頭では身体をコントロールできない

イメージと感覚
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多くのテニスプレーヤーは意識すれば自分の体をコントロールできると思っています。
また、考えて動かせば、その通りに動くと思っています。

ですが、これは間違いです。
そもそも人の意識や頭では体はコントロールする事ができないのです。

それが証拠に頭ではわかっているのにその通りにできない事がたくさんあると思います。
また、意識してそのように動こうと思っているのにその通りにできない事もたくさんあるはずです。

これは、単純に意識したり、考えたりするだけでは、人は体をコントロールできない事を表しています。
まず、この事をしっかりと理解する事が必要です。

そして、どうすれば、体がイメージしたように動いてくれるかを学ぶ必要があります。
この事を学ばなければ、頭や意識と体が一致する事は無く、いつまでも自分がイメージした結果を出す事ができません。

ところが、残念な事に多くの人は頭で理解すればそのように体が動くと思っています。
また、意識して練習していれば、イメージしたように動いてくれると思っているのです。

そもそもここが1番の勘違いです。
今の自分の現状を打破するには、まずはこの勘違いから抜け出す必要があります。

では、どうすれば「頭と体」または「意識と体」を一致させる事ができるか?
それを子供を育てる時に例えてみます。

子供の能力を最大限に発揮する為にはどんな関わり方をするのが1番良いか?
実はこの事と「頭と体」または「意識と体」との関わり方と非常によく似ているのです。

当たり前の事ですが、子供と親も全くの別の存在ですよね。
子供には子供の自我が当然あります。

では「どんな関わり方が良いのか?」考えてみましょう。

まず、子供との関わり方には大きく3つのタイプが考えられます。

1.「あれしなさい」「これしなさい」と指示、命令するタイプ
2.子供は放任して、自分も好きな事をしているタイプ
3.最低限の注意だけ与え、後は何も言わず、後ろから見守るタイプ

大体がこの3つのタイプに当てはまると思います。
では、どのタイプが子供の能力をしっかりと伸ばす事ができるか?

1.のタイプは言われないと行動できない自主性がない子供に育つ可能性が非常に高いです。
また、場合によっては、子供が萎縮していつも親の目を伺う子供になる可能性もあります。
当然、本来の能力を発揮することはできません。

2.のタイプは子供は自由に行動しますが、危険を伴ったり、方向性を間違ったりする可能性が高いです。
また、本来、必要な愛情や躾を得られない事が成長の妨げになる可能性が非常に高いです。

3.のタイプは余計な口出しをしない事で自然と自らが行動し、必要な体験を積み重ねていきます。
また、見守られている安心感から、積極性を身につけていきます。
さらに最低限のアドバイスによって、方向性を見失う事もなくなります。

さて、いかがでしょう?
3.のタイプが1番子供の能力を伸ばす可能性が高いのはお分かりいただけるでしょうか?

実は自分の頭や意識と体もこれと同じような関係なのです。
つまり、「頭や意識」が親。
「体」が子供というわけです。

多くの人は自分の体が上手く動いてくれないので、ついつい頭や意識(親)がいろいろと命令や指示を与えます。
体(子供)は本来自分のしたいように没頭したいのに、いろいろと口出しされるので自由に行動できなくなります。

それが原因で集中力を失い、必要な体験や情報を得る事ができません。
となれば、当然、成長する事はありません。
そのうちに自主性を失い、指示されないと行動しなくなります。

これが練習しているにも関わらず、テニスが上達しない原因であり、また、「頭や意識」と「体」との関わり方です。

「頭や意識」と「体」を一致させ、テニスを上達させる為には3.のタイプの関わり方をする事が大切です。
つまり、「頭や意識」やいろいろ口出ししないと言うことです。

指示や命令をしない事は一見上達しないように思うかもしれませんが、実はそうではないのです。

こうすれば、体は自然と自らが学んでくれるのです。
そして、体が成長すれば、自分(頭や意識)が考えている以上の能力を発揮してくれます。

ただ、3.の「何も言わず、ただ、見守る事」は決して簡単な事ではありません。
期待が大きいとついつい口を挟んでしまいがちです。

これは子供に対しても、自分の体に対しても全く同じです。
モチベーションや期待が大きいほど、「あれや」「これや」と口出ししてしまうのです。

つまり、頭や意識がするべき事は要らない口出しをしないように「見守る」力を身に付ける事なのです。
「見守る力」を身に付ける事は決して簡単な事ではありません。

自分の我欲をコントロールする事とも関係しますし、また、意図しない結果を受け入れる度量も必要です。

自分が意図しない結果が起こった時に、その事に対して、何も口出しせず、ただ、見守る事は度量が広くないとできない事です。

度量が小さいとすぐにいろいろ命令や口出しをしますよね。
世の中のビジネスマンはそんな上司に困っている方が大勢います(笑)

いかがでしょう?
「頭や意識」と「体」の関わり方はわかっていただけたでしょうか?

ちなみに「見守る力」は言い換えれば「集中力」です。
集中力とは「結果に関わらず、1つの事に注意を向け続ける力」です。

まさに「子供を見守る力」と一緒でしょ??
子供がどんな失敗をしても、ただ、目標を明確に指し示し、将来を信じて見守る。
体がどんな失敗をしても、ただ、目標を明確に指し示し、将来を信じて見守る。

良かったら参考にしてみてください。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

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