サーブの動きは体温計を振る動き?

テニスの上達の為に
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今日のテーマは「車の外と中」です。

とても当たり前の事ですが、車の外から見た形と車の中から見た形は全く違う物です。
車の外から見るとその美しいシルエットを見る事が出来ます。

ところが、同じ車であっても、中に入るとそのシルエットを見る事は出来ません。
それどころか、全く違う物が見えます。

当然と言えば、当然の事です。
外から見える物と中から見える物は同じでは無いのです。

実はこれはテニスのフォームや打ち方も全く同じ事が言えます。
「外から見た良いフォーム」と「中から感じた身体の動きは全く違う物だ」と言う事です。

多くのテニスコーチ、テニスプレーヤーはこの事を勘違いしています。
その為に、良いフォームを外から見て、それを真似ようとします。

これは車の外から見た美しいシルエットを中に入って真似ようとしているのと同じ事です。

外から見た美しいシルエットは中で必要な機能を表現した結果に過ぎません。
と言うよりも、運転席に座り「車の操作性を追求した結果、そのシルエットが生まれた」と言った方が良いかもしれません。

同様にして、フォームや打ち方はボールの操作性を追求した結果、生まれた物です。
その為に、外から見た物をそのまま真似しても全く意味がありません。

ところが、良いフォームや打ち方をすれば、良いボールが打てると思いがちです。
ですが、そんな事は起きないのです。

と言うより、そもそも、外から見た物を真似る事自体が間違いです。
車の外から見た物と運転席に座って見える物は違っていなければいけません。
同じであってはいけないのです。

つまり、テニスでは外から見たフォームや打ち方を真似ようとすれば、するほど、乖離していくと言う事です。
ところが、感じる物を追求すれば、外から見た動きは同じような物になります。

例えば。
ボールを打った時の打球感
飛んで行くボールの弾道や軌跡

こういう物を追求すると、身体はそれに必要な動きに自然と対応してくれます。
その結果、他人が見ると同じような動きをするようになります。

ちなみに、先日、ある生徒さんにサーブを指導している時の事です。

基本的な動きから順番に指導し、とても良い感じになりつつありました。
ところが、ある部分の問題だけがどうしても改善しません。
とても不思議な状態です。

その他の動きはとても自然に必要な動きを自動的にしてくれています。
ところが、その一点だけが、突然、不自然な動きをします。
その為に、全体のバランスを崩してしまうのです。

その一点とは前腕から手首にかけてのあたりです。
この部分に、不自然な回内、回外運動が加わる為に、ボールを捕らえる事ができないのです。

そこで、その方に質問してみました。
すると、「体温計を振る動き」を意識していると言うのです。

これがサーブの動きが良くならない諸悪の根源でした。

彼はどうも、ボールを打つ為には「体温計の動き」が必要だとどこかで学んだようです。
確かに回内、回外運動は必要ではあります。

ですが、それは身体が学ぶ事であって、真似て覚える物ではないのです。
彼のサーブが練習しても、中々問題が解決しなかったのも「車の外と中」の勘違いが原因です。

彼は外から見た(学んだ)体温計の動きを中から「同じようにしよう」と意識していました。
その意識が結果的にはサーブの上達を阻害していたのです。

外から見た美しいシルエットを中から真似ようとしていたわけですね。

このように外から見た(学んだ)動きを真似ようとする事は実はたくさんの弊害を生みます。
そして、それが上達を阻害します。

プレーヤーが「良かれ」と思って練習している事自体が上達の邪魔になっているのです。

実はこの事については私自身も数多く体験しています。
私自身が「あぁ!なるほど!」と新しい発見をする時は必ず、私が「こうだろう」と思っていた事が邪魔していた事に気が付くのです。

「言うは易く行うは難し」ではありませんが、「見る」事と「行う」事は全く違います。
テニスコーチ、テニスプレーヤーは今一度、この事と向き合ってみるべきです。

私の今年の目標は「基本に戻る」です。
もう一度、「当たり前」と思っていた事に向き合ってみようと思います。

「こうだろう」と疑いもせず信じている常識が実はあなたの上達を阻害している事があるかもしれません。
今一度、常識と向き合ってみてください。

きっと、新しいヒントが見つかると思います。

本日のお話は以上です
いつも長文お読みいただきありがとうございます。

コメント

  1. 松岡克弥 より:

    フィーリングテニスの実践テキスト、ぜひ拝見したいです。
    宜しくお願いします。

    • wp_feel より:

      お問い合わせありがとうございます。
      大変申し訳ございません。
      現在準備中なので、今しばらくお待ちくださいね。

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