現実を正確に把握する

テクニック解説
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今回のテーマは「現実の把握」です。

以前にもお話ししていますが、技術とは二つの要素を満たす必要があります。

一つは「再現性」
そして、もう一つは「効率」です。

この二つを満たし、それぞれの要素が高い次元で実現されて時、技術レベルが高いということになります。
つまり、練習では再現性と効率を追求する必要があります。

ですが、こんな事はみんな知っている事なのです。
誰だってミスはしたくないし、良いボールは打ちたいと思っていますよね。

ところが実際にはなかなか自分が思ったような再現性と効率を手に入れることができません。
これはどうしてなのか?

その理由の一つに「現実の把握」が出来ていない事があります。

現実に気がつけば、自動的に改善されることがたくさんあります。
もちろん、再現性も効率も。

例えば、ネットミスが多い人がいたとしましょう。
その人が打っているボールの弾道はいつもネットから30cmのところ。

これでは、すぐにネットミスをしても不思議はないですよね。
それがネットミスが多い大きな原因です。

ですから、ここをまず、改善する必要があります。

ところが、残念ながら、本人は自分が打っているボールが、いつも30cmのところを通っているとは気がついていないとしたらどうでしょう?

どれだけで練習してもリスキーな状態は変わりません。
当然、ミスはいつまでも無くなりません。

本人は一番大きなこの問題に気がついていないので、グリップやラケットの面や腕の振り方なんかを直そうと練習しています。

これって非常に残念ですよね。

どんな打ち方をしても常に30cmのところを安定して通す事は非常に難しいです。
ですから、ネットミスを減らすには状況に応じてもっと高いところを通す必要があるということです。

ここで一番の問題は本人が自分の打ったボールが「どの高さを通っているのか?」に気がついていないということです。

つまり、現実に気がついていないというわけです。

今はたまたまネットミス、それもネット上30cmを通す事が原因である事を例に出してお話していますが、
こんな事が無数にあるわけです。

では、どうしてこんな当たり前の事に気がつくことができないのか?
不思議だとは思いませんか?

その人のボールがいつもネットの上30cmのところを通っていく事は見ていれば小学生でもわかることです。

小学生に「ネットの上を通過する時はどれぐらいの高さを通るかな?」と質問し、2,3分もプレーを見てもらうと誰でも、わかるでしょう。

つまり、現実に気がつくことは誰にでもできるとても簡単な事です。
ところが、実際には簡単ではありません。

なぜ、そんな事が起こるのか?
それは人間は常に自分が興味を持っている物しか気付く事ができないからです。

ネットの上の高さに興味がなければ、現実に答えが出ているのに全く気がつく事ができないんですね。

逆に言えば、その人は必要でない物に「興味を奪われている」と言っても良いかもしれません。
そして、また、その興味は他人によっても左右されます。

例えば、テニスコーチが「フォアハンドを打つ時○○して・・・」とアドバイスするとその人の興味は○○に行く事になります。

その為にネットの上の高さに気がつくことができないわけです。
実はこれがテニスの上達を阻害しているのです。

ですから、私は何かアドバイスをする時には最新の注意を払っています。
そのプレーヤーが間違った興味を持たないようにするためです。

人間は真実や正しい事を信じるわけではありません。
その人が「信じたい」と思った事を信じています。

ですから信じている事が正しいとは限らない。
というより、ほとんどの場合、「信じている事自体が違う為に、願う結果が出ていない」と考えたほうが良いです。

では、一体何を信じたら良いのか?
それは現実です。

現実の世界で起こっている事をフィルターを通さないでありのままを観る。

それが一番大切な事です。

正しい事を探す事でも、理想を実現しようとする事でもなく、ただ、「現実をありのままに受け入れる」
これが一番最短の道なのです。

本日は以上です。
いつも長文お読みいただいて本当にありがとうございます。

フィーリングテニス
戸村基貴

写真提供:小林一仁(zonephotography)

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