フェデラーのフォアハンドのテークバック

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2018年の全豪オープンも決勝へ進出したフェデラー。
この試合は2018年のシーズンを占う意味でも非常に大切な試合です。
今年、37歳になるフェデラーですが、肉体の衰えがパフォーマンスにどう影響するか?
これからのフェデラーは間違いなく、自分の肉体との戦いになる事は間違いがありません。

体力が描く下降線とは逆にテニスのパフォーマンスは上昇カーブを描く必要があります。
一般的にはそれは矛盾している事で実現できるとは思えない現象です。
ですが、フェデラーは今、その矛盾している状態を体現しています。

今大会においてもいまだセットすら落とさず決勝へ進出しています。
決勝の相手はチリッチですが、よほどの事が無い限り、フェデラーが勝利するように思えて仕方がありません。
チリッチのサーブの調子が上がらなければ、ストレート勝ちという事も起こるのではないでしょうか。

さて、今日はそのフェデラーのフォアハンドのテークバックについてお話ししたいと思います。
彼のテニスを支えている非常に攻撃力が高いショットです。
彼が年齢に関係なく、強くなり続けているのもこのショットによるところは非常に大きいです。

さて、そのフェデラーのフォアハンドですが、大きな特徴が二つあります。
一つはインパクトでしっかりと伸びたストレートアームでヒットする打点。
そして、もう一つはテークバックでの腕とラケットの使い方です。

実はこの二つの特徴はリンクされています。
ストレートアームで打点を最高に前でヒットするにはこのようなテークバックが必要であり、また、このようなテークバックをする事で打点を前に捕る事ができると言う意味です。

では、フェデラーとジョコビッチの画像を見比べてみましょう。

流石に二人とも非常にバランスが良いテークバックをしており、一見すると良く似ています。
ですが、実はこの両者は全く違う身体の使い方をしています。

注目してほしい部分に円を書き記しました。
その二つの円の中を見比べてみてください。

フェデラーのラケットヘッドは自分の胸側を向いています。
それに対して、ジョコビッチは肩の延長を向いているのがわかると思います。

この違いは腕の使い方によって生まれてきます。
(グリップが影響している事も関係していますが、腕の使い方が違う事でグリップに影響を与えていると考えたほうが良さそうです。)
フェデラーの腕は回外されておらず、肘の角度も少し曲がった状態が維持されています。

それに対して、ジョコビッチの場合はこの時点で既に少し腕が回外されています。
その為に、肘は伸びて、そして、掌も下向きではなく、地面に垂直に近くなっています。
フェデラーはこの時点ではまだ、手のひらが地面を向いています。

こちらの画像を見てもらうと腕の使い方が違うのがもっと良く分かります。

さて、このように一見よく似ていますが、全く違う身体の使い方をしている両者ですが、この違いは実は打点に大きな影響を与えます。

ご覧のようにフェデラーの打点は腕が完全に伸びきった状態。
それに対して、ジョコビッチは少し腕が曲がった状態。
ここに大きな差ができます。

冒頭でお話ししたようにフェデラーが年齢に反して、今だボールの威力が衰えない、それどころか、逆に伸びが増している理由はこのような身体の使い方にあるのではないかと推測しています。

ちなみに、テークバックからインパクトのスイングに向かって行く動きのポイントは胸骨と肩甲骨にあるようです。
それはまたの機会に紹介したいと思います。

本日のお話は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

コメント

  1. てらけん より:

    こんにちは。

    チョンヒョンはテイクバックで腕を後方に伸ばしているのでジョコビッチに近いと思いますが、打点ではフェデラーのように腕が伸びてるようにも見えます。ダブルベントなのでしょうか、それとも複合的なのでしょうか??

    • wp_feel より:

      こんにちは。
      チョン・ヒヨンはストレートアームのフォアハンドを身につけていますね。テークバックの時のラケットヘッドの位置がフェデラーに比べると後ろにセットされますが、腕や身体の使い方はジョコビッチのようなダブルベントではなく、ストレートアームの使い方をしています。
      チョン・ヒヨンのフォアハンドの解説をしてみましたので、良かったら参考にしてみてください。

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