早速ですが、今回のテーマは「ラケット面の作り方とパントマイム」です。
パントマイムを見ると、とても不思議な違和感を感じますよね。
そこにあるはずの無い物が見えたり。
動くはずの無い物が動いて見えたり。
一体なぜ、こんな事が起こるか?
それは基準が変わるからです。
例えば、壁が無いのに壁があるように見える時。
パフォーマーは手を動かさず、身体を動かします。
この時、本来であれば、身体が動くと手も動くはずなんですね。
ところが、手は全く動かさずに身体だけをいろんな動きをする。
すると、そこには手を動かす事ができない理由、つまり障害物があるように見えるわけです。
これって本来の基準が変わってしまっているでしょ。
本来は身体が基準で、手は身体が動いたらそれに伴って手も動くものです。
ところが、その基準が手に変わり、身体は動くが手は動かないとなっています。
これが壁があるように見える理由です。
実はテニスで安定してボールをコントロールするには同じような要素が必要です。
テニスボールは基本的にはラケット面の向いた方向に飛んで行きます。
と言う事は、安定してコントロールする為には可能な限り、ラケット面は狙った方向を向いている方が良いと言う事になります。
ところが、身体を同じ方向に向け続ける事はできません。
ボールを追いかけて、動く必要がありますし、またテークバックをしてエネルギーを作らなければいけません。
では、この矛盾をどうすれば、解決する事ができるか?
ここでパントマイムの要素が必要になるわけです。
一般的には身体を動かせば、ラケットは身体の動きに伴って、色々な方向に向きます。
ところが、安定してボールをコントロールするプレーヤーは身体は色々な動きをしますが、ラケット面はコントロールしたい方向にいつも向いているわけです。
これってまさにパントマイムの壁と同じです。
基準が自分の身体の動きではなく、狙った方向になっているのです。
また、違う例を挙げると方向音痴の人とも良く似ています。
方向音痴の方は自分の身体の動きや向きが基準になります。
ですから、何度か、移動する方向を変えると、どちらに行けば良いかが分からなくなります。
ところが、方向音痴ではない人は、自分が目指す場所が絶対基準になります。
ですから、身体が移動する方向が変わっても、目指す方向を失う事はありません。
これともよく似ています。
さて、話をテニスに戻しますが、先ほども言ったようにラケット面はボールのコントロールを決定する大きな要素です。
ラケット面をコントロールする事ができるとボールは急激に安定します。
そこで必要になるのが、先ほど言ったようなパントマイムの要素です。
ところが、コントロールが中々身に付かないプレーヤーは自分の身体に対して、ラケットをコントロールしようと練習します。
中でも最も多いのが理想的なフォームや動きを身につけようとする事です。
一見このような練習は正しくて効果があるように思うかもしれません。
と言うより、テニスコーチを始め、ほとんどの方がそう思っているでしょう。
ですが、それは勘違いです。
理想のフォームを覚えようとすれば、するほど、自分の身体の動きが基準になって、ラケット面が決まる事になります。
これを覚えてしまうと、身体の向きや動きを変える事ができなくなってしまいます。
また、逆に動いてしまえば、ラケット面は違う方向を向くので、ボールはコントロールできなくなります。
これでは方向音痴の人が方向を失うのと同じです。
いずれにしても、実戦的とはほど遠い物になります。
その為に、理想のフォームや正しい動きを練習すれば、するほど、簡単なボールはコントロールできるのに試合では全く出来ない矛盾が生まれてくるのです。
ですが、逆にパントマイムのような感覚を磨く練習をすれば、この問題は急激に解消します。
身体はどんなに走り回っても、また、どんなに捻っても、ラケットはいつも狙った方向を向くようになります。
こうなれば、とても実戦的なのは容易に想像できると思います。
あなたに目指していただきたいのはそんなテニスです。
特別に難しい事ではありません。
その感覚を身につける為の練習をするか?しないか?
それだけです。
練習さえすれば自然と、その感覚が磨かれていきます。
本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
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