勝負所を抑えないと強くはなれない

メンタル
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今回のテーマは「勝負所」

まず、早速ですがこのデータをご覧ください。

【ファーストサーブの確率】
ジョコビッチ:59%
錦織:58%

【サービスエース】
ジョコビッチ:13
錦織:5

【ダブルフォールト】
ジョコビッチ:4
錦織:4

【ウィナー】
ジョコビッチ:38
錦織:37

【アンフォースドエラー】
ジョコビッチ:35
錦織:34

【ブレークポイントウォン】
ジョコビッチ:4/13
錦織:5/7

【ネットポイントウォン】
ジョコビッチ:10/16
錦織:7/12

これは錦織選手のベストマッチの一つ。
2014年の全米オープン準決勝での対戦の物です。

試合のスコアは6-4, 1-6, 7-6(4), 6-3
スコアからは錦織選手がかなり優勢で進んだことがわかります。

実際その模様を生で見ていても確実に錦織選手が攻め込んでいました。
このスコアは妥当な数字でしょう。

ですが、試合全体のサマリーをみると実はこのような数字なのです。
少し不思議な気がしませんか?

数字だけをみると互角。
エースの数にいたっては錦織選手の倍以上の数をジョコビッチが稼いでいるのです。

ですが、実はひとつだけ錦織選手がジョコビッチよりも優れている数字があります。
それはブレークポイントウォン。

ジョコビッチが4/13に対し、錦織選手が5/7
実はこの数字がここには現れない現実を表しています。

その現実とは何か?
それは、必要なポイント(勝負所)をしっかりと抑えたということです。

オセロゲームでもありますよね。
抑えておかなければならない場所が。

オセロゲームの勝負は一つ一つのコマの数で決まります。
ですが、同じ一つでも価値が違う一つがあります。

それは勝負ところで絶対に抑えておかなければならない場所です。

実はテニスもこれと同じようなところがあります。
1ポイント、1ポイントの積み重ねでテニスの試合は勝敗が決します。

ですが、やはり大事なポイントがあります。
ブレークポイントはその最たる物です。

この試合、錦織選手はブレークポイントは7回、その内の5回を奪取。
対してジョコビッチは13回ありながら、取れたのは4回。

この差が非常に大きいんです。
実はこのデータには現れていない大事なポイントも錦織選手はしっかりと取れていたんですね。

その為にサマリーではそれほど差がないのに実際のスコアは3-1で勝利したというわけです。

さて、このデータから学ぶべきことは何か?
試合に勝つには何が大切か?

それは「ここぞと言うポイントを取る」事です。
逆に言えば、「全部のポイントを取る必要はない」ということでもあります。

試合に勝てないプレーヤーはこの違いに気づいていない方が非常に多いです。
とにかく、「良いプレーをして、取れるポイントを取る」
こう考えているのかもしれません。

でも、残念ながら、これでは勝てるとは限らないんです。
実際、この時のジョコビッチがそうでした。

例えば、ブレークポイント。
どちらのプレーヤーも絶対に欲しいポイントです。

そのポイントがどちらに転ぶのか?
その差が大きく影響します。

では、その差はどこから生まれてくるか?
それはそのポイントでどれだけ高いパフォーマンスを発揮できるか?

これが鍵になります。
つまり、欲しいポイントでこそ、集中力を上げる事ができるか?

これが試合では非常に大きい差になると言う事です。

考えれば当たり前の事です。
誰でも欲しい時にしっかり取れれば勝てます。

ですが、これは口で言うほど簡単ではありません。

というより、「取りたい」と願えば、願うほど力みやプレッシャーでパフォーマンスが下がる。
こうなる事が多いのではないでしょうか。

実はこれこそが普段の練習で取り組んでおくべき課題です。

私はよく1000回ラリーのような、数を数える課題を出します。
ところが、数を数えないでとにかく「できるところまで頑張る」方がいます。
または「数を数えるのは相手任せの人」がいます。

実は残念ながら、この人は数を数える意味がわかっていないんですね。
「数をクリアするという目標」が明確だからこそ、プレッシャーを感じるわけです。

これは「絶対欲しいポイントを取る」と「とにかく全部のポイントを取る」
との同じ感覚の違いです。

「ここぞでポイントが取れる」ようになるのは、まず、「ここぞ」を意識する必要があります。

そして、次に「ここぞ」だからこそ「ここぞ」に囚われず、ボールに集中する練習をする必要があります。
つまり、まずは1000回を意識する必要があります。
そして、1000回だからこそ数を忘れてボールに集中する練習をする。

これが「ここぞでポイントが取れる」プレーヤーになるために必要な事なんですね。

勝負ところで「緊張する」「プレッシャーを感じる」
これは当たり前の事です。

誰もが緊張し、プレッシャーを感じます。
才能や素質でプレッシャーに強くなるわけではありません。

「ここぞ」で取れる為の練習を繰り返すか?
それとも、知らないでただ、がんばって練習するか?

それが違いを作っていきます。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

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