サーブの打ち方

サーブ
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今回はサーブの打ち方についてお話してみたいと思います。
サーブはコントロールしなければいけないエリアが他のショットに比べると非常に狭く、高いコントロール力を求められるショットです。
それでいて、同時に攻撃力も求められる為に、全身の筋肉を連動させる打ち方を身につける事も重要になります。
つまり、他のショット以上に精度や再現性とパワー、スピードを求められるショットだという事です。

その為には、筋力に頼るのではなく、全身を効率よく動かす事がとても重要になります。
筋力に頼った打ち方では、筋力の低下によって、再現性を失います。
また、筋力に頼る事で怪我や故障の原因にもなります。

それに対し、全身を効率よく使う事ができると特定の筋力が発揮するエネルギーよりも大きなエネルギーを発揮する事ができます。
さらに、筋力に頼る事がないので、筋力の低下を最小限に防ぎ、再現性を高める事ができます。

実際にサーブを武器にするトッププロの打ち方には無駄な力みが無く、ある意味、力強さを感じません。
ところが、実際のインパクトやまた、打ち出されるボールは凄まじい威力で相手コートに突き刺さります。
この事からも筋力や腕力に頼って打っていない事は一目瞭然です。
逆にサーブが得意でないプレーヤーの打ち方からは力みが見られます。

このようにレベルの高いサーブを身につけるには筋力、腕力に頼らない全身を効率よく連動させる打ち方を身につける事がとても重要になります。
ただ、実際にはアマチュアプレーヤーがトッププロと同じレベルの打ち方を身につける事は難しいかもしれません。

ですが、アマチュアプレーヤーであっても、特定の筋肉や筋力に頼って打つのではなく、全身を連動させる打ち方を身につける事は確実にサーブのレベルアップに繋がります。

基本的なサーブの打ち方

基本的なサーブの動きで最も重要な事は全身を連動させる事です。
私達の身体は約200個の骨と、約600個の筋肉で出来ています。
これらの骨と筋肉は全て連動して存在しています。
バラバラで存在しているわけではありません。
例えば、たった一歩足を踏み出す為には約200個の筋肉を動かしていると言います。
これを考えるとサーブでは全ての筋肉を連動させる事が必要である事は容易に理解できると思います。
ただ、だからと言って、全身の骨、筋肉を連動させる為にそれぞれを意識して動かす必要はありません。
そんな事は不可能です。
私達の身体はとてもシステマティックにできています。
その為に、意識しなくても、自動的コントールできる能力を持っています。
ですから、重要なポイントを抑えるだけで、全身を連動させて打つ事が可能になるのです。

下半身の使い方

サーブにおいて、下半身の使い方はとても重要です。
理由は上半身よりも下半身のほうがより大きなエネルギーを生み出す事が出来るからです。
腕を使ったパンチよりも足を使った蹴りのほうがより大きなエネルギーを持っているのは容易に想像できると思います。
サーブでは下半身のエネルギーを上半身、上肢、ラケットと無駄なく伝えて行く事が最も大切なポイントになります。
その為には地面との摩擦のエネルギーを活用する事が重要です。
全身のバランスが取れた状態で地面にしっかりと立ち、地面との摩擦がもっとも大きな状態でスイングします。
これが下半身のエネルギーを上半身に伝える絶対条件です。
例えば、ツルツル滑る氷の上で全身を使ったスイングが出来るでしょうか?
これは非常に難しい事が分かると思います。
地面との摩擦が少ないために、身体はバランスを保つ為に、筋肉を使ってしまうからです。
地面との摩擦が十分であれば、下半身のエネルギーを上半身へと伝える事ができます。

股関節の動き

股関節は球関節と言って、関節に骨頭がはまりこんでいる作りになっています。
この関節の特徴は可動域が広く、更に大きなエネルギーを生み出す事です。
その為に、股関節の使い方次第でエネルギーの大きさが決まると言っても良いほどです。
股関節には「屈曲」「伸展」「外転」「内転」「外旋」「内旋」の6つの動きがありますが、サーブの打ち方で重要なのが「外旋」と「内旋」の動きです。
右利きプレーヤーの場合、テークバックで左足を内旋、右足を外旋させて、股関節に捻りを作ります。
インパクトに向かって、この捻りを解放し、左足を外旋、右足を内旋させます。

膝の使い方

膝の動きは股関節の捻り動作を大きく連動しています。
膝を曲げないで股関節の外旋、内旋動作をすると股関節がとても緊張しますが、膝の曲げ伸ばしと股関節の外旋、内旋動作を連動させると股関節が緊張せず、とても自然な動きが出来ます。
膝を曲げて、上に飛び上がるエネルギーをボールに伝えると言うイメージを持っている人がいるかもしれませんが、あまり、おすすめしません。
それだと、ふくらはぎ、太ももの筋肉に頼ってスイングになるので、実際にはサーブに効果を出す事はありません。
アマチュアの場合は特にそうだと思います。
それよりも、より、自然に股関節の捻り動作を行うために膝を使う方がお勧めです。

体重移動

体重は身体がエネルギーを作り出す為には非常に大切な要素です。
重さのある物質が移動すると位置エネルギーが発生します。
この位置エネルギーはボールを飛ばす為のエネルギーになります。
おすすめの方法はレディポジションで左足に荷重し、テークバックで右足に荷重、そして、インパクトに向かって、左足に荷重する方法です。
振り子のように自然な体重移動ができると、より大きなエネルギーをボールに伝える事ができます。

