。
また、別に同じでなくても良いのです。
自分なりの動きで大丈夫です。
ただ、「ボールに対応して動く感覚」
これはどんな人にとっても必要な感覚なのです。
ところが、これをすっ飛ばそうとする人がいると言う事です。
「ボールを打つ事が上手になれば動かなくても何とかなる」と思うわけです。
そして、それを実際に練習しようとします。
でも残念ながらこれはありえない。
近道しようとして実は目的地には辿り着けないと言う事です。
実はこれが練習しているのになかなか上達しない方の思考回路です。
「ボールに対応して動く」
これは先ほどの新幹線で言えば「切符を買う事」ぐらい絶対に必要な基本なわけです。
ですから、すっ飛ばしたら「新幹線に乗れない」=「目的地に着かない」
となるわけですね。
実は伸び悩んでいる状況の裏側ではこんな原因が必ずあります。
なので、練習の量や時間と上達は全く比例しないんです。
いくら時間をかけて練習をしても、先ほどのフットワークの例のように基本をすっ飛ばしていたら・・
残念な結果しか出ません。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
フィーリングテニス
戸村基貴
写真提供:小林一仁(zonephotography)
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