テニスの正しい練習?

テクニック解説
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今回のテーマは「練習方法」です。
時々、こんなご質問をいただきます。

「○○が上手になる為にはどんな練習したら良いですか?」
「この練習で上達しますか?」

こんな感じですね。

結論から言います。

「上達する練習方法」「上達しない練習方法」または「正しい練習方法」「正しくない練習方法」は存在しません。

どんな練習方法でも必ず、何かのヒントを掴む事はできます。
問題は練習方法ではないんですね。

ちなみに私は指導する時には
「誰もが出来るであろう事」
「誰もが出来ないであろう事」
「努力したら出来るであろう事」

必ず、この3つの内容を絡めて練習を進めます。
どれか1つ、または2つだけではダメなんですね。

出来る事ばかりではプレーヤーの可能性を抑えてしまいます。
出来ない事ばかりではプレーヤーは自信を持てなくなります。
努力してできる経験をすると次へ挑戦したくなります。

では、この3つを正しい練習方法と言う観点から見ると?
ちょっと違う気がしませんか?

正しい練習方法だからと言って、その練習方法ばかりしてたらダメなんですね。
いくら正しい練習方法を繰り返しても、それが本人にとって、出来る事なら、そこで可能性が止まってしまいます。

逆に出来ない事なら、悩みから抜け出す事はできません。
努力したら出来る事は常に課題は変わっていくはずです。

いかがでしょう?
こうして考えると正しい練習方法なんて存在しませんよね。

ですが、非常に多いと思います。
正しい練習方法を求めている方は・・・

また、同時に正しい打ち方や方法を求めている人も・・・

少し話は広がってしまいますが、
今の世の中は「正しい事」「理想の事」を求めすぎるような気がします。
それは言い換えれば、間違いを拒絶し、正しい事や理想の事以外を否定している事になるんですね。

ですから、テニスに限らず、批評、批判・・・
このような否定的な情報が溢れかえっています。

批評や批判はストレスの裏返しです。
ストレスを溜めている人はすぐに批評批判したくなります。

それだけ、その人は自由ではないって事ですね。
「私は我慢している(努力している)のにどうして?」って言う思いが批評、批判に繋がります。

ストレスを溜めていない人は批評批判はしません。
もっとおおらかです。

ところが、今の世の中は批評批判が非常に多いです。
それだけ多くの人がストレスを溜めているという事でしょう。

でも、これは非常に危険です。
正しい事や理想の事を追い求めれば、追い求めるほど、発想や対応力は狭くなり、到達できるレベルは低くなります。

つまり、結果として、正しい事、理想の事を手に入れる事はできないと言う訳です。

今度、テニスコートに行ったらどんな言葉が行き交っているか、少し聞いてみてください。
批評、批判に関する言葉がどれほど多いか、気がつくと思います。

「そうじゃない、本当はこうするべき」
「あの時はそれよりもこうするべきだった」
「正しい方法はこう」

こんな感じの会話がほとんどだと思います。
この事自体が間違っていると言うわけじゃないですよ。

確かにもっと良い方法があったかもしれません。
ただ、問題は今を否定して、正しい事だけを盲目的に求める事です。

別に間違っても失敗しても良いじゃないですか。
それよりも自由に楽しめば良いんです。

「なるほど、本当はその方が良かったんだね、でも、楽しい方が良いよね」
「なるほど、正しい方法はこうするのか、そのうちできるといいな」

みたいな感じです。

このバランスが崩れて、ひたすら正しい事を求めて、その他を否定し始めたら厄介です。
学習能力が著しく低下しますから、上達の道は閉ざされてしまいます。

「好きこそ物の上手なれ」と言うことわざがあります。
まさにその通りだと思います。

このことわざのポイントは「好き=楽しい」と言う事です。
また「好き=楽しい=集中」と繋がっているからです。

それが上達に繋がるわけです。
ところが、正しい事、理想の事を求めるとこの図式が崩れるんですね。

「正しいテニス、理想のテニス>テニスの楽しさ」
こんな状態になってしまう事が少なくありません。

こうなってしまってはテニスの価値は無くなったも同然だと思うのですが、あなたはどう思いますか?

ちなみにこのテニスを人生に置き換えると?
「正しい人生、理想の人生>人生の楽しさ」

今の日本人って、こんな状態になってしまっている方少なくないと思うんですね。
それが批判的な社会に繋がっているような気がします。

せめて、テニスをしている時はみんな「楽しくプレーして欲しいなぁ」と願う今日この頃です。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

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