体幹部の使い方

体幹部には大きく二つの役割があります。
一つは下半身で作り出したエネルギーを無駄なく、肩、上肢、ラケットに伝える事です。
そして、もう一つは下半身から伝えられたエネルギーを増幅させる事です。
体幹部の使い方が悪いとせっかく下半身が作ったエネルギーと体幹部で作ったエネルギーが干渉しあって、ロスを生みだします。
そんな状態にならないように下半身から伝えられたエネルギーを活かしながら、より大きなエネルギーに増幅するような使い方をする事がとても重要です。
それぞれの動きが正しくても、連動していなければ、大きなエネルギーにはならないのです。
その為には下半身と体幹部が連動して動く事が大きなポイントになります。

胸椎

私達の背骨は尾骨、仙骨、腰椎(5個)、胸椎(12個)、頸椎(7個)から出来ています。
この中で最も重要なのが12個の胸椎です。
体幹部は捻る事でエネルギーを生み出す必要がありますが、この捻りに必要なのが胸椎です。
背骨の中では比較的可動域が広い胸椎は捻る動作が可能です。
ですが、腰椎はそもそも捻る為の骨ではないので、可動域が狭く、捻り動作に使うべきではありません。
背骨の周りの筋肉をリラックスさせて、胸椎を動かして、体幹部を捻ります。
この捻り戻しの動きによって生まれるエネルギーを上肢、ラケットへと伝えていきます。

肋骨

胸椎を捻って、エネルギーを生み出そうとした時にポイントになるのが肋骨です。
肋骨は胸部を鳥かごのように覆っている骨ですが、この肋骨が固まっていると胸椎の捻り動作の邪魔をする事になります。
肋骨の周りにも筋肉がついています。
この筋肉が固まった状態では肋骨も固まってしまい、胸椎を捻る事ができません。
ですから体幹部を捻る時には肋骨周りの筋肉もリラックスさせて、肋骨が自由に動く状態にしてやる必要があります。

腹筋の使い方

先ほどもお話ししたように体幹部は下半身から伝えられたエネルギーを増幅し、上肢、ラケットに伝える事が重要です。
その為には体幹部と下半身は干渉しないように連動して動かす事が必要になります。
腹筋はその為に非常に重要な部分です。
いくら、胸椎を動かし、捻る事でエネルギーを生み出しても、腹筋が緊張してしまうと下半身のエネルギーを遮断し、体幹部のエネルギーと下半身のエネルギーとをバラバラに使う事になります。
そうならない為には腹筋をリラックスさせた状態で胸椎を捻るようにします。
エネルギーの伝達は波が伝わるようなイメージを持つと分かりやすいかもしれません。
水は自由に動ける状態なので、波としてエネルギーを伝える事ができます。
人の身体の筋肉も同じようにリラックスしている状態で動かす事ができると、干渉しあう事なく、エネルギーを増幅する事ができます。
その為には腹筋をリラックスさせる事はとても重要です。

肩の使い方

肩は球関節と呼ばれる関節でできており、可動域が広いのが特徴です。
また、上腕骨の骨頭は肩甲骨のくぼみに収まっています。
一般的に「肩を使う(動かす)」とよく言われますが、肩の構造上、この表現は適切ではなく、本来は「肩甲骨を使う(動かす)」と言うほうが、より現実に近くなります。
肩甲骨を動かす事で上腕骨を動かす事ができるからです。
逆に言えば、「肩甲骨が動かなければ、上腕骨を動かす事ができない」と言う事になります。
その為に、肩甲骨まわりの筋肉をリラックスさせて、自由に動く状態でボールをヒットする事はとても重要な事です。
肩甲骨周りの筋肉が緊張したり、固まっている状態では、腕を本来の動きとして使う事ができません。
肩甲骨は人の身体の中で唯一、他の骨とは繋がっていない骨です。
つまり、浮いたような状態で筋肉だけで繋がっているのです。
その為、肩甲骨周りの筋肉がリラックスしていれば、非常に自由に動き、尚且つ大きなエネルギーを生み出す事ができます。
このエネルギーを上手く使う事がサーブの動きでは非常に重要になります。

肩甲骨と胸骨との関係

肩甲骨は本来非常に自由度が高くまた、動きが大きい分だけ大きなエネルギーを生み出す事ができる部位です。
ですが、この肩甲骨は単体で動くわけではなく、胸骨と連動して動くようにできています。
胸骨が後ろに下がると肩甲骨は前にスライドします。(肩甲骨が遠くに開く)
逆に胸骨が前に出ると肩甲骨は後ろにスライドします。(肩甲骨が近くによる)
スイングのエネルギーをより大きくするには末端ではなく、できるだけ中心から動き始める事がとても重要です。
その為に、よりレベルの高いスイングをする為には肩甲骨は肩甲骨単体で動かそうとするのではなく、胸骨の前後運動と連動させる事が必要になります。
つまり
テークバック=胸骨が後ろ
インパクト=胸骨が前
フォロースイング=胸骨が後ろ
このような使い方をする事で胸骨と肩甲骨が連動した動きになります。

腕の使い方

実際にラケットは手で持つ為に、どうしても手や腕でラケットを振るイメージが湧きがちです。
ですが、末端である手や腕で作り出すエネルギーは大して大きくはありません。
また、末端で作ったエネルギーはボールからの反作用を受ける為に、強く当たれば当たるほど、衝撃が大きくなり、故障の原因にもなります。
その為に、腕はできるだけエネルギーを生み出すイメージを持たないで、下半身~上半身~肩と伝わってきたエネルギーをただ、伝えるだけにします。
こうする事でエネルギーが鑑賞する事無く逆に、エネルギーを増幅させるができます。

