体幹と末端の役割の違い

テクニック解説
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今回のテーマは「体幹と末端の役割の違い」です。

誰でもやはり力強いボールには憧れると思います。
できれば、少しでも「威力のあるボールを打ちたい」
こんな風に思うのではないでしょうか。

では、どうすればボールの威力を上げる事ができるか?
それには、自分の体を上手く使う必要があります。

「ボールを打つ」とは「無」から「有」を作り出す事です。
なぜなら何のエネルギーも持っていないボールに、体が作ったエネルギーを伝えてボールを動かしてやる必要があるからです。

と考えると、実は威力のあるボールを打つ為には二つのポイントがあります。

一つはエネルギーの作り方。
そしてもう一つはそのエネルギーの伝え方です。

この二つが高いレベルで実践された時、ボールの威力は増すというわけです。
逆に言えば、ボールの威力が無い人はこの二つに問題があると言う事でもあります。

では、この二つを少し整理してみましょう。

まず、エネルギーの作り方についてです。

私達の体は体幹に近いほうが大きなエネルギーを作ることができます。
逆に末端に近づくにつれ、エネルギーは小さくなります。

体幹⇒肩⇒肘⇒手首とエネルギーは小さくなると言うことです。

つまり、「力は体で作る」これが一番効率が良いのです。
手首や肘は本来、力を出す部分ではないんですね。

手首や肘は体幹が作ったエネルギーを伝える役割と考えるべきです。
ところが、ボールの威力が出てこないプレーヤーはこの役割が逆になっている事が非常に多いです。

体幹を使わず、手首や肘などの腕を使ってしまいがち。
これではまず、エネルギーを作り出すことができないという問題が起こります。

また、腕を使う弊害はもうひとつあります。
それは末端に近い部分を使えば使うほどラケットの面が狂うという弊害です。

一番わかり易いのは手首です。
手首を動かすことは非常に簡単です。

ところが、力は出ない上に動くとラケットの面も一緒に動いてしまいます。
つまり、面の安定性が悪くなると言うことです。

これでは、力の無いボールが不安定に飛んでいくという最悪の状態になってしまいます。

ただ、こうなってしまうにはその理由もあるんです。
それは末端に行けば行くほど、意識性が高く、融通が効きやすいという特徴があるからです。

わかり易いのは手の指です。
とても繊細に動かすことが出来ますよね。

これは自由度が高く、また意識性が高いために操作性も高いからです。
ただ、その代わりに指の力はたかがしれています。

これが末端に近づく特徴です。

これに対し、体幹は大きなエネルギーを生み出す代わりに意識性が低く、なかなか融通が効きません。

その為に、体幹を上手くコントロールする事はそれなりにトレーニングが必要な事で容易とは言えません。

ここが安定して威力のあるボールを打つ事が簡単ではない理由です。
逆に言えば、体幹の操作性が高くなるだけの意識性をトレーニングすれば、ボールの威力を上げる事は可能だと言う事でもあるんです。

ですから、ボールの威力を上げるには「体幹をしっかりと動かす」
ここが大きなポイントになります。

次にエネルギーの伝え方について。
先程も言ったように末端に近づくにつれて作り出すエネルギーは小さくなります。

ですから、これらの部分はエネルギーを生み出すのではなく「伝える」事が役割です。
簡単に言えば、腕は「振る」のではなく、「振られる」という状態が良いと言うこと。

体幹がエネルギーを作り、そのエネルギーを腕が伝える。
その為に、腕は体幹の動きに従い、「振られる」状態だと言うことです。

大切な事は腕に必要以上に仕事をさせない。
「従わせる」事が重要だと言うことです。

ところが、これが実は簡単な事ではありません。
なぜなら、先程も言ったように体幹に比べて腕の意識性は高いからです。

ですから、ついつい腕が必要以上に仕事をしてしまうという事が起こるのです。
実はここが中級レベルと上級レベルの差と言えるかもしれません。

上級レベルになるには体全体の協調性が非常に重要。
でも中級レベルなら腕の使い方がある程度、安定すればプレーする事ができます。

ただ、腕に仕事をさせているので、それ以上の威力を出そうとすると、急激にスイングが不安定になり、ボールをコントロールできません。

それが中級から上級への壁と言えるでしょう。

つまり、中級レベルから上級レベルにレベルアップするには体幹の使い方を習得することは必須条件と言うわけです。

まずはこの事を理解して欲しいと思います。
また、曖昧でも体幹の動きのイメージを持って欲しいと思います。

人間の体はイメージがコントロールします。
ですから、間違ったイメージを持つ事はそのまま、間違った動きを実践することになります。

今日のお話はそうならない為の一番ベースの部分です。

「体幹を動かし、腕はその動きに従う」
まずはこんな状態をイメージしてください。

そうする事で体幹の意識性が高まるきっかけを作ることができます。
威力のあるボールを安定して打てるようになる為には、まず、これが入口になります。

間違っても腕のスイングスピードを上げるイメージは持たないでくださいね。
このイメージでは上級レベルへの壁をより大きな物にしてしまいます。

くれぐれもご注意を。

さて、本日のお話は以上です。

いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。
お役に立てれば幸いです。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

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