錦織圭選手のフォアハンドストロークのテークバック

テクニック解説
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今回は錦織圭選手のフォアハンドストロークのテークバックを見てみたいと思います。
錦織選手のフォアハンドストロークと言えば、日本人選手でありながら、世界のトップ選手から、ウィナーが取れる非常に大きな武器です。
厚いグリップを使い、強烈なスピンがかかっていますが、スピードも非常に速く、彼のテニスの根幹とも言えるショットです。

さて、彼のテークバックには大きく3つの特徴があります。

1.左手の高さ
ご覧いただくと分かりますが、錦織選手はテークバックの時、左の手が少し高い位置にセットされます。
左手の拳の位置は目の高さ、肘の位置は目が隠れるぐらいです。
これは他の選手と比べても少し高い位置です。
では、どうして、錦織選手の左手はこれほど高い位置にセットされるのか?
理由はラケットヘッドを立ててテークバックするからです。
彼はレディポジションの時、左手はラケットのスロートよりも面に近い部分を持っています。
テークバックではこの状態を維持したまま上半身をターンさせていきます。
その為に、右手の拳と左手の拳の位置には上下に大きな差ができます。
右手の拳は胸の高さあたりにセットされますが、左手はラケットの面に近い部分を持つので、左手は非常に高い位置に来るわけです。
もし、ラケットヘッドを寝かしてテークバックしたり、左手を添える部分がもっと下であれば、ここまで高くなる事はありません。
レディポジションの状態を維持したまま、体幹を捻って準備する為にこのような高さになるのだと考えられます。
ちなみに、ここまで左手は高くありませんが、レディポジション状態を維持したまま、上半身をターンする事でテークバックを完了させる方法はトップ選手には共通の特徴です。

2.右手の拳の位置
二つ目の特徴は右手の拳の位置です。
拳の位置が右肩の前あたりの位置で一度セットされます。
その後、上半身の捻り戻しに伴って、もう少し後ろに下がり、それから、腕を振り始めます。
ですが、この拳の位置が後ろに下がる動きは上半身の捻り戻しから生まれるプレストレッチによる動きだと考えるべきです。
となれば、実質のテークバックの拳の位置は右胸の前あたりという事になります。
このあたりは文字ではなかなかお伝えしにくい部分なので、レッスンノートを使って、動画でも紹介していきたいと思っています。
いずれにしても、錦織選手のテークバック自体は非常にコンパクトです。
アマチュアのプレーヤーは強いボールを打とうとするとどうしても拳の位置を大きく後ろに動かしがちですが、実はこうすると身体から拳が外れ、腕が力の入る状態で使う事ができなくなります。
拳の位置が後ろに残り、振り遅れたような状態でボールにコンタクトしてしまうのです。
錦織選手の拳の位置はアマチュアプレーヤーもぜひ、参考にしたい部分です。

3.ラケット面の向き
三つめの特徴はラケット面の向きです。
彼は少し厚めのグリップでラケットを握っています。
その為に、レディポジションの時、薄いグリップのプレーヤーに比べて、ラケット面がネット方向を向きます。
そして、上半身をターンし始める初期動作ではっきりとラケット面をネットと平行に向けます。
これはインパクト時に必要なラケット面をこの時点で作る事で再現性を高めるのが目的だと考えられます。
この時、作られたラケット面を維持しながら上半身は横向くまで捻られます。
つまり、ラケット面は胸と同じ方向を向いたままテークバックが完了するのです。
これは腕やラケットを操作するのではなく、「体幹を準備するだけでラケットや腕はその体幹に従っている」という状態だと言えます。
こうする事で手打ちにならずに、身体全体を使ってスイングする事ができるわけです。
この部分もフォアハンドを武器にしている男子のトップ選手のほとんどが実践している特徴です。

以上、三つが錦織選手のフォアハンドストロークのテークバックの大きな特徴です。
ただ、この三つの特徴は多少、錦織選手の個性も含まれていますが、フォアハンドを武器にしている男子トップ選手には同じように見られる特徴です。
つまり、身体を効果的に使い大きなエネルギーをボールに伝える。
それでいて、コントールよく再現性の高いボールを打つ為には必要な条件と言う事が言えるでしょう。
逆に言えば、アマチュアプレーヤーでも、フォアハンドを武器にするには参考にするべきポイントという事になりますね。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

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