腕と胸骨との関係

肩甲骨の部分でもお話ししましたが、胸骨と肩甲骨は連動しています。
また、同時に肩甲骨は上腕骨と繋がっています。
つまり、本来は胸骨と腕は連動して動くものです。
サーブのスイングではテークバック~インパクト~フォロースイングの間、腕は外旋、内旋、また、回外、回内運動をする必要があります。
いわゆるプロネーションと呼ばれる動きです。
この動きは胸骨の前後運動と連動して行う事がポイントになります。
腕を肩の高さで大きく開いてみてください。
そして、胸骨を前に出してみます。
この時、肩甲骨は真ん中に寄るように動き、掌は空を向くのが自然な動きです。
今度は逆に胸骨を後ろに下げてみましょう。
この時、肩甲骨は外に広がり、手のひらが地面を向くのが分かると思います。
これが胸骨と腕の関係です。
この動きを使い、サーブのスイングをする事で腕と胸骨を連動させてスイングする事ができます。

プロネーションと鎖骨の関係

先ほど、プロネーションには胸骨の前後動作と連動させる事が必要だとお話ししましたが、腕の使い方にはもう一つポイントになる骨があります。
それは鎖骨です。
鎖骨は肩甲骨と胸骨を連結している骨です。
つまり、肩甲骨を自由に動かす為には鎖骨周りの筋肉が柔らかい状態である必要があります。
鎖骨周りの筋肉が硬くなっているとプロネーションの動きに制限がかかり、強さとしなやかさが生まれません。
また、肩の故障の原因にもなります。
胸周りの筋肉を鍛えると硬くなり、鎖骨の動きが悪くなっているケースがあるので注意が必要です。

種類別のサーブの打ち方

サーブには大きく分けると「フラットサーブ」「スライスサーブ」「スピンサーブ」の3つの種類があります。
この3つの種類はボールの回転によって決まります。

フラットサーブは基本的にはボールに回転がかかっていないサーブの事を言いますが、実際には完全に回転が無いわけではありません。
意図的に横回転や縦回転をかけていない、回転がとても少ないサーブと考えると良いと思います。
スイングのエネルギーが回転に使われない分、ボールのスピードが最も速い、スピード効率の良いサーブでもあります。

スライスサーブはボールに横回転がかかっているサーブの事を言います。
バウンド後、高く弾むのではなく、横にキレていくのが最大の特徴です。
野球のピッチャーで言えばスライダーのようなサーブと考えても良いでしょう。
ボールに横回転をかける為にスピードと回転のバランスがとりやすく安定性と攻撃力を兼ね備えたサーブでもあります。
特にワイドへのスライスサーブは低く、外に逃げて行くので、とても有効なサーブです。

スピンサーブはボールに縦の回転がかかっているサーブを言います。
スピンサーブは縦回転によってバウンド後、高く弾む事が一番の特徴です。
また、スライスサーブとは反対の方向に弾ませる事もできるのでアドコートでは相手のバックハンドの高い位置を狙って打つととても有効なサーブです。
スピンサーブはかなりの回転の量を必要とするので、フラットサーブ比べるとスピード効率と言う点は非常に悪く、ボールの速度自体は遅くなります。
ただ、速度は遅くてもキレの良いスピンサーブは大きく変化するのが返球するのは難しいサーブでもあります。
また、ネットの高くを通過しても急激に落ちるので、フォルトの心配がなく、セカンドサーブにとても適したサーブでもあります。

フラットサーブの打ち方

フラットサーブの最大の特徴は回転数が少なく、スピード効率が良い事です。
スイングのエネルギーをできるだけ回転に変えないで、そのまま、ボールの推進力として使います。
その為には、インパクトでラケットがボールの真後ろを捕える事が必要になります。

ボールの真後ろを捕える事ができるとラケットの動きのエネルギーがそのままボールに伝わり、回転の量を極力抑える事ができます。
インパクトでボールの横や上、または下を捕えるとボールとラケットには大きな摩擦が生まれ、それが回転を生み出す原因になります。

フラットサーブのボールのイメージ

まず、フラットサーブのボールの弾道イメージを明確にします。
フラットサーブはボールに回転がかからず、そのまま、直線的に狙った位置に飛んで行きます。
ただし、直線的と言うのはあくまでも、左右に曲がらないと言うだけであって、実際には重力の影響を受ける事で地面に向かって落下しながら飛んで行きます。

速いフラットサーブを打とうとするとどうしても、重力の影響を受けないような直線的な弾道イメージを持ちがちですが、それは間違いです。
どんなに速いフラットサーブと言えども、必ず、重力の影響を受けます。
その為に、弾道イメージを湧かす時には地面に向かって落ちるような放物線の要素が必要です。

その事を考えるとネットの上を通過する時にある程度高い所を通っても十分にサービスエリアにコントロールする事が可能です。
ラケットフェース一つ分(横)の高さを通して、コントロールするのが良いでしょう。

フラットサーブのグリップ

フラットサーブを打つ為にはインパクトでボールの真後ろを捕える事が必要です。
その為に、最も簡単なグリップは厚いグリップです。
セミウエスタングリップぐらいで持つとただ、腕を前に振るだけで、自然とボールの真後ろを捕える事ができます。
ところ、このグリップはフラットに捕える事は簡単ですが、大きなエネルギーを生み出す事はできません。
体幹の動きや腕のプロネーションなどが使えないからです。

逆に体幹や腕の可動域を最大限に使ったスイングをするとインパクト~インパクト直後で手のひらが外側を向くようになります。
この時にセミウエスタングリップで握っているとラケット面はボールの左側に当たる事になり、リバース回転のボールが生まれる事になります。
その為に、この場合はコンチネンタルグリップ(右利きの場合、親指と人差し指の付け根に出来るV字がグリップの左側に来るようなグリップ)の方が適している事になります。

