テニスのボタンの掛け違い

テニスの上達の為に
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今日のテーマは「ボタンの掛け違い」です。

この世の中は「原因と結果の法則」が成り立っています。
日本には「風が吹けば桶屋が儲かる」と言う諺があります。

これは「ある事象の発生により、一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に
影響が及ぶことの喩え」です。
この諺は本当の原因は簡単には分からない事を意味しています。

この仕組みはテニスにも言える物です。

例えば。
「フォアハンドにスピンがかからない」
この結果の原因は何か?

・ラケットヘッドが下がっていない
・下から上に触れていない
・膝が使えていない
・グリップが違う
・打点が違う
・手首の使い方が違う
・・・・・

一般的にはこのように考えられがちです。

確かに、これらは一見、それが原因のように見えます。
でも、実は違います。

物事の原因と結果の法則はそんなに単純ではありません。
本当の原因は風と桶屋のように一見、全く関係がなさそうに見えるのです。

これを勘違いすると「いくら練習しても上達しない」と言う矛盾に陥ります。
結論から言うと本当の原因はそんなに簡単に見つけられません。

ただ、その事に気付くと結果は瞬時に変わります。
ある一球を境に突然、全く違いが出るのです。

逆に言えば、何球打っても結果が変わらなければ「それは本当の原因ではない」と言えます。

例えば。
「下からラケットを振ってみた」
「でも、スピンがかからない」
となったら、それは本当の原因ではないんです。

本当の原因なら、少し練習すればすぐに結果が変わります。
それが起こらないという事は「原因は他にある」という事です。

実はこの事を理解する事はとても大切な事なのです。

「下からラケットを振ればスピンがかかる」と思って練習するが、「結果が変わらない」
この時、多くの人は「上手く下からラケットが振れていない」事が理由だと考えます。そして、それが出来るように練習し始めます。

ところが、そもそも「下から振れていない」事が本当の原因ではないんですからいくら練習しても結果は変わりません。
こうして、泥沼にハマっていきます。

こんな経験を繰り返してしまうと人はだんだん自信を失います。
そして、場合によっては「自分にとってテニスは難しい」となります。

でも、本当はそうではありません。
ボタンの掛け違いのような物です。

最初にボタンを間違えるとそのあと、どれだけ頑張っても、ボタンは掛け違ったままです。
本当の原因ではない矯正をすると後がとても厄介です。

例えば、こんな事がありました。

その方はとても反応が良く、動きも速い。
ボールの扱いも上手です。

ところが「スマッシュだけは素早く後ろに下がれない」
そこで「何をしているのか?」をじっくりと観察すると。

ロビングが上がると
1.その場で右足を背中側に動かす
2.左足を踏みかえる
3.後ろに下がり始める

実はこんな動きをしている事が分かりました。

つまり、その場で足を踏みかえる動きが入る事で、後ろに下がるのが遅れている訳です。

では、なぜ、こんな事をしているのか?
普通なら、後ろに飛んで行くボールを見れば足は自然と後ろに動きます。

このようにその場で足を踏みかえるような動きをしません。
にも関わらず、そんな動きが入ってしまう理由。

それは過去に「素早く身体を横に向ける事」を繰り返し、練習してしまったからです。
それが癖になってしまい、後ろに下がるのが遅れるようになってしまったわけです。

幸い、とても運動能力が高い方でしたのでだんだん動きは自然に変わってきました。
ですが、まさにボタンの掛け違いだと思いませんか?

スマッシュで「身体を横に向ける」事自体は間違ったアドバイスではありません。
でも、状況に合わないアドバイスを練習すると、こんな弊害を身に付けてしまうわけです。

「原因と結果の法則」を間違ったこう言う勘違いによる弊害は非常に多いです。
と言うより、伸び悩みのほとんどはこんな感じです。

必ず、「本来の原因ではない物」を練習する事で身についてしまった弊害があるんです。

ちなみにこのような弊害は私自身にもいっぱいあります。
今はその勘違いを取り除くのに四苦八苦しています(笑)

さて、それでは、このような弊害を生み出さないようにするにはどうしたら良いか?
それは考えない事です。
また、何か特定な事を意識して練習しない事です。

現状の結果はいろんな要素が絡み合って出た物です。
眼で見たり、考えたりして、その原因が分かる物ではありません。

例え、どんなに優れたテニスコーチであってもです。

それよりも大切な事はプレーヤー自身が実際に体験する事です。
そして、身体自身に学ばせる事です。

人の身体には非常に優れた自己修正能力が備わっています。

歩けるようになったのも。
自転車に乗れるようになったのも。
この能力が働いたおかげです。

テニスが上手くなるにもこの能力を使うよりほかに方法がありません。
ところが、ついつい、コツを習うと早く上達すると思ってしまうんですね。

ですが、断言します。

コツは習うと上達が遅れます。

コツの存在を否定している訳じゃないんですよ。
コツは確かに存在します。

ですが、それは人から習って何とかなる物ではありません。
自分で感じ、気付くほか方法はありません。

そして、実はそれが最も最短で進む道です。
コツは習えば、習うほど遠回りします。

本日の話は以上です。

いつも長文お読みいただき本当にありがとうございます。

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