ただ、ボールの真後ろを捕える為のインパクトはそのプレーヤーが「どれぐらいの身体の動き(体幹の捻り戻しや腕の内旋、回内運動)が出来るのか?」によって大きく変わります。
全身をしっかりと使い、腕の内旋、回内運動ができるのであれば、コンチネンタルに近くなり、逆に可動域がそれほど大きくないのであれば、セミウエスタンに近いグリップの方が簡単に打つ事ができます。

フラットサーブのトスと打点

「ボールのどの位置を捕えるか?」はトスと打点の位置によって大きく変わります。
身体よりも外に出ると横を捕えやすくなり、身体の中に入るとボールの下が捕らえやすくなります。
フラットサーブは出来るだけ、ボールの真後ろを捕える事が重要になるので、その頃合いを探します。

全ての人に当てはまるわけではありませんが、一つの目安としては少し高めに万歳をした右腕の延長あたりの少しネットよりの位置です。
理由は体幹の捻り戻しによって、腕が振られるとこのあたりを自然と通るからです。
フラットサーブは他のサーブに比べると直線的に飛ばす必要があるので、打点が身体の真上では狙った高さよりも高く飛び出す事になります。
その為に、少しネット寄りでヒットするようにします。

フラットサーブのスイング

フラットサーブのスイング自体は「基本的なサーブの打ち方」で説明した通りです。
特に変える必要はありません。
ただ、コンチネンタルグリップで握って打つ場合には「体幹の捻り戻し~腕の回内」までがしっかりと使われる必要があります。
最後まで使いきれずにインパクトしてしまうと、ラケット面がボールの真後ろではなく、ボールの横を捕える事になります。

このような場合には二つの原因が考えられます。
一つは身体は上手く動かせているが、インパクトまでの時間が足りない為に、上手く真後ろを捕える事が出来ないケース。
そして、もう一つは身体の可動域が使いきれていない為に、ラケット面がボールの横を捕えるケース。

前者はトスの高さの調整が課題になります。
そして、後者はグリップの調整が課題になります。
同じような問題でもその原因は大きく異なります。

スライスサーブの打ち方

スライスサーブの最も特徴的な事はボールに横回転がかかり、バウンド後、高く弾まず、横に逃げるように飛んで行く事です。
その為に、特にワイドにコントロールする事ができると相手のバランスを崩すだけではなく、場合によって、ノータッチのウィナーになります。
また、回転がかかっている分、ボールのコントロール性が上がり、確率を上げる事もできます。
つまり、安定性と攻撃力の両方をバランスよく保つ事ができるサーブでもあります。
逆に言えば、スライスサーブを練習する時はこの特徴を実現できるようなボールを練習する必要があると言う事でもあります。
その為に、まず、最も大切な事はボールにしっかりと横回転をかける事です。

スライスサーブのボールのイメージ

一口に「ボールに横回転をかける」と言っても、回転の質は様々です。
ボールの中心に近い部分にエネルギーを加えるほうがより効率よくエネルギーを加える事ができます。
逆にボールの表面に近い部分では効率が悪くなります。
つまり、中心に近い部分をヒットした方がボールには重さとキレ、スピードが生まれます。
それに対し、表面をヒットすると回転はかかるかもしれませんが、ロスが大きく、軽くて伸びの無いボールになります。
とは言う物の、中心に対して、横回転をかけるイメージは最初は掴みにくいので、スライスサーブの練習を始める時はまずは表面を横に切るようなイメージから始め、段々とイメージのレベルアップを図ると良いでしょう。

また、スライスサーブを効果的に使う為にはバウンド後、高く弾まず、横に逃げて行く事が大切です。
その為の弾道イメージを湧かすようにしましょう。
ボールが横に逃げる弾道にする為には、ラケット(スイングの軌道)とボールが離れて行く事が大きなポイントになります。
キレの良いスライスが打てない人は横にボールを打とうとしてラケットスイングが狙った方向に向かうという特徴があります。
これでは、ラケットがボールを追いかける事になり、ボールには回転がかかりません。
ボールの回転はスイングのエネルギーの向きと実際の打球方向とが違うからかかるのです。

スライストサーブのグリップ

スライスサーブはフラットサーブと違い、ボールの真後ろを捕え、前にエネルギーを加えてはいけません。
この状態はボールに回転がかからずに飛んで行ってしまいます。
スライスサーブは逆にボールの真後ろではなく、右横を捕える事が必要になります。
その為にはグリップはセミウエスタンではなく、コンチネンタルグリップの方が適しています。
コンチネンタルグリップであれば、腕を回内しなければ、自然とボールの右横に当たる面が出来るからです。
セミウエスタングリップであれば、逆に手首のあたりを回外しなければ、ボールの右横に当たる面ができません。
これは動作上、非常に無理があるので、再現性が著しく低下します。
セミウエスタンに近いグリップは手軽にフラットサーブを打つには適していますが、スライスサーブには適していません。
ボールにスライス回転をかける事はそれほど難しい事ではないので、「中々スライスサーブが上手く打てない・・・」と言う方はグリップに問題がある可能性が非常に高いです。

スライストサーブのトスと打点

スライスサーブを打つ為にはトスを身体の少し外側に上げると簡単です。
スイングが自然と右側に向かって振られる事になるからです。
ただし、外過ぎるところに上げるとワイドにボールをコントロールしにくくなり、スライスがかかっても正面に飛んで行ってしまいます。
その場合は身体の右外に上げるのではなく、少しネット寄りに上げるようにします。
そうすると自然とボールは左のワイドのコースに飛び始めるはずです。
スライスサーブではインパクトの瞬間にラケット面がボールの横を捕える事が必要になります。
その為にはフラットサーブと同じトス、打点では難しくなります。
腕の回内、内旋運動のタイミングを微妙に調整する必要があるからです。
もちろん、トスを変えると相手にはバレてしまう可能性が高まりますが、最初のうちはスライスサーブの感覚を身につけるほうを優先する方がよいでしょう。
感覚が掴めて来たら、だんだん、フラットサーブと同じトスで打てるように練習するとより、効果的なスライスサーブになります。

スライストサーブのスイング

キレの良い、スライスサーブを打つには打球方向とスイングの方向とが全く違う方向にする必要があります。
この二つの方向の違いがスライス回転を生み出すからです。
例えば、ボールの打球方向がジュースサイドの左の角を狙っているなら、ラケットスイングはセンター、またはそれ以上右の方向に向かってスイングされる必要があります。
この方向が違えば違うほど、ボールにはスライス回転が効果的にかかる事になります。
スライスサーブを打つからと言って、基本的な身体の使い方は「基本的なサーブの打ち方」で説明した内容と同じです。
ですが、ボールの打球方向とスイングの方向は大きく変わります。
フラットサーブは基本的にスイングの方向と近い方向に直線的に打球が飛んで行きます。
ですがスライスサーブの場合はスイングした方向とは全く違う方向にボールを飛ばす必要があります。
その為にはスタンスの向きや身体の向きを調整する事はとても重要なポイントです。

スピンサーブの打ち方

スピンサーブの最大の特徴はバウンド後、大きく上に弾む事です。
この為に相手は高い打点で打つ事になり、難易度の高いショットを打たされる事になります。
また、回転の方向によってはスライスと反対方向に弾ませる事もできます。
このような跳ね方をさせる事ができると相手のバックハンド側(右利きの場合)に逃げるように大きく高く弾ませる事になるので、より効果的なボールになります。
さらにスピンサーブはボールに縦回転がかかっているために、ネット上を高く通過しても、落下する角度が大きく、サービスエリアにインしやすくなります。
その為に、セカンドサーブにはとても適しているサーブでもあります。

スピンサーブのボールのイメージ

スピンサーブの最大の特徴である、急角度で落下し、大きく上に弾ませるようなボールを打つ為にはボールに縦の回転をかける必要があります。
また、同時にボールの弾道を直線的なイメージから放物線のイメージにする必要があります。
特に大切なのはインパクト直後、ボールがラケットから飛び出していく時の角度です。
フラットサーブやスライスサーブと全く違い、かなり上向きに飛び出していくイメージを描きます。
また、放物線の頂点をイメージする事も効果的です。
放物線には必ず頂点が存在します。
頂点が遠ければ、遠いほど、ボールの距離が長くなります。
逆に頂点の位置が手前になれば、距離は短くなります。
サービスエリアにインする為には頂点をどのあたりにすれば良いのか?そのイメージを持つようにします。
放物線の角度が大きく、頂点がコントロールされたサーブは相手コートで大きく高く弾むボールになります。

スピンサーブのグリップ

スピンサーブの為に必要な縦の回転をかけるにはセミウエスタングリップは適していません。
縦回転の為にはボールを時計盤に例えると6時のところから7時、または8時ぐらいの位置を捕える必要があります。
そして、その位置を上方に振り向く必要があります。
この動きをするにはセミウエスタングリップでは難しく、おすすめはコンチネンタルグリップです。
このグリップであればラケットヘッドを簡単に下に向ける事ができるので、先ほどの条件を満たすように振る事ができます。

スピンサーブのトスと打点

スピンサーブは少なからず、ボールの左下側(右利きの場合)を捕える必要があります。
下側を捕えることでボールに縦回転をかける事ができるからです。
その為にはトスは身体の左側に上げる事が必要になります。
右側に上がるとラケットヘッドが上がった状態になってしまうので、ボールの下側を捕える事が出来なくなるからです。
ところが、ボールが頭の上から若干左側に上げる事ができるとラケットヘッドが下に下がった状態でインパクトする事が可能になります。
ただし、あまりにも左側に上がると、スイングの動作自体に問題が起こり、強いエネルギーでインパクトする事ができなくなるので注意が必要です。
腕や手首がリラックスしていれば、頭の上あたりでも十分ラケットヘッドは下から使う事ができるので、トスは左に行きすぎないようにします。

スピンサーブのスイング

スピンサーブのスイングで最も注意する事がスイングエネルギーの向きです。
右側に大きく弾ませる為にはボールが飛び出す放物線のエネルギーを前ではなく、右斜め上に向ける必要があります。
放物線のエネルギーの向きが前向きで回転だけをかけても右側に弾むようなボールにはなりません。
ただ、前に向かって、弾むサーブになります。
右側に大きく弾ませる為には打球方向にスイングするのではなく、ベースラインと平行に近い方向にスイングするようにします。
こうする事でボールには横向きのエネルギーが加わる事になり、右側に弾ませる事ができます。
その為には基本的な打ち方は変わりませんが、肩の開きを少し遅らせる必要があります。
肩の開きを送らせ、ラケットをベースラインと平行に放り投げるようなイメージでスイングします。
こうする事でスイングのエネルギーの向きを前から横に変える事ができます。

よりレベルアップする為のサーブの打ち方

サーブはテニスの中で唯一、相手の影響を受ける事無く、自分だけで打てるショットです。
つまり、サーブのレベルアップは自分次第です。
練習すれば、それだけレベルアップする事ができます。
ぜひ、じっくりと取り組んでほしいと思います。

当然の事ですが、サーブで必要な要素は安定性と攻撃力です。
今の自分にとって、よりレベルアップする為に必要な物は安定性か?それとも攻撃力か?
まずは、自分の現状を客観的に把握する事がとても大切です。
できるだけ、直近の試合ですぐに効果が出るように練習のポイントを間違わないようにしなければいけません。
必要のない練習に時間をかけると結果が出るまでに時間がかかります。

ジュニア選手の場合は長期的な計画が必要になりますが、そうでない場合は限られた練習時間を有効に使う必要があります。
安定性は十分だがもっと攻撃力を高めたい場合は「スピードを上げるのか?」それとも「キレの良い回転を増やすのか?」それとも「厳しいコースに打ち分けるコントロールを磨くのか?」
安定性を高める為には「ボールのコントロールを磨くのか?」「スピードのコントロールを磨くのか?」「回転の量のコントロールを磨くのか?」
現状を客観的に把握できると、試合の結果に直結する練習ができます。

スピードを上げる為のサーブの打ち方

ボールのスピードを上げる為に最も重要な事は末端ではなく、中心のエネルギーの作り方、使い方を改善する事です。
私達の身体は中心から動き始めると非常に大きなエネルギーを作り出す事ができます。
ところが、末端で動き始めると大きなエネルギーを作る事はできません。

ボールに威力が出ない人は末端から動く打ち方でボールを打っている事が原因です。
まずはこの問題を改善しなければ、ボールスピードを上げる事はできません。
つまり、腕や手首の使い方を練習してもほとんど効果はないと言う事です。
それどころか、腕や手首でスピードをあげようとすると怪我や故障の原因になるのでおすすめしません。
腕や手首ではなく、体幹部を使うような練習をする事がおすすめです。

具体的には体幹部を捻って戻すような打ち方をします。
特に大きなポイントは胸郭の下(ウエストのあたり)をしっかりと捻って、その捻り戻しで身体が回転するように打ちます。
この部分がしっかりと動くようになると腕や手首は特に力を入れなくても、今までと比べ物にならない位のスピードが出ます。

身体の中心でエネルギーを作るには?

身体の中心でエネルギーを作る為には身体の捻り戻しの動作が必要です。
その為には体幹部の柔軟性が必要になります。
「体幹でボールを打つ」と言うと一般的には体幹部を鍛えて強くするイメージが持たれていますが、鍛える必要はありません。
それよりも必要なのは柔軟性と連動性です。
体幹部(腹筋、背筋、背骨周り)の緊張が解けて、緩むと背骨、胸郭の可動域が生まれます。
その為に、体幹部の捻り戻しの動きが大きくなり、結果的に大きなエネルギーを生み出します。
体幹部の柔軟性を高めるには背骨、胸郭を緩めるトレーニングが効果的です。
この部分は特別に緩めるトレーニングをしない限り、ほとんどの方が骨周りの筋肉が硬直し、可動域を失っています。
その為に、自分では捻っているつもりでも、実際にはほとんど、捻られる事はありません。
これは体幹部のトレーニングしている選手クラスのプレーヤーにも同じ事が言えます。
筋肉は鍛えられても、強くなっても、柔軟性を失っているために、しっかりと捻り戻しが使えないわけです。
体幹部を鍛えているにも関わらず「サーブのスピードが上がらない」と言う方はこのケースです。

背骨を緩めるトレーニング

背中を壁に向けて経ちます。
まず、尾骨だけを壁につけます。
そして、腰椎、胸椎、頸椎と順番に壁につけていきます。
ただし、壁には一つの骨だけが触れるようにします。
つまり、次の骨が壁に触れるとさっきの骨は逆に壁から離すようにします。
こうして、骨が波打つように、尾骨から頸椎までを順番に壁につけていきます。
頸椎まで行ったら、反対の動きをします。
このトレーニングのポイントは背骨を動かそうとするのではなく、背中で壁を感じる事です。
背骨を動かそうと意識しても最初は中々動かす事ができません。
ところが背中(背骨)で壁を感じるようにすると一つ一つの背骨を壁に当てる事ができます。
そうすると結果的に背骨が柔らかく動くようになります。

胸郭を緩めるトレーニング

胸郭を緩めるには胸骨の前後運動が効果的です。
胸郭の真ん中の一番下の部分にある胸骨に右手親指を当てます。
この指を感じながら、その部分を前に大きく移動させます。
そして、次に親指に押されるように後ろに移動させます。
この前後運動を繰り返します。
ポイントは背骨の場合と同様、指を感じて動かす事です。
胸骨を動かそうと意識しても、最初は中々動かす事ができません。

中心のエネルギーを末端に伝えるには?

背骨、胸郭が緩むようになると上半身を大きく捻る事が可能になります。
下半身と上半身の捻転差が大きくなるという事です。
この時、身体の中心は大きなエネルギーを作り出しています。
このエネルギーを末端に伝える事で筋力ではなく、動きのエネルギーでボールを打つ事ができます。
中心から作り出しているエネルギーなので、上手く末端に伝える事ができれば、サーブのスピードを急激に上げる事ができます。
その為には末端の動きが邪魔をしない事が大切です。
エネルギーは波のような物だとイメージすると良いです。
中心で出来た波が身体の中を通って、肩、腕、手首と伝わるイメージです。
新体操のリボンをイメージしても良いかもしれません。
手元で波立たせたリボンはだんだんと先のほうに波が移動します。
このようなイメージです。
中心で作られた波は身体の中を通って、段々増幅されながら、大きな波となって、最終的にはラケットへと伝わり、ボールをヒットします。
ただし、途中でこの波が遮られる事があります。
それは末端の筋力を無駄に使ってしまう場合です。
肩や腕、手首の筋力を使ってしまうとそのエネルギーと中心で作ったエネルギーが干渉しあって、波のエネルギーが遮断されます。
その結果、ボールは末端で打つ事になります。
つまり、手打ちになって、ボールのスピードを上げる事ができません。
肩、腕、手首は身体の中心からの波に従って使う事が重要になります。
その為には何もしないのが最も効果的です。
身体の反射運動に任せるのです。
本来、全身の筋肉や骨は全て連動しています。
その為に、自分で意識して動かさなくても、身体は自動的に動いてくれます。
肩、腕、手首はこの動きに任せる事で、中心で作られたエネルギーと干渉しあう事なく、増幅してボールを打つ事ができます。

初心者におすすめのサーブの打ち方

レベルの高いサーブを打つ為には全身を使って打つ事がとても大切ですが、初心者の時はあまりこだわる必要はないと思います。
と言うより、初心者の時に細かい事を意識してサーブを打つとかえって身体は上手く動かなくなります。

初心者と言う事は例えれば、生まれたばかりの赤ちゃんのような物です。
赤ちゃんがいきなり、正しい歩き方でスタスタ歩くのは異常です。
そんな事はありえません。

サーブも基本的には同じです。
経験値が増えるに従って、段々レベルの高い打ち方に移行していく方が最終的には良いサーブの打ち方を身につけます。
ですから、初心者の時はあまり細かい事は意識しないで練習する事をおすすめします。

とは言うものの、好い加減な打ち方をしていると段階を踏んで上達する事ができません。
ですから、ここでは、まず、最初の段階でお勧めする打ち方について紹介したいと思います。

ボールを投げる動作

初心者の時にまず、練習してほしい打ち方はボールを投げる動作です。
厳密に言うと、サーブの打ち方とボールを投げる動作は同じではありません。
特に下半身の使い方が違います。
ただ、上半身の使い方は非常に良く似ていますし、また、上半身の使い方を身につけるにはボールを投げる動作を使って練習する方が、効果的です。
その為にサーブの練習をする前に、ボールを投げる動作を繰り返してほしいと思います。
ポイントは腕や手でボールを投げるのではなく、身体の向きを変える事です。
身体を横に向けた状態から身体の向きを正面に向ける動作を必ず入れるようにしてください。
構えた時に身体が前を向いているとどうしても、腕だけが動く投げ方になります。
これは後々まで、悪い癖として残ってしまうので注意してほしいと思います。
身体の向きを変えてボールを投げる事を繰り返していると段々腕が身体に振られるような投げ方に変わっていきます。
初心者の時にはこの動きをしっかりと練習してほしいと思います。

初心者にお勧めのグリップ

サーブのグリップは出来るだけコンチネンタルグリップに近い方がお勧めです。
理由は汎用性が高いからです。
フラットサーブ、スライスサーブ、スピンサーブとコンチネンタルグリップであれば、同じグリップで打ち分ける事が出来るようになってきます。
ですが、初心者の時にはこのグリップにこだわる必要はありません。
最初はセミウエスタングリップぐらいから始めるのが良いでしょう。
セミウエスタングリップであれば、ハーフスイング程度の安定性を重視したスイングであっても、ボールを安定して捕らえる事ができます。
コンチネンタルグリップでボールをフラットに捕える為には、全身が協調してしっかりと動く必要があります。
初心者の時からその動きを求める事はかえって、上達を阻害します。
まずは無理なくフラットでボールを捕らえ、ボールを安定してサービスエリアに入れる事が初心者の方がまず、最初に身につける事です。
それにはセミウエスタングリップあたりで持つのが良いと思います。

トスにこだわり過ぎない

サーブの良し悪しのほとんどがトスで決まります。
トスが良ければ、無理なく、全身を使ってボールを打つ事ができます。
それでいて、ボールのコントロールは安定します。
逆にトスが悪ければ、ボールを上手くヒットする事はできません。
つまり、サーブはトス次第で全てが決まると言っても良いのです。
ですが、初心者のうちはトスにあまりこだわってはいけません。
良いトスを上げる事に意識が集中しすぎると身体は固まり、スムーズな動きを失います。
初心者の時に身につける事は将来、無理なく全身を使ってボールを打つ打ち方です。
その為には細かい事を練習するよりも身体がスムーズに動く事の方が大切です。
ボールを投げる動作をしっかりと練習してれば、上半身、腕の使い方は何となくでも、分かっていると思います。
あとは、自分でトスを上げて、そのような動きでボールを打つ事です。
まずは、ここから始めます。
その為にトスにはこだわらず多少、打ちにくい場所に上がって、乱れても、気にせず、ボールを良く観て打つようにします。
トスは気にすれば、気にするほど、乱れます。
気にせず、体験を繰り返していると段々と打ちやすい場所に安定して上がるようになっていきます。
逆に初心者の時にトスにこだわりすぎるとトスの動作でイップスになる可能性もあります。
トスにはこだわらないように練習をしてください。

安定させるサーブの打ち方

ここではサーブを安定させるための打ち方についてお話ししたいと思います。
サーブを安定させるには同じ動きを繰り返す事が必要です。
毎回、打つたびに動きが変わってしまっては当然、ボールの結果も変わります。
同じボールを打つ為にはやはり、動き自体も出来るだけ、同じように動く必要があります。
つまり、ボールを安定させる為には身体の動きの再現性が必要になるわけです。

ところが、身体は「同じように動かそう」と意識しても、簡単に同じように動いてくれるわけではありません。
逆に動きを変えないように意識すれば、するほど、身体の動きは微妙に変化します。
例えば、「さっきと同じように打とう」と意識すればするほど「ボールは乱れる」
あなたもこんな経験をした事があると思います。

意識だけでは、身体の動きの再現性を高める事はできません。
身体の構造の原理原則に従って、全身が連動し、動いた時に身体は自動的に同じ動きをしてくれます。
逆に言えば、身体の原理原則から外れた場合はいくら、頭で意識しても身体の動きには再現性が無くなります。
つまり、安定したサーブを打つ事はできないという事です。

末端ではなく、中心でスイングする

安定したサーブの打ち方のために、最も大切な事は末端ではなく、中心でスイングするという事です。
末端である腕や手首、またはラケットなどの動きが大きくなればなるほど、ラケット面の動きも大きくなり、再現性を失います。
逆にラケット自体の動きが無くなれば、再現性は高まります。
つまり、ラケットを安定させるために最も効果的なのはできるだけラケットは動かさない事です。

とは言う物の、基本的にラケットを動かさずにボールを打つ事はできません。
ですが、身体でエネルギーを作った場合はそれが可能になります。
腕やラケットでボールを打つのではなく、腕やラケットは身体の中心で作られたエネルギーを「ただ伝えるだけ」
このような状態になるとラケットの動きは最小限に抑える事ができるので再現性が急激に上がります。

「腕(手首)で作ったエネルギー⇒ラケット⇒ボール」
こんな状態ではなく。
「身体の中心で作ったエネルギー⇒腕(手首)⇒ラケット⇒ボール」
こんな状態です。

こうすれば、腕やラケットでボールを打つのではなく、腕やラケットはただ、移動するだけになります。
この動きは再現性が非常に高い動きになります。

タイミングよくボールを捕らえる

次に問題になるのがインパクトのタイミングです。
身体の動きの再現性が高くでも、ボールとの関係に再現性がなければ、ボールは安定しません。
そこで重要になるのが「タイミング良くボールを捕らえる事」です。
いくら、身体の動きに再現性があっても、ボールとのタイミングが狂うと、身体はボールから影響を受けて、再現性の高い動きが崩されてしまいます。

これは素振りと実際にボールを打つ違いを考えるとイメージしやすいと思います。
いくら素振りの時に再現性の高いスイングが出来るとしても、実際にボールを打つ時に、素振りの時と同じスイングができるとは限りません。
何故なら、実際のボールが本来のスイングに影響を与え、崩してしまうからです。

この問題を解決するにはボールとのタイミングがとても重要になります。
ボールとのタイミングが上手く取れた時には身体はイメージしているスイングに近いスイングをします。
つまり、サーブを安定させる打ち方が出来るというわけです。

イメージを鮮明にする

私達の身体はイメージに基づいて動きます。
イメージは動きの設計図のような物です。
設計図が変われば、出来る物は当然変わります。
つまり、イメージが変われば、結果も変わります。

サーブを安定させる為には自分が打ちたいボールのイメージが変わらない事が大切です。
ところが、安定性に欠けるプレーヤーは結果に影響を受けて、すぐにイメージが崩れてしまいます。

「ダブルかも・・」と考えてしまうと、間違いなくダブりますよね(笑)
これも同じ現象です。

身体の動きの再現性を活かす為には常に同じ設計図でプレーする事が必要です。
つまり、イメージを変えない事です。
目先の結果に影響を受けて、イメージが崩れるといくら制限性の高い身体の動きを身につけていても、その動きを活かす事は出来ないのです。

コメント

  1. 堀口彰一 より:

    今、サーブの練習をしている私にとって、嬉しいアドバイスです。

    2点、質問します。

    1つ目は、下半身の使い方、及びその程度です。
    上半身の使い方に比べて、下半身の使い方のイメージが私には少ないです。
    上半身のひねり等を受けとめるために、下半身を固定するならわかります。
    つまり、椅子に座って、座面とお尻の摩擦で下半身を固定し、サーブするイメージです。
    それ以上の力を股関節と膝を使って生み出すイメージがでません。
    書かれているその使い方とともに、その割合も、もう少し詳しく、または動画で観せていただけると大変、嬉しいです。

    2つ目として、1つ目に関連しているか、無関係かわかりませんが、テレビで観る男子プロのサーブのレディポジションは、後ろ足をかなり後ろ、ほとんど、クローズに置いている選手がほとんどです。
    上半身の回転の距離を大きくして、スイングスピードを増すためだと思い、練習してみましたが、どうしても、上半身をインパクトに良い位置まで、回転することができません。
    どこかの強靭な筋肉が必要なのか、足の運びなのか…ヒントをください。

    • wp_feel より:

      こんにちは。
      いつもご講読ありがとうございます。
      さて、一つ目のご質問ですが下半身を踏ん張って上半身を動かそうとすると堀口さんがおっしゃるようなイメージになるかもしれません。
      ですが、肩から捻り始め、段々、下半身へ捻り動作を連動させ、股関節の捻りまで行うと自然と下半身の捻り動作の上で上半身の捻り動作を行う事になります。
      また、この動きの割合という事ですが、全身は連動して動かす事になるので、割合は存在しません。それぞれの部位がそれぞれの役割を果たすだけです。
      また、レッスンノートの方で動画でご説明します。
      言葉にすると難しいですが、実際に見るととてもシンプルです。

      次に二つ目の質問ですが、この問題も下半身の使い方に関係していると思われます。上半身からスイングする事が原因で打点まで身体が戻ってきていないのだと思います。つまり、筋肉の問題では無く、身体全体の使い方が原因です。
      ちなみに堀口さんがどの程度、クローズで構えているか、わかりませんが、クローズに構えた下半身はインパクトに向かって、解放されなければ、せっかく使ったエネルギーが使えません。その為に、トップ選手たちはインパクトでは足はスクエアの状態に戻っています。これは股関節の捻り動作が解放された結果です。もし、自然に股関節が解放されているにも関わらず、打点が合わないのであれば、クローズに構えすぎているのかもしれませんね。

      • 堀口彰一 より:

        さっそくのアドバイス、ありがとうござます。

        下半身の使い方の動画、楽しみにしてます!

        クローズスタンスについては、足の向きや足の運びを試してみます